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『愚の旗』掲載 あとがき |
松島 新 著 |
「愚の旗」196ページ
あとがき
松島 新 著
竹内浩三が戦死してから、五十余年が経った。彼がその鋭い直感力で予見したとおり、その後の日本は経済大国へと邁進し、事務と化粧に追われて何か大切なものを置き忘れてきたようである。彼の愛した白い雲が浮かぶ青い空も、また、見上げれば何かがやって来そうな深い星空も変らずに在るのだが、その本当の輝きを私たちは見失ってしまった。
竹内浩三の姉が私の叔母にあたることから、私は幸いにも中学時代から私家本『愚の旗』(限定200部)を手にすることが出来、東京での学生時代を通じてその作品に親しんできた。この三十六年間、いつも部屋にはその本があり、生の輝きと自由な精神の素晴らしさを、そしていみじくも彼が言った「人間としての唯一の務め」である生きることの尊さを教えられてきた。
書籍化に際し、若くして死んだ彼と同じ世代の若者に、彼の「視点・感性」を追体験してもらえればと、作品・資料等に心象風景を連想させるイメージ写真を加え、構成を試みた。竹内浩三の全貌を総合的に知りえる本とはいえないが、時代を精一杯生きた一人の青年の魂を感じる本として読んでもらいたい。
(後略)
2002年1月6日、メールにて松島 新さんより情報提供いただき、 その後ご寄贈頂きました書籍「愚の旗」より転載しております。 出版社および企画・編集者松島新さんの掲載許可を得ています。 禁無断転載です。 |