妙なこと 第四話 (8)

「そうだな!。トイレ休憩するか!。」
「お前の言うとおり、先は長いからな!。」
「養老サービスエリアっていうのがあるのか?!。」
「養老だけに、そこに養老、寄ろう!。」
義雄がうれしそうにそう言うと、
「へへ!。兄さんに言わせようと思って、
養老サービスエリアを選んだんだ!。」
「養老へ、養老!。」
「必ず言うと思ったよ!。」
今度は、亮がうれしそうに言いました。

「なあーんだ!。お前の策略か!?。」
「ホントにそういうサービスエリアがあるのか?!。」
そう義雄が言ったので、
「ホントにあるよ!。寄ればわかるさ!。」
そんな会話をしていると、小牧ジャンクションを過ぎ、
一宮ジャンクションも過ぎ、養老サービスエリアが近づいてきました。
「ホントだ!。養老サービスエリアだ!。」
「養老!。寄ろう!。」
と義雄がうれしそうに言ったので、
「なんと単純な兄なのだろう!。」
と、亮は心の中で思いました。

二人は、まず最初にトイレに行きました。
夜中なので、店は閉まっていましたが、自動販売機で、
缶コーヒーを買い、車の中で室内灯をつけて、
コーヒーを飲みながら地図を確認したのです。
「米原ジャンクションを過ぎてからは、
もうジャンクションはないんだな?!。」
義雄がそう言うと、
亮は、指で、名神高速道路をたどりながら、
ゆっくりと見ていきました。

「兄さん!。」
「栗東インターチェンジの近くに、
栗東トレーニングセンターって書いてあるよ!。」
「これって競馬の、栗東トレーニングセンターのことだろ?!。」
「競馬なんてダービーとか有馬記念とか、
大きなレースしかやらないからなあ?!。」
亮が、義雄に訊きました。
「競馬って馬の上に人間が乗っているからなあ!。」
「もし本当に速い馬を決めるなら、
馬だけで走らせろよ!。そう言いたいね!。」

「兄さんそれじゃあ、答えになっていないよ!?。」
亮がそう言うと、
「栗東と言えば、競馬に決まってるよ!。」
「その先はどうなんだ!?。」
「ジャンクションはないのか?!。」
と、義雄が言いました。

「吹田のところで、中国自動車道に入るんだけど、
そこが一番、注意しないといけないところかな?!。」
「そこまでは、注意して走るところはないよ!。」
亮がそう言うと、
「中国自動車道か!。」
「亮!。中国だけに”ちゅうこく”ありがとう!。」
そう義雄が言ったので、
「俺が、真剣に地図を見てれば!。」
「くだらない!。まったく、くだらない!。」
そう、亮が言ったのです。

「ごめん!。ごめん!。」
「そう怒るなよ!。コヒー飲むか?!。」
そう言って、余分に買っておいた缶コーヒーを、差し出したのです。
「コーヒーはもういいよ!。あんまり飲むと胃が痛くなるから!。」
「最近胃の調子がよくないんだよ!。」
と、亮が言いました。

「接待で飲み過ぎてるんじゃあないのか?!。」
「役職がつくと、いろいろと神経が磨り減ることも多いからなあ!。」
「1度。病院で見てもらったほうがいいぞ!。」
義雄がそう言うと、
「俺も、1度。病院に行こうと思っているんだ!。」
と、亮が言いました。
「そうしろよ!。」
「お袋が倒れただけじゃなく、
お前が”ガン”だったらみんな心配するからなあ!。」
そう義雄が言いました。

「何で、俺が胃が痛いだけで”ガン”なんだよう!。」
亮がそう言いました。
「”たとえ”だよう!。たとえ!。気にするな!。」
「ドンマイ!。ドンマイ!。」
義雄がそう言うと、
「どんまい!。どんまい!。の使い方が違うだろう!。」
亮はそう言うと、首をひねったのでした。

「もう出発しよう!。」
「俺が運転変わるよ!。」
亮がそう言うと、
「だーめ!。」
「初めての道だから、俺が運転していくんだ!。」
義雄がそうほざいたあと、・・・


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