妙なこと 第六話 (4)

「修二!。もうそろそろ藤沢だぞ!。」
そう健介が言ったのです。
「小田原まで行っちゃあ、まずいからなあー!?。」
「藤沢で江の電に乗り換えなきゃ?!。」
「だけどどこで、ジュンはいつも降りるんだ?!。」
そう健介に訊いたのです。
「うん!。いつも腰越で降りるんだ!。」
そう健介が答えるとじきに藤沢の駅に着いたのです。

ふたりは江ノ島電鉄線、通称江ノ電への乗換えが
6分ほどあったので、余裕でした。
いつもと同じようにドアの近くに立ったのです。
早く行けば楽に座れたのですが、座らない主義でした。
健介は純一(通称ジュン)といっしょに時々来ていたのです。
「腰越ってところまで、何分ぐらいかかるんだ?!。」
そう修二が訊くと、
「13、4分かな?!。」
「確か15分かからないと思ったけど?!。」
と、健介が答えました。

「そんなもんかあー!?。」
と、修二が言いました。
「だけど降りてから、少し歩かなきゃあー!。」
と、健介が言うと、
「なんだあー?!。駅は海から遠いのか?!。」
そう修二が言ったのです。
「違うよ!。駅は海に近いけど!。」
「アイツさあー!。江ノ島の橋の東側の海岸でやるときと、
西側でやるときとあるんだよ!?。」
と、答えたのです。

「サーフィンって、いつも同じ場所でやるんじゃあないんだあー?!。」
そう修二が言うと、
「うん!。その日の、波の状態で決めるんだって言ってた!?。」
と、健介が答えたのです。
「じゃあ!。捜さなきゃーならないんだぁ!。」

「江ノ島の橋の西と東で捜すんだったら、次はもう江ノ島の駅だぞ!。」
「降りなくていいのかあー?!。」
と、修二が言うと、
「だから素人は困るんだ!。」
「江ノ島の駅は海から遠いんだぞー!。」
「腰越の駅の倍以上海まで出るのにかかるんだ!。」
「だから、捜しながら海岸線を歩けばいいんだよ!。」
そう健介が言ったのです。

江ノ島の駅を過ぎるとすぐに腰越の駅でした。
ふたりは駅を出ると海岸に向かって歩いて行きました。
250mほど歩くと海岸へ出たのです。
そこから江ノ島のほうに向かって海岸を、歩いて行きました。
「健介!。江ノ島の橋のところまで結構あるぞ!。」
「裸足になって歩くかあ?!。」
と、修二が言いました。
「そうだなぁ!。」と、健介が答えると、
ふたりは靴を脱ぎ、裸足になって海岸を歩いて行ったのです。

「ジュンじゃあないなあー?!。」
そう健介が言うと、
「健介!。ジュンの髪型は前と同じかあー?!。」
そう修二が訊きました。
「髪はだいぶ伸びたけど!。修二にもわかると思うよ!。」
と、健介は答えました。
「ウエットスーツ着ているし、お前と違って組も違うから、
顔はわかるけど、よく判らないかもしれないなあ?!。」
と、修二は自信なさそうに、言ったのです。

するとすぐに修二が、
「あれ似てるけど!。」そう言って指差したのです。
修二の指先をよーく見た健介は、
「似てるけど違うなあ?!。」そう言ったのです。
「江ノ島に架かってる橋の向こうまで、海岸が続いてるのか?!。」
そう健介に訊くと、
「ここからは見えないけど!。」
「あのカドから100mぐらいで川になってるから、
そこにはいないと思うけど!?。」
そう答えたのです。

「一応、橋の下から西側を見てくるから、
修二!。ここで待っててくれよ!。」
健介はそう言うと、江ノ島の橋の下のほうへと歩いて行きました。


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