妙なこと 第五話 (3)

「来週のことを考えると、ここは我慢するか!!。」
修二はそう言うと、買い物袋を持って、ダイエーから出て、
自転車置き場で、買い物袋を前のかごに入れると、
それが飛び出ないように、ネット状のゴムのカバーをセットして、
自宅を目指して自転車を走らせたのでした。
橋の途中に来ると、自転車を止めて南のほうを見たのです。

”あれ?!。あんなとこに建物ができてる!。”
修二はそう思うと、
3ヶ月ほど前に何か工事を始めてたのを思い出したのです。
”なんだろうなあ?!。”
とは思いましたが、そのほかには別に変わりなく、
同じ風景だったので、
”きょうも、UFO現れずか!。”などと思いつつ、
自宅を目指し走り出したのでした。

橋を渡りきると、そこからはゆるい下り坂でした。
途中に信号がありましたが、
うまく、青信号のタイミングを見ながら行くと、
ほとんど自転車をこがなくても、行けたのでした。
”きょうも絶好調”と思いながら、
自宅に戻って来たのです。
自転車を降り、カゴから買い物袋を取り出すと、
それを持って玄関を開けたのでした。

「ただいまあー!。」
と修二が言うと、
「お帰り!。」と、台所から美加の声がしたのでした。
修二が台所に行くと、美加が台所の流しのところにいたのです。
「お姉ちゃん帰ってたのかあ!。」
「お母さんは?!。」
と言うと、
「お母さんはお風呂場!。」
「お風呂のしたく、してるのよ!。」
と言ったので、修二が、
「お姉ちゃんがやればいいのにー?!。」
と言うと、

「何言ってんの!。」
「わたしが帰ったときには、もうお風呂のしたくをしていたのよ!。」
と、言ったのでした。
修二は、風呂場に向かいました。
「お母さん!。」
「買ってきたよ!。」
と言って風呂場にいた美津子に、買い物袋を見せたのです。

「ご苦労さん!。」
「もうすぐ終わるから、ちょっと待っててね!?。」
と美津子が言うと、
「お母さん!。あとは俺がやるから、早く夕飯のしたくしてよ!。」
「腹減った!!。」
と、修二が言ったので、
「わかったわ!。じゃあー!あとは、水で流せば終わりだから!。」
「きょうは、日が出ていたから、温水器だけで十分よ!。きっと!。」
「水の調整はうまくやってね!。」
と言って、美津子はタオルで手を拭き、
修二から買い物袋を受け取ると、
台所に戻ったのでした。

修二は、美津子に言われたとおりに、シャワーに切り替えて、
洗剤の泡が残らないように、風呂場全体を、
きれいに水で洗い流したのでした。
風呂桶に栓をすると、
「よーし!。オッケー!!」
そう言うと、太陽熱温水器の蛇口をひねって
水を出したのです。
はじめは水でしたが、すぐに熱湯に変わったのです。
修二は、蛇口の先に手を出して、
きょうはどの位の熱さかいつもみたのでした。

「おー!!。きょうは、スゲエー熱いなあ!。」
そう言って、すぐ手をどかすと、
シャワーと切り替えられる蛇口のほうの、
温度調整のところを、水に切り替えて、水を出したのでした。
いっぽうの蛇口からは、太陽熱で熱くなった熱湯が出て、
もう一方の蛇口からは、水が出たのです。
風呂桶にたまったのが、半分近くになると、
修二は風呂桶にたまったお湯に手を突っ込み、
湯加減を調整したのでした。

いっぽう台所では、美津子と美加が、かいがいしく働いていました。
「美加!。ありがとう!。」
「マカロニサラダの味はこれでいいと思うけど!。」
「うるさいのが一人いるから!。」
「味見させるんで、呼んできて頂戴!。」
と美津子が美加に言うと、
美加は、流しのところから3歩、歩くと風呂場のほうに向かって、
「修二!。お母さんが味見しなってよー!。」
と、大きな声で言ったのでした。


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