妙なこと 第六話 (6)

「いそうもないなあ?!。」
江ノ島の橋の下をくぐって、西側のほうを見てそう言ったのです。
しばらく見ていましたが、
じきに修二のいるところに、戻って来たのです。
健介はがっかりしたように、
「向こうを見たけど!。いそうもないよ!。」
と、修二に向かって言いました。

「きょうは来てないんじゃあないのか?!。」
そう修二が言うと、
「ジュンのやつ!。ふつうの日は来てないかもしれないけど、
”土曜日は必ず来ているから”って言ったんだよ!。」
「俺も学校があるし、ふつうの日じゃあー、来れないから?!。」
そう健介が言うと、
「サーフィンって波が問題だろ?!。」
「ほかにサーフィンやる場所って知ってるのか?!。」
と、修二が訊いたのです。

「ジュンは、どちらかでやっているって言ったけど!?。」
「そうだなあー?!。」
そう言ってしばらく考えると、
「江ノ島の西側でやっていないとなると、電車で移動できる東かあ?!。」
「そうだきっと!。七里ヶ浜のほうだあー?!。」
と健介が言いました。
「七里ヶ浜って?!。」そう修二が言うと、
「さっき降りた駅の腰越から東へどのくらいかなあ?!。」
「300mか400mかそのぐらいだと思うけど!?。」
「浜に出るんだ!。」
「そのへんから、稲村ヶ崎のへんまでの浜のことを言うらしいんだ!。」
と、健介が言いました。

「七里ヶ浜っていうんだから、長い浜だなあー!。」
「七里っていうと、一里は約3.75kmだから!。」
「えーとおー!?。約26.25kmかあー!?。」
「スゲー長いじゃん!!。」
そう修二が言いました。すると、

「相変わらず、計算が速いなあー!。」
「でもその計算は無意味だよ!。」
「行けばわかるけど!。七里じゃなくて一里もないよきっと!!。」
「一里ヶ浜ならわかるけど!。」
そう健介は、笑って言ったのです。
「じゃあ!。九十九里浜といっしょかあー?!。」
と、修二も笑って言ったのです。

「健介!。ところで西の浜を歩いていくと、
近くに電車は通っているのかあー?!。」
と修二が訊くと、
「東海道線が通っているには通ってるけど、
こんなに近くを通ってはいないよ、きっと!。」
そう答えたのです。するとすぐに、
「じゃあ!。その七里ヶ浜を探していなかったら帰ろう!。」
そう修二が言いました。
それからふたりはとぼとぼと、来た道をひき返したのです。

「こういうときに携帯があれば、すぐ見つかるのになあ?!。」
「ジュンのところ金持ちなのに、壊したからって言って、
買ってもらえばいいのにー?!。」
そう修二が言うと、
「あいつのところもいろいろあるからなっ!。」
「でも今は携帯は必需品だから、持ってないと不便だよ!。」
「いくら頭にきたからって、携帯をぶん投げて壊すなんて!。」
と、健介が言いました。

「学校行ってないのも、お母さんに言ってないんだ!。」
「このままいくと、出席日数が足りなくなちやうから、
学校に来るように言おうと思ったんだけど!。」
「どこ行っちゃたんだろうなあー?!」
そう健介は心配そうに言ったのです。
二人は浜からいったん道路まで出ると、そこを歩いて行き、
しばらく歩くと、また浜に出たのです。

「このへんからたぶん七里ヶ浜だと思うんだけど!。」
そう健介は言うと、東のほうを見たのです。
「結構いるなあー!。」
そしてちょっと西を見ると、
「あれ?!。女の子がいるぞ!。」と健介が言うとすぐ、
「ビキニだあー!。」
「ラッキー!。」「大ラッキー!。」
と、うれしそうに修二が言いました。

女の子ふたりが、ビキニ姿で、波と戯れていたのです。
こっちにはそのふたりしかいませんでした。
当然ふたりは、女の子たちのほうに、近づいて行ったのです。


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