妙なこと 第六話 (3)

「お母さん?!。」
「修二は誰と待ち合わせて、江ノ島まで行ったんだあ?!。」
そう訊くと、
「お父さん!。健ちゃんですよ!。」
と、美津子が答えると、
「なんだあー?!。健介かっ?!。」
「ほんとに、彼女じゃあーなかったんだ?!。」
そう少しがっかりしたように言ったのです。

「彼女と、デートだとでも思ったの?!。」
「そうねっ!。江ノ島まで行くんだから!?。」
「ふつうデートだと思うわよねえー!?。」
と美津子が言いました。
「じゃあ?!。友達がサーフィンやっているって言ってたけど!。」
「健介じゃあーないとなると、誰なんだ?!。」
そう義雄が言いました。

「修二に訊いても、はっきり言わないのよ!。」
「あの子、うちの家族のことはべらべらしゃべるくせに、
友達のことはあまりしゃべらないの!。」
「なんでも、2年になってから急に来なくなった子がいるんだって!。」
と、美津子が言うと、
「来なくなったって、学校へか?!。」
そう義雄が、訊きました。

「ええ!。そうらしいの?!。」
「なんかいろいろ事情があるみたいんだけど!。」
「詳しいことは言わないのよ!。」
と美津子が答えたのです。
「高校2年かあー?!。」
「難しい年頃だからなあー?!。」
「その子がサーフィンやっているんだな!。」
「まだ初めて間もないんだろう!。きっと!。」
そう義雄が言いました。

「お父さん!。なぜそんなことが判るの?!。」
と、美津子が訊くと、
「だってお母さん!。サーフィンだろ?!。」
「始めたのは、サーフィンに決まってるだろ!。」
と義雄は、うれしそうに答えました。
「くーだらない!!。よく朝から、そんな”しゃれ”言うわねえ!?。」
と、起きてきた美加が言いました。

「美加!。やっと起きてきたの?!。」
「おはよう!。」
そう美津子が言うと、
「おはよう!。」
「お母さんも、朝からお父さんの、
くだらない”しゃれ”に付き合っちゃだめよ!。」
「癖になるから!。」
と、美加が言いました。

「結構面白いと思ったんだけどな?!。」
と、ニコニコして義雄が言いました。
「美加!。早く顔を洗ってきなさい!。」
「朝食べるのがばらばらだと、かたづけが大変だから!。」
そう美津子が言うと、
「そうだぞ!。」「お母さんが大変だから!。」
「早く顔を洗って、食べなさい!。」
そうえらそうに言った、義雄でした。

「わかったわよー!。今行きまあーす!。」
そう言うと美加は、洗面所に行ったのです。
美加が、洗面所に行ったのを確認した美津子は、
「お父さんも、いつまでも新聞を見ていないで、
さっさと、食べてくださいねっ!。」
と、言ったのです。そう言われた義雄は、
「はい!。」と言って、ご飯を食べ始めたのでした。

「そういえば昔、
新宿駅で待ち合わせて、江ノ島まで行ったなあ?!。」
「あの頃、何時間ぐらいかかったんだあ?!。」
そう義雄が訊くと、
「あの頃は、時間帯にもよるけど、
確か1時間半ぐらいは、かかっていましたよ!。」
「もう20年以上昔のことだから、
はっきりとは憶えてませんけど!?。」
と、美津子がそう答えたのです。

「じゃあ!。修二と健介は、まだ電車の中だなあー!。」
「あいつ!。飯も食わずに行ったけど、腹減っただろうになあ?!。」
「寝坊したから、しょうがないといえば、しょうがないかあー!。」
そう言うと、ご飯を一口入れたのです。
すると美加がきました。
「お母さん!。ご飯食べたの?!。」
と、美加が訊くと、
「まだよ!。あなた先に食べなさい!。」
そう言って味噌汁をついで美加に渡したのです。
美加は自分でご飯をよそうと、席につき食べ始めました。


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