妙なこと 第四話 (5)

「ごめん、ごめん!。」
「俺も記憶がいまいちだったんで、
しばらく考えていたんだ!。」
「どうせ、帰りも東名で帰ってくるんだから、
そのとき見れば、俺の記憶違いかどうか、わかるだろう!。」
そう義雄が言うと、
「まあそりゃあ!。そうだけど!。」
「ホントに短い距離だけ3車線だったなあ!。」
「もう2車線をだいぶ走ってるからなあ!。」
「兄さんの記憶は正しかったよ!。」
亮がそう言いました。

「もうすぐ大井川だ!。」
「よく昔の人が言った、箱根八里は馬でも越すが、
越すに越されぬ大井川か!。」
亮がそう言うと、
「そうだなあ!。」
「この川は、江戸時代、橋を作らせなかったので、
みんな困っていただろうなあ!。」
「川止めとかいうので、
水かさが多くなると渡らせなかったそうじゃあないか!。」
「今は、橋があるからあっという間に渡れるけど!。」
義雄が言いました。

「次の大きい川は、天竜川か!。」
「もうすぐ牧の原サービスエリアだ!?。」
義雄がそう言ったので、
「寄るの?!。」
そう、亮が聞くと、
「いや!。寄らないよ!。」
「牧の原の茶畑を壊して、今度静岡に空港ができるって
ニュースで見たから!?。」
「どの辺だろーな?!。」
義雄が言いました。すると、
「俺に訊いても知らないよ!。」
「だいいち、バスや新幹線でしか、
こっちのほうには、来たことが無いんだから!。」
そう亮が答えました。

「お前、新幹線かバスでこっちに来たことがあるのか?!。」
「どっかに泊まったのか?!。」
義雄が聞きました。
「そういう意味じゃあないよ!。」
「通り過ぎただけだよ!。」
そう、亮が答えると、
「なあーんだ!。」
「そういう意味ね!。」
そう義雄が言うと二人で笑ったのでした。

「もうすぐ天竜川だ!。」
「渡るとすぐ浜松だ!。」
そう義雄が言うと、
「天竜川で地名が別れているんだ!。」
「手前の市はなんていうところ?!」
亮が聞きました。
「そんなこと知るわけ無いだろう!。」
「その辺に表示版があるよ!。
注意して見ていないと夜だからわかりにくいぞ!。」
義雄が答えました。

なぜか二人は真剣に表示板を見ていました。
二人が同時に言いました。
「磐田だ!。」
すると亮が言いました。
「サッカーで有名なジュビロ磐田のあの磐田か!。」
サッカーにまるで興味の無い義雄が言いました。
「聞いたことはあるけど、むかしのヤマハだろ!。」
「兄さん!。サッカー嫌いなのによく知ってるね!。」
亮がそう言うと、
「サッカー嫌いじゃあないんだ!。」
「興味が無いだけだ!。」
「野球のほうがいいに決まってる!。」

「ビール飲んで見ていても、
小便にいく時間もありゃしない!。」
「間の休憩時間は長いし、始まれば始まったで長いし、
点が入ったと思ったらすぐに点をかえされるし、
とにかく俺には合わないだけだ!。」
むっとしたように、義雄が言いました。
「兄さん!。天竜川だ!。」
「天竜川と、大井川ではどっちが広いんだろう!?。」
そう亮が言ったので、義雄が言おうとする前に、
「もっとも、橋を渡してある場所によっても違うから、
一概には言えないね!。」
笑いながらそう付け加えました。


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