妙なこと 第五話 (8)

「京子さん!。いいわよ!。」
「美加と、ふたりでやるから!。」
と、京子が洗い物を手伝っていたので、
美津子は、そう言ったのでした。
「ええ!。でももうすぐ終わりますから!。」
と、京子が言ったので、
「そう!。悪いわねえ!。ありがとう!。」
「終わったら、居間に行ってくつろいでね!。」
と、京子に言ったのです。

すると、「わたしには?!。」と美加が言ったので、
「わかったわよー!。あとで、デザート出すから!。」
と美津子が言いました。
「ラッキー!。」と言って舌を出した、美加でした。
ふたりは洗い物を済ませると、
居間に行ったのです。
修二は、居間に置いてある大きいテレビで、
テレビゲームをしていました。

「あんたまだ、そんな中学生みたいなことやってるの?!。」
と美加が言うと、
「お父さんには、ここで、野球を見るまで許可を得てるから!。」
「大きい画面のほうが、迫力があるんだよ!。」
と、ゲームをやりながら答えたのでした。
「ふーん!。でももう、2年生になったから、
ちゃんと勉強しなさいよ!。」
そう美加が言うと、
「わかってます!!。これから難しいところになるから、
お姉ちゃん黙ってて!!。」
そう言うと、修二は真剣な顔をしてゲームを続けたのでした。

台所では、義雄がお風呂から出てきました。
美津子はフライパンで豚肉の野菜炒めを作っています。
義雄は、冷蔵庫からビールを持ってくると、
ジョッキに半分ほど注ぎ、一気に飲み干したのでした。
「ああー!!。最初の一杯が実にうまいんだよなあー!。」
と、うれしそうに言ったのでした。
「むかしなら、ジョッキにいっぱいついでも、一気に飲めたけどなあー!?。」
「俺も年だよ!。お母さん!!。」
と珍しくそう言った義雄でした。

それを聞いた美津子が、
「お父さん!。会社で何かあったんですか?!。」
と言うと、
「いや別に!。ただ自分の体力が落ちてることに、気が付いただけさ!。」
「自分では、まだ若いものには負けないと思っていたけど!。」
「もう!。体力的にだめだなあー!?。」
と、言ったのでした。

「お母さん!。きょう、橋のところでUFO見た人が大勢いたんだって!。」
「知ってた?!。」
と、義雄が言うと、
「何ですか急に!。話がコロッと変わるなんて?!。」
「私が真剣に聞いてるのにー!!。」
と美津子が言い、
「ごめん!。ごめん!。」
「駅の構内で高校生が話していたんだよ!。」
と、義雄が言ったのです。

「制服が修二の行ってる高校みたいなんだ!?。」
「はっきりはわからないけど!!。」
「UFO呼んだ子がうちの高校の子らしいって言ううわさだって!。」
「そう言ってたぞ!!。」と、義雄が言ったとき、
ちょうどフライパンから豚肉の野菜炒めを、
皿に盛っていたときだったので、
こぼしそうになった美津子でした。

皿に盛った豚肉の野菜炒めを義雄の前に出すと、
美津子は、大きな声で修二を呼んだのです。
「しゅうじー!!。」
「大変よおー!!。」
「こっち来てえー!!。」 と言ったので、
「なんだい?!。お母さん??!。」
と、びっくりしてそう言った義雄でした。
美津子の大きな声を聞いた3人が、急いで台所にやってきました。

「どうしたの?!。お母さん??!。」
と、修二が台所に来て言うと、
美津子が修二の両肩をつかみ、真剣な顔をして、
「修二!。もう!うわさが広まっているのよ!。」
「あんたがUFO呼んだって!。」
と言うと、
「うそおー!!。」
「なんで俺ってわかったんだろう?!。」
と言うと、義雄が、
「お前っては、言ってなかったぞ!。」
「お前の行っている高校生らしき子達が、
”UFO呼んだ子がうちの高校の子らしいって言ううわさだって!。”って、
俺は聞いただけなんだよ!。」
「それをお母さんが早とちりして!?。」
と、そう説明したのでした。

「お父さん!。そうじゃないんです!。」
「京子さん!。座って、うちのお父さんに説明してやって!。」
と美津子が言ったので、
「はい!。」と京子は言うと、さっき座った席についたのです。
美津子も、美加も、修二も、椅子に座ったのでした。


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