コラム
このページでは、NOZOがメダカや、そのとりまく環境や生き物たちについて感じたことを書いています。
あくまでも私個人の意見や考えであり、中には受け入れられない考えなどあるかもしれません。 思い込みなどもあるかと思いますが、それをふまえて読んでいただけると幸いです。
第1回 ホテイアオイあれこれ。
ホテイアオイの花  ホテイアオイ。英語名でウォーターヒヤシンス(Water-Hyacinth)と呼ばれるこの浮き草は、 うすむらさき色の美しい花をつけ、観賞用として夏場はホームセンターなどでも売られています。 花がきれいに咲くと、癒しになるというか、涼しさを感じます。 1株100〜200円とお安いこともあり、スイレン鉢の脇役として浮かんでいることが多いですね。
メダカ飼育でも、根がブラシ状で卵がからみつきやすいため、よく使われています。 うちの池やスイレン鉢に浮いているよ、という方も多いと思います。

ところでこのホテイアオイ、実は日本にはもともと無かった南米原産の帰化植物であり、 さらに国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会が作成した 「世界の外来侵入種ワースト100」(100 of the World's Worst Invasive Alien Species) に選ばれている植物であることをご存知でしょうか。
実際にホテイアオイを浮かべている方はわかるかと思いますが、十分な日光と栄養分があれば2週間で倍に増えます。 汚れた水路などで増えると、大きくなった葉が水路を埋めてしまうほどです。
こうして増えすぎてしまうと、日光や酸素がさえぎられて水中に十分行き渡らなくなり、 水生植物や水生生物に影響を与えてしまいます。
考えてみると、光の刺激が必要なメダカにとっても少なからず影響がでてくるのではないでしょうか。
 また、水路をふさいで船が通れなくなったり、漁ができなくなったりなど、水面利用への影響が問題になっています。
また、淡水魚飼育において、水の汚れを養分として取り込んでくれるので浄化してくれるから使うということがあります。 確かにそういった能力がありますが、その効果を出すためには、育ったホテイアオイを取り除いていかないと意味がないことは、 意外に意識されていないように思ったりします。冬になり、いっせいに枯れたホテイアオイによって、 かえって水が汚れるといったことが世界各地で(もちろん日本でも)起こっています。

あっちこっちで私のコメントを見ている方には、私がホテイアオイがあまり好きではない、 とよく発言しているのを知っている方もいると思います。 そう思うのも、上記のような影響を実際に見ているわけでして…。
私が野外でメダカを観察しているフィールドの水路が流れ込む川の河口に、貯木場があります。 そこにホテイアオイが大繁殖をします。かつて公害で有名だった名残がまだあり、 ちょっとヘドロからのメタンガスの臭いがするところですので、水もけっこう汚いほうなんですが、 まわりに日光をさえぎるものもなく、ホテイアオイにとっては楽園なのでしょうね。 それこそ、売っているものとくらべたらバケモノに近い大きさにまで育つホテイアオイもあります。 それが秋のおわりに一気に枯れてただようわけです。それを見てきているので、どうも好きになれないんですよね。

とはいえ、メダカ飼育に使うなと言うつもりもありません。増やしやすさや卵の回収のしやすさなどのメリットもありますしね。 お願いしたいのは、生きたまま野外に捨てないでください、ということでしょうか。 枯れたように思えても、新芽が出来ていて越冬もできる地域もあります。 処分する時は、埋めるなり焼却するなりしてください。それが使う側の責任ですからね。 絶滅危惧となったメダカに関わっているのだから、少し自然の生態系について知識を持ったり考えたりすることが必要じゃないかな、と思います。

ちなみに。
ホテイアオイに並んでメダカ飼育でよく使われるアナカリス(オオカナダモ)。 これも外来の帰化植物で、日本の生態系に影響を与えており、日本生態学会が作成した 「日本の侵略的外来種ワースト100」に入っていたりしますが、そのことについては回を改めて。