妙なこと 第四話 (11)

二人が地図を見ていると夜が白々と明けてきたのでした。
「どれ!。見せてみな!。」
「何だ!。この字は!??。」
「”びる”とか、”ひる”とか読むんじゃあないのか?!。」
「”びるやま”か?!。”ひるやま”か?!。」
「近くに何かヒントになるような文字はないのか?!。」
そう義雄が言ったので、亮が近くを探すと、
「兄さん!。ここにカタカナで”ヒルゼン高原センター”って、
書いてあるよ!。」
「インターチェンジの手前に、蒜山高原SAって、
書いてあるから、”ヒルゼンコウゲンサービスエリア”って、
読むんだよ!。きっと!。」

そう、亮に言われた義雄は、
「”ひるぜん”だって?!。」
「”ひる”はいいよ!。”ひる”は!。だけど、”山”を”ぜん”って、
読ませるのかよオー??!。」
「じゃあ!。富士山は、”ふじぜん”かよー!??。」
などと、むちゃくちゃなことを、言い出す義雄でした。

二人とも地名は、「むずかしいなあ」と、思うのでした。
「まわりも明るくなってきたな!。」
「蒜山(ひるぜん)だけに昼前(ひるまえ)には、通過しなければなあ!。」
などとくだらないシャレを言ってニコッとする義雄でした。
よせばいいのに亮が、
「音読みと、訓読みでシャレを言ったんだね!。」
「高等なテクニックを使うじゃあない!。兄さん!。」
そういわれた義雄は、
「やっぱりお前は頭がいいなあ!。」
「高等なシャレがわかるんだから!。」
などと、笑みを浮かべて言いました。

「とにかく、落合ジャンクションから米子自動車道に入り、
蒜山インターチェンジで降りればいいんだな!。」
義雄がそう亮に言うと、
「そうだよ!。だけど、ホントに運転代わらなくていいの!?。」
亮が訊きました。

「任せなさい!。任せなさい!。」
「じゃあ!。出発だ!。」
そう笑いながら答える義雄でした。
社パーキングエリアを出発して、
中国自動車道を西に車を走らせたのです。

地図を見ていた亮が言いました。
「もうすぐ先に福崎インターチェンジっていうのがあるんだけど!。」
「そこを降りて南に行くと、山陽自動車道に入れるみたいだよ!。」
「だいたい12、3キロぐらいしか離れていないみたいだ!。」
「そこからまた離れていっているようだよ!。」
それを聞いた義雄が言いました。

「じゃあ!。そのところだけ、中国自動車道と、
山陽自動車道とは近い距離なんだ!。」
「そうみたいだよ!。」
亮が答えると、
「山陽だけに、さんようか!。さようか!。」
義雄がまた、シャレを言いました。
西へ、しばらく車を走らせていくと、川を渡りました。
その表示板を見て二人は驚きました。

「今、亮!。」
「揖保川って書いてあったよなあ!?。」
義雄がそう言うと、
「そうだよねえ!。」
「俺も見たよ!。」
「揖保の糸の揖保川かなあ?!。」
「字が同じだったからそうだよう!。たぶん!。」
亮がうれしそうに言いました。

二人ともそうめんが大好きでしたが、
揖保の糸が一番うまいと思っています。
すぐに揖保川パーキングエリアの表示板を見たのでしたが、
急がなければならないので寄らずに通り過ぎたのでした。
「きっと揖保の糸をおみやげに売っているよ!。」
「たぶんな!。」
二人はそう話しながら先を急いだのです。
院庄を過ぎると、義雄が言いました。

「院庄を過ぎたから、落合ジャンクションはもうすぐだな!。」
すると、
「落合ジャンクションのすぐ手前に、
美作追分(みまさかおいわけ)パーキングエリア
っていうのがあるから、そこを過ぎてすぐを左に行けば、
中国自動車道から、米子自動車道に入るよ!。」
「少しゆっくり行ったほうがいいよ!。」
亮がそう言いました。
すると義雄が、・・・


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