ブログ小説 妙なこと 第五話 (1)

修二は、高校に通うようになってから、
この橋を渡るようになったのですが、
中学のときの友達が、この橋で、UFOを見たと聞いてから、
ときどき時間に余裕があるときは、この橋の真ん中に来ると、
橋から見渡す遠くの景色を見たのでした。
橋からは、南を見ると、遠くに山並みが見えたのです。
北や、東や、西は、ビルなどの建物しか見えませんでした。

ここ2ヶ月ほどは、忙しくて、橋を渡るだけで、
遠くの景色を見ることは、ありませんでした。
いつものように橋を渡り、自転車で自宅へと、戻ったのです。
「ただいま!。」
「腹減ったよおー!!。」
「きょうの夕飯なにいー??!。」
玄関を開けるとすぐに、そう言ったのです。

「修二!。お帰りー!!。」
と、台所から弾んだ声で母の美津子が答えたのです。
その声を聞いた修二は、なんかいやな予感がしたのでした。
修二が台所に行くと、
「修ちゃん!。頼みがあるんだけど!!。」
修二は、「やっぱり!!。」と思ったのですが、
一応訊いたのでした。

「なに!。頼みって?!。」と、修二が言うと、
「修ちゃん!。
お母さんが作る、マカロニサラダ大好きなんだよねえ!!。」
と美津子が言うと、
「きょう、マカロニサラダなの?!。」
「やったあー!!。」
と修二は言ったのでした。

「それがねえー!。」
「このあいだ、お父さんが遅く帰ってきたときに、
お酒のつまみがなかったんで、いつもマカロニサラダに入れる、
ホタテの缶詰を使っちゃったの!。」
「そのことを忘れてて、あると思って買い物を済ませてきたのよ!。」
「だ、か、ら!。買ってきて頂戴!。」
と、美津子が言うと、
「なんだあー!。」
「そんなことかあー!。」
「すぐ買ってきてやるよ!。」
と、修二はいとも簡単に答えたのです。

「すぐそこのスーパーだろ!。」
と言うと、
「違うの!。あそこのスーパーじゃあ売ってないの!。」
「ダイエーじゃなきゃあ!。」
と美津子が言うと、
「ええー!!。」「ダイエー!!。」
「今!。橋を渡ってきたばっかりなのに!。」
「また、自転車でえー!!。」
と修二がふくれっつらで言いました。

「自転車がいやなら!。わたしの軽自動車を貸すけど!。」
そう言って美津子は、
自動車の鍵を手のひらに持って、修二に差し出したのです。
「どこの世界に!。
自分の息子に、交通違反をさせようとする親が、いるんだ!!。」
と修二が言うと、
「じゃあ!。”すぐ買ってきてやるよ”って
言ったんだから、自転車で行くしかないわね!。」
と、美津子は言ったのでした。

「一缶700円ぐらいだから、
3000円あれば4缶買えるでしょ!。」
「おつりは修二のお駄賃よ!。」
と言って、美津子は修二に3000円渡したのです。
「えっ!!。」
「ホタテの缶詰って、そんなに高いんだあー??!。」
「それでうまいのかあー!?。」
と、つい言ってしまった修二でした。

しかしすぐに、
「お母さんは、工夫しているんだねえー!。」
「お母さんのマカロニサラダを食べたら、
スーパーで売っているマカロニサラダなんて!。
食べれないよおー!。」
と言うと、
「そお!!。そーでしょう!。」
「わたしもいろいろ考えて料理を作っているのよ!。」
と、うれしそうに言った美津子でした。

うまくホローできたと思った修二は、
ズボンのポケットに3000円を入れると、
「じゃあ!。行ってきまあーす!。」
と言うと、急いで玄関を開け、
自転車を担(かつ)いでいったのです。
(担いだりはしません!。美津子をちょこっと”よいしょ”しましたが)
いいえ!。違います!。
自転車をこいでいったのです。


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