ブログ小説 妙なこと 第七話(6)

「きょうは、お父さんがいないから、居間を使っていいから、
勉強しなさいよー!。」
「ねえ!。お母さん!。」
と、美加が言うと、
「ちょうどいいんじゃない!。」
「修二!。健ちゃんに、勉強教えてもらいなさい!。」
と、美津子が言ったのです。

「そんなあー!?。」
「人に教えるほど、勉強できませんから!?。」
と、健介が言うと、
「だって、”数学以外はいつも健ちゃんのほうが上だ”って、
修二が言ってたのよ!。」
「ねえー修二!。」
と、美津子が言ったのでした。

「今、ご飯中!。お答えできません!。」
修二はそう言うと、急いでご飯とカレーを、口に放り込んだのです。
そのしぐさが面白かったので、
美津子と美加は大笑いしたのでした。
健介も笑ったのです。
「ところで健ちゃん!。」
「純ちゃんって子。学校に来るようになったんだって!?。」
と、美津子が訊くと、
「ええ!。お姉さんが家庭教師になった途端に!。」
「げんきんなヤツです!。」
と、健介がうれしそうに、答えたのでした。

「ねえ!。美加も、修二に教えてくれればいいのに!。」
と、美津子が言うと、
「弟に教えても、お金になりませんから!?。」
「だいいち。教えにくくって、しょうがないわよ!。」
と、美加が言ったのです。
「まあ!。それはそうかもしれないけど!?。」
と、美津子もあきらめ顔で、そう言ったのでした。

「お姉ちゃん!。きょうはお父さんがいないから、
せいせいと長湯できるね!。」
と、修二が言うと、
「あんたさー!。なにごまかそうとしてるのよー!?。」
「私がお風呂に入ってるあいだ、
健ちゃんと、ゲームやろうとしてるんでしょう!?。」
と、美加が言うと、
「ばれた?!。」と言って、笑ってごまかした修二でした。

四人は食事を済ませ、美津子と美加が洗い物をし、
修二と健介は修二の部屋から教科書とノート、
それに筆記用具を居間に持って来て、テーブルの上にひろげたのでした。
「じゃあ!。やるかー!?。」
と修二が言うと、
「しゅうじー!。久しぶりだなー!?。」
「ふたりでいっしょに勉強するなんて!?。」
と、健介が言ったのです。

「そうだなあー?!。勉強はなっ!。」
「期末試験が近いし、”勉強しなきゃなあー!?。”とは思っていたけど!。」
「なかなかやる気が出なくってさあー!。」
「ちょうど良かったかもしんない!。」
と、修二が言うと、
「おれもさー!。同じだよ!。」
と、健介が言うと、
ふたりは顔を見合わせて、ニコッと笑ったのでした。

修二と健介が勉強しだした頃、
台所では、美津子と美加がテーブルの上をかたづけ、洗い物を終えたのでした。
「美加、ありがとう!。」
「お風呂入りなさい!?。」
「修二が言うとおり、きょうはお父さんがいないから、
せいせいと、入れるわねえー!。」
と、美津子が言ったのです。
「お母さんまで、そんなこと言って!?。」
と、美加が少しふくれっ面で言ったのでした。

美加は、いったん自分の部屋に戻り、着替えを持って、
途中、ふたりが勉強してるか居間をのぞくと、
「おおー!。めずらしく勉強しているわねえ!。」
と、ひとこと言ってから、風呂場に行ったのです。
「まったくー!。信用してないんだから!?。」
「めずらしくは、よけいだあー!。」
と、修二が言うと、
「お姉さん!。心配しているんだよー!。」
と、健介が言ったのでした。

「ジュンに、”大学行くんだったら、高校二年の夏にがんばれば、
誰でも行けるから、がんばってね”って、言ってくれたから!。」
「”俺!。がんばるんだ”って言ってたよ!。」
と、健介が言うと、
「うん!。お姉ちゃん!。いつも言ってるよ!。」
「高校二年の夏がいちばん勉強できるし、しなきゃだめだって!。」
と、修二が言ったのです。
美津子が、台所の用が終わったので、健介の家に、
携帯から、電話を掛けようとしていた時でした。


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