子メダカを育てたい!
(特集)
産卵から子メダカの誕生、そして成長までの情報をまとめています。
項目一覧
メダカが卵を産むには
どれがメダカの卵?
卵を回収するために
卵の世話
子メダカの誕生
子メダカの世話
メダカが卵を産むには
婚姻色の出たヒレ
ヒレに婚姻色が出る
エサ
タンパク質を多めに
温度計とメダカ
水温計があると良い

1.まずは親メダカが健康であること

卵を産むメスがやせていたりすると、なかなか卵を産まなかったり、産んでもなかなかかえらなかったりします。 特に卵を産むシーズンである夏は、メダカがよりたくさんエネルギーを使う時期なので、 こまめにエサをあげてやせないようにしましょう。 朝から夕方まで、1日5回ぐらいにわけてこまめにエサを与えます。 とはいえ、そこまでできる方も少ないと思います。朝夕2回きちんと与えればいいでしょう。 乾燥赤虫など動物性タンパク質を多く取らせることが大切です。 もちろん栄養のバランスを整えることも大事です。市販のエサだけではなく、 時にはゆでた野菜などでビタミンを取らせることも必要です。

2.必要な条件その1 水温

メダカが産卵を始めるには、平均して水温が18℃以上あることが1つめの条件です。 22℃ぐらいが一番良い条件だと言われています。 ただ、ダルマメダカなど特別な性質を持ったメダカを増やすためには、25℃以上の水温が必要になるようです。

3.必要な条件その2 日照時間

メダカは光のリズムが大切な魚です。 産卵にも光が大切で、一般的には、日照時間(明るい時間)が13時間以上になると産卵を始めるようです。 外での飼育ならば問題がないですが、室内で飼う場合、 夜間明るかったり、逆に昼間があまり明るくないためになかなか産卵をしないということもあります。 室内で飼う時は、昼間じゅうぶん明るく、夜は暗くなる場所に水槽などを置きましょう。 どうしても夜に明かりをつけなければならないならば、カバーをしてしまうのも一つの方法です。

4.環境を整える

まわりの環境によっても卵を産んだり産まなかったりということがあるようです。 水草の量や、水槽の大きさのバランスをとったほうがいいようです。 それから、一緒に飼うメダカの数も関わってきます。45センチ水槽ならば20匹ほどぐらいが、ちょうどいい数です。 基本的には、水1リットルに対してメダカ1匹の割合で考えればいいと思います。
また、水槽の前をひんぱんに人が通ったり、テレビなどの音がつねにあったりすると、それがストレスになってなかなか産まないといったこともあります。 場合によっては置く場所を変えたりすることも必要になります。

条件さえ揃えばいつでも産卵をします。ヒーターとライトを使えば冬でも産卵させることもできます。
ただ、本来の産卵シーズンは春〜初夏にかけてです。場所にもよりますが、3月ぐらいから産卵が始まります。 4〜7月ぐらいが一番産卵をする期間です。また、成長率もいい時期とも言えます。
これ以外の時期にも産卵をしますが、ふ化率が低かったり、子メダカの成長率が悪かったりします。 また、小さい体のメダカなので、ずっと産卵するのは親メダカにも負担が大きいようです。 なので、特に目的がない限り、本来の繁殖シーズンに産卵させたほうがいいでしょう。

どれがメダカの卵?

メスのお腹についていればわかりやすいですが、水草についていたり、底に落ちてしまうと見分けられないといった相談を時々受けます。
よく見間違うのが、サカマキガイなどの卵塊と泡でしょうか。

サカマキガイなどの卵塊は、ゼリー状のものに白い卵がたくさん包まれています。それをメダカの卵だと勘違いしてしまうことがあります。 また、藻が光合成して発生した酸素が泡になり、まぎらわしいことがあります。

確実な判別方法は、直にさわってみることです。メダカの卵は固い卵膜に包まれていますから、さわると固い感触がします。
卵を回収するために
メダカの交尾
体を寄せ合って交尾をする
(へんぽらいさん提供) 産卵の瞬間
産卵の瞬間
(あっこぶぅさん提供) ホテイアオイの根について卵
ホテイアオイの根についた卵
(桃゛さん提供)
メダカの卵
親メダカによって卵の色が違うことも
 条件がそろうと、早朝(午前3時ぐらいから)に産卵をします。朝日の刺激で産卵活動が始まり、オスが産卵をうながすことによってメスが卵を産みます。 産んでからしばらくは、メスのしりに卵はくっついています。 理科の教科書には「水草などに産み付ける」となっていますが、実際には「水草の近くを泳いでいるうちにひっかかる」というような感じです。 ですので、アナカリス(オオカナダモ)よりもカモンバ(キンギョモ)のような葉の細かい水草のほうがよくつくようです。

水草以外にも、
・ホテイアオイの根
・シュロ皮
・細いアクリル毛糸
などにも卵をつけることができます。

ひとつ注意しなければならないのは、親メダカが産んだ卵を食べてしまうということです。 なので、親メダカとは別の入れ物へ卵を移す必要があります。 (筆者は未確認ですが、モノアラガイやサカマキガイが卵を食べてしまうこともあるようです)

方法としては、
1.卵をぶら下げているメスから採る
2.卵がついた水草などを集める
3.底に落ちた卵をスポイトで集める
などがあります。

メスから採って集める方法は、アミでそっとすくい水面近くまでもってきて、 筆でそっとなでるように採ります。ほぐした綿棒でもいいでしょう。時には、アミに全ての卵がひっかかって採れてしまうこともあります。 卵を回収したらそっとメスを元に戻します。ただし、あまりやりすぎるとメスの体の表面にある粘膜が取れて弱ってしまうこともあるので、ほどほどにしましょう。
水草についている場合は、そこから直接採ってしまってかまいません。

水草などに着かなかった卵は底にしずみます。これをスポイトで回収します。 もし卵を確実に集めたい場合は、水槽にメダカだけを入れて卵を産ませます。 水草も底材も入れません。落ちた卵がわかるようにするためです。 お昼ごろには全ての卵が底に落ちますので、簡単に集めることができます。 発生を見るために、産んだ日をはっきりさせておきたい場合では、一番確実な方法です。

また、産んだメダカによって卵の色が透明なものや黄色がかったものなど違いがありますが、問題はありません。

1匹のメスが生涯に産む卵の数は、2000個ほどだそうです。もちろん全てが育つわけではありませんが、 毎日採卵していると増えすぎて困ってしまうこともあります。ですから採卵は、自分が飼える数にとどめておいた方がいいでしょう。

卵の世話
イチゴパック
こんなものでもよい
スポイト
ガラス製スポイト
死んだ卵
矢印が死んでいる卵
 卵を回収したら、卵用の容器を用意しましょう。 特別になにかを買ってこなくても、身近なものが使えます。 産んだ日ごとに管理したいならば、プリンカップなどでそろえたりすればいいです。 ニワトリの卵が入っていたパックなどは、直接書き込みができるので便利ですね。 チャック付きの小さいビニール袋で管理している人もいます

卵の一番の大敵は水カビです。卵にふさふさと白い毛のように生えます。 1個に発生すると次々に他の卵にもうつりますから、 できれば1個ずつにしたほうが安全です。 採卵したら、卵のかたまりを重ねたガーゼの上に置き、弱い流水であらってやります。 そのあとに、指などで1つ1つバラバラにしてあげましょう。 卵の膜は固いので手でさわっても大丈夫です。念のため、流水で手を冷やしておきます。 容器に入れる水は、水カビ防止のために水道水をそのまま使ってもかまいません。 さらに念を入れたい場合は、メチレンブルーをとかした水に卵を入れてもいいでしょう。 水1リットルに対して、1滴程度でいいです。これで水カビが減ります。

水カビにやられたり、未受精または過成熟だったり、栄養が足りなくなったりして死んでしまった卵は白くにごった色になります。 健康な卵はすきとおった色をしています。(無色透明から黄褐色までいろいろあります) 簡単な区別の方法は、指でそっとつまんで転がしてみることです。 死んでしまった卵はつまむとつぶれてしまいますが、健康な卵はつぶれません。 転がしてやることで付着糸(水草などにひっかかるように糸のようなものが卵にはあります)や、それに付いていたゴミが取れ、 水カビになる危険が少なくなるということもあります。 ただ、目がはっきりしてふ化が近くなると、ふ化のために酵素を出して卵の膜が弱くなっています。 そうなったら手ではさわらないほうがいいでしょう。 さらにメチレンブルーをとかした水に入れておくと、死んだ卵が青く染まるので、すぐわかります。 ピペット(スポイト)などで取りのぞきましょう。

エアレーションや日光は必要ありませんが、酸素は必要なのと水カビ防止のために1日ごとに水かえをしたほうがいいでしょう。
子メダカの誕生

ふ化直後(ヒメダカ)
ふ化5日後
ふ化5日後(メダカ)
 親メダカが卵を産んでからある程度時間がたち、卵の中に目が見えてくると、いよいよふ化です。 産卵からどれぐらいの時間でふ化するのかは、積算温度というものを計算することで、おおよそわかります。
水温(度)× 日数 (日)=250度日(積算温度)
ですから、水温が25℃ならば10日ぐらいでふ化するということです。 およそのめやすですので、必ずこうなるわけではありません。また同じ日に産卵された卵であっても、ふ化する日はばらばらです。

また春先や、8月の一番暑い時期、秋の終わり、またヒーターによる冬の産卵によって産まれた卵のふ化する確率は低いです。 卵のふ化する確率は、親メダカの栄養状態に左右されます。一番体調のいい、5・6・7月に産まれた卵がふ化しやすいようです。 確実に短期間で増やしたい場合は、この時期に採卵してふ化させるといいでしょう。

子メダカの世話
ミジンコ
ミジンコは良いエサになる
子メダカ
ふ化後1週間程度のメダカ
すり鉢
100円の小鉢で十分
1センチほどの子メダカ
そろそろ親と同居できる
 ふ化が近くなったら、子メダカ用の容器を用意しましょう。 ふ化をするときに、固い卵の膜を弱くするための酵素を出しますが、これが水を汚すことがあります。 ですので、ふ化したら別の容器に移してあげる必要があります。

とても小さく、網を使うと弱らせてしまうので、大きいスプーンなどで水と一緒にすくうと移しやすいです。 白いプラ製のレンゲが、子メダカがよく見えておすすめです。 最初のうちは、小さい容器でもかまいません。ペットボトルなども使えます。 くみ置いた水を入れ、水草も入れましょう。底砂なども入れたほうがいいかなと思います。 子メダカは環境の変化に弱いので、なるべく水かえはしないようにします。 ですので、ふ化する日を予測して、早めに環境を作っておいて水質を安定させておきましょう。

または、すでに水が出来ている親メダカの水槽に子メダカ育成用のケースを設置し、そこで飼うという方法もあります。 市販もされていますし、プラケースに穴を開けたり、網を取り付けて自作してもいいでしょう。

生まれてから数日間は、お腹の中にある卵黄の栄養分を使っています。 ただ、早めにエサを食べ出したほうが、消化する器官の発達がよいようです。 ですので、ふ化2日目あたりから、ほんの少しずつエサをあげます。 子メダカ用のエサもありますが、普通のメダカのエサを細かくすりつぶしたものでもかまいません。 食べ残しがない程度にあげましょう。最初は指についたエサをふり払って落ちる程度の量でいいです。 (それ以上あげると、水の汚れのもとになるだけです) もしあれば、乾燥アカムシや乾燥ミジンコも混ぜてタンパク質を増やしてもいいと思います。
(すりつぶすための道具として、乳鉢や100円の表面がザラザラした小鉢などが使えます)

もしミジンコやワムシが手に入るならば、それを増やしてエサとするのがベストです。 子メダカ用容器を作る時に投入しておき、増やしておくのも1つの方法です。 ミジンコは、新たに生まれた小さいものをスポイトで与えます。 また、ブラインシュリンプを育ててエサとしてもいいでしょう。

卵と同じように、子メダカも親メダカに食べられてしまうので、別の容器にしておきます。 また生まれた時期がちがったり、成長の差があると、体の大きい子メダカが小さい子メダカを食べてしまうことがあります。 ですので、たくさんふ化させた場合は、体の大きさによって容器を分ける必要があります。

体長が1センチほどになったら、親メダカと一緒にしても大丈夫です。

ただ、ここまで育つ子メダカはそう多くありません。全体の30%が育てばいいほうです。 親メダカの栄養状態や、ふ化してからどれだけエサを口にできたかなど様々な条件が重なるようです。 なかなか育たなくても、運に近いものがありますから、あまり気にしないようにしましょう。