妙なこと 第六話 (11)

修二と健介は、京子と夏樹に鎌倉でお昼をご馳走になったのです。
評判のレストランなので少し混んでいました。
20分ほど席が空くまで待ったのです。
四人が食事を終わったのは、もう午後2時をまわっていたのでした。
駅の手前で電車が駅を出て行くのが見えました。
「行っちゃったよー!。」
「でも、10分か15分待てば、すぐ来ると思うけどなあー?!。」
そう健介が言ったのです。

しばらく時刻表を見ていた健介が、
「次のに乗ると、新宿に行くには、横浜で乗り換えなきゃならないなあー!?。」
「その次に乗れば、新宿まで乗り換えなくても行けるぞ!。」
と、言ったのです。
「何分待つの?!。」と夏樹が訊くと、
「次の電車があと5分。その次がそれから6分だから、11分だよ!。」
そう健介が答えました。
「だったら、6分余分に待とうよ!。」
「乗り換えるのにどうせ少しは待たなきゃならないいんだから!?。」
そう修二が言ったのです。

「そうしましょ!。」と、京子が言うと、
「そうねえ!。」と、夏樹も言いました。
「じゃあそのあいだに、残ってるおにぎりを食べちゃうかあー?!。」
そう修二が言ったのです。
「お前、よく憶えてたな!?。」
「俺は忘れてたよ!?。じゃあお前食ってくれるか?!。」
そう言うと健介は、
自分のバッグからおにぎりを取り出して、修二に渡したのです。

修二は自動販売機で買ったお茶と、おにぎりを持って、
待合席に座って、食べ始めたのです。
すると次の電車がプラットホームへ入ってきたのです。
すぐに三人は電車に背を向け修二の前に並んだのです。
「サンキュー!。」そう修二は言うと、
お茶と、おにぎりを交互に口に入れて、
電車が出て行った頃には、すべて食べ終えたのでした。そして、
「あーあっ!うまかった!。」そう言って、
満足そうに笑ったのでした。

次の電車が入ってくると、修二と健介は席が空いていましたが、
座らずに、京子と夏樹が座った前に立ちました。
「ふたりとも座らないの?!。」
と夏樹が訊くと、
「うん!。」と、ふたりとも言って笑ったのです。
「鍛えてるのよね!。」と、京子が言うと、
「そんなんで鍛えれるのかしらねえ?!。」
そう言ってけげんな顔をした夏樹でした。

新宿駅で京子と夏樹は降りました。
修二と、健介はそのまま乗って、
自転車を置いてある、自分たちがいつも降りる駅で降りたのです。
「きょうはつき合わせて悪かったな!?。」
そう健介が言うと、
「たまには、うちに寄ってけよ!。」
そう修二が言ったのです。

「うーん?!。お姉さんいるからなあー!。」
そう健介が言うと、
「きょうは珍しくお父さんが休みでいるんだ!。」
「久しぶりだから会ってけよ!。」
そう修二が言ったのです。
「わかったよ!。きょうつき合せたからなあー!?。」
ふたりは自転車に乗ると、いつもは橋のところで別れるのですが、
きょうはいっしょに修二の家まで来たのでした。

「こんにちは、ご無沙汰でーす!。」
そう言って健介は玄関に入ったのです。
「おかあさーん!。健介が来たよ!。」
そう修二は大きな声で言いました。
「上がれよ!。」そう修二が言って二人で、居間のところに行くと、
義雄がビールを飲みながら野球を見ていたのでした。
「おじさん!。こんちわ!。」そう言ってペコッと頭を下げたのです。
「おおー健介!。久ぶりだなあー!?。」
「お父さんも、お母さんも元気か?!。」
そう義雄が言うと、
「ええ!。元気で何とかやっています!。」
そう答えたのです。

「お姉ちゃん!。まだ帰ってこないの?!。」そう修二が訊くと、
「さっき電話があったから、もうじき帰ってくるんじゃないのか?!。」
「家庭教師をやることが決まったって言ってたよ!。」
「自由が丘だって言ってたけど!。重役の息子だそうだ!。」
「しかもお前たちといっしょの高校だそうだぞ?!。」
と、いいご機嫌で話をした義雄でした。
それを聞いた修二は、
「健介!。ジュンって、確か自由が丘だよなあー?!。」
「大きな家の!?。」
そう言うと、「まさかあー?!。」
と、複雑な表情で言った健介でした。


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