妙なこと 第六話 (7)

美加は電車に乗ると渋谷の駅に出てそこから東横線に乗り換え
自由が丘の駅で降りました。
そして歩いて5分ほどで家庭教師をする家に着いたのです。
玄関前に高校生の子が迎えに出ていました。
「先生!。時間通りに来たね!。」
そう言ったのです。
「ええ!。迎えに出ていてくれたの?!。」
そう美加が言うと、
「いや!。前の先生は時間通りに来なかったから、
今度の先生はどうか見に来たんだ!。」
と、言ったのです。

「そう!。きょうあなたのお母様はいらしゃるの?!。」
と訊くと、
「うん!。いるよ!。入りなよ!。」
そう言って美加の手をとると、玄関に連れて行き、
中に入ると、
「ママ!。先生が来たよ!。」
そう言ったのです。

中から玄関のほうに向かって、
「今行きます!。」
そう言うと、じきに玄関に現れたのです。
「すいませんねえー!。」
「お忙しいのに無理をお願いして!。」
「どうぞお上がり下さい!。」
「スリッパを履いてくださいね!。」
そう言うと、応接室に通されたのでした。

「そちらにお座りになって!。」
そう言われた美加は、
「はい!。ありがとうございます!。」
「失礼いたします!。」
そう言うと、ソファーに座ったのでした。すると、
そのうちの奥さんと、その高校生も座ったのです。
それからすぐに、お手伝いさんがやって来ました。
「先生!。何かお飲み物は?!。遠慮しないで!。」
「コーヒー、紅茶、それともビールでも?!。」
と、少し笑みを浮かべて言ったのです。

「では紅茶をお願いします。」
と、笑みを浮かべて美加は言いました。
「ジュンちゃん!。あなたは?!。」
と、美加の隣にうれしそうに座っている、
高校生の子供に言ったのです。
「僕も先生と同じ紅茶を!。」
と、言ったのでした。
「じゃあ、私も紅茶にしようかしら?!。」
「紅茶3つお願いね!。」
そう、お手伝いさんに向かって言ったのです。
「承知いたしました。!。」
そう言ってお辞儀をすると、
お手伝いさんは、応接室を出て行ったのでした。

「ジュンちゃん!。あなた最近、サーフィンに凝っているのはいいけど、
勉強もしてくれなきゃだめよ!。」
「ねえ!先生!。高校2年のときにがんばらないと、
ちゃんとした大学に入れませんって、知り合いの方に言われましたの!?。」
「そうですわよねえ!。」
と、美加に訊いたのです。すると、
「ええ!。」と、すぐ美加は答えました。

「それからこの頭の毛!。サーフィンをやる人たちって、
みんなこんな髪型なの?。ジュンちゃん?!。」
そう母親に言われた高校生は、
「そんなことないけど!。こういう髪型が好きなんだ!。」
「変かなあー?。先生!?。」
そう美加に訊きました。
「その人が好きな髪型がやはりよいと思います!。」
「似合っていればいいんじゃあないでしょうか!?。」
と、答えたのです。

ノックの音が聞こえました。
「失礼いたします!。」そう言って、お手伝いさんが入ってきました。
3人のテーブルの前に紅茶を置き、
真ん中にクッキーが入った入れ物を置くと、お辞儀をして、
応接室から出て行ったのです。
「どうぞ!。召し上がって!!。」
そう奥さんに言われた美加は、
「ありがとうございます。」
「いただきます!。」そう言うと一口紅茶を飲んだのです。

「大変口当たりのよい紅茶ですね!。」
「どちらのものですか?!。」
そう美加が微笑んで訊くと、
「これは、イギリス王室御用達のものだそうなの?!。」
「もらいものですけどね!。」
そうニコニコして奥さんが言ったのです。
「そうですか?!。それで品があると思いましたわ?!。」
と、上品なことばで美加は、言ったのです。

すぐに紅茶を飲んでしまった高校生は、
「先生!。難しい問題があるんだよ!。
答えを教えてほしいんだ!。」
「ママ!。勉強部屋に行っていい?!。」
と言うと、
「ええ!。そうしなさい!。」
「先生!。よろしくお願いします。」
「あとで、新しく入れなおした紅茶とクッキーを届けさせますから!。」
そう奥さんは言いました。


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