妙なこと 第三話 (7)

「修二は行ったことないけど!。和雄と美加は行ったことがあるんだ!。」
「美加はぜんぜん覚えていないかもしれないけどね!。
1歳か2歳ぐらいのときだったよ!。
和雄もまだ4つか5つぐらいだったかなあー?!。」
「民宿に行った頃はまだタケちゃんもうちの会社にいたんだけど、
何年かしてから、うちの会社をやめて奥さんの実家がある富士に
行ってそちらの会社に勤めていたんだ!。」
と、義雄が言ったのです。
「へーそうなんだ!。」修二がそう言いました。

「行った民宿は、沼津なんだけど!。」
「和雄と美加を連れてった時は、夏で、海水浴に行ったんだ!。」
と、義雄が言うと、
「わたしは、憶えてないわ!。」
「お兄ちゃんは?!」と、美加が言いました。
「海水浴だけじゃあ!。わからないなあー?!」そう和雄が答えました。
「タケちゃんが、沼津の近くの伊豆長岡っていうところの温泉があって、
そこの旅館に予約してくれたんだ!。」

「そこで一緒に会ったんだよなあー!。お母さん!?」
と、義雄が言ったのです。
「そうでしたねえ!。大きなお風呂で和雄がはしゃいで、
タケちゃんちお子さんが遊んでくれましたね!。」
と、懐かしそうに美津子が言ったのでした。
「そうだ!。三津シーパラダイスにラッコを見に行ったんだ!。」
「ラッコは憶えてないか?!。和雄!。」と、義雄が言うと、
「憶えてる!。憶えてる!。」「あそこかあー!」
「ビーバーに似たおなかの上で貝を乗せて割って食べるやつだ!。」
うれしそうに和雄が言いました。

「おお!。思い出したか!。」
「そのとき行ったのは、三津シーパラダイスに近いとこの民宿だったんだ!。」
「みとシーパラダイスなんか聞いたことないよ!。」
修二が不満そうに言いました。
「”みと”って言っても字が変わっているんだ!。」
「”みと”の”み”は、いち、にい、さんの横棒三本の三で、
”と”は、”沼津”の”津”って書いて”みと”って言うんだ!。」
義雄がそう説明をすると、
「へえ!。日本語って難しいね!。」
「地名なんか特にそうだね!。読めないのが結構あるよ!。」
と、修二が言ったのです。

「じゃあ、その土地で生まれた人に光圀(みつくに)って言う人がいたら、
”みと みつくに”って言うんだね!。」
「字が違うけど!。」
と、修二が言いました。すると、
「ワッ、ハッハッ!」「よくそんなこと考えるわねえ!。」「くだらない!。」
「お前らしいよ!。」「うまい!。うまい!。」
みんなが笑いながら、それぞれ言ったのでした。
「話が横道にそれたんで、元に戻すぞ!。」
義雄がそう言うと、また話し始めました。

「雨の中を走っていくと、厚木インターの手前頃から、
また雨足が速くなってきたんだ!。」
「海老名でゆっくりしていたんで、もう5時頃になっていたんだけど、
あたりは真っ暗だったんだ!。」
「でも東名そのものは、両側からライトに照らされていたから明るかったんだけど、
雨が降っているから見にくかったんだけどな!。」
「タケちゃんがサイドミラーか、バックミラーかわからないけど、
ミラーを見て、『何かついて来てるぞ!』って言ったんだよ!。」
「俺がなにっ?!。って訊いたら、『よくわからないけど?!』
って、タケちゃんが答えたんだ!。」

すると、みんなは一斉に
「ええー!?。」と言って、
義雄の顔を見て、真剣に話を聞き始めたのでした。
「お父さんは助手席に乗っていたんだけど、最初左側の窓を見たんだけど、
何にも変わった様子がないんで、次に右側の窓を見たんだ!。」
「東名の道を照らしてるライトは、いろいろな色のがあるけど!。」
「明らかに大きさも輝きも違っていたんだ!。」

「一瞬!。厚木を過ぎてからなので、厚木基地の飛行機かと思ったけど!。」
「雨が降っているからといって、オレンジ色に輝く飛行機なんて、
聞いたことも見たこともないからすぐに!。」
「あれって絶対ユーホー(UFO)だよ!。タケちゃん!。」
「お父さんは、タケちゃんに向かって言ってから」
「後ろにいるスーさんと、キーさんにも、”UFOだよね!。”って言ったんだよ!。」
「ふたりとも、『そうかもしれないな!。』って言ったきり、
黙ってしまったんだ!。」
「俺が後ろに向かってなんか言っても何にも答えてくれなかったんだ!。」

「それからは、タケちゃんと、俺とふたりでの会話しかなかったんだよ!。」
「俺はそのときなんかすごく興奮していたんだ!。」
「俺が見ているのは、厚木基地の飛行機や、ヘリコプターなんかじゃあない!。」
「だいいち、雨の音しか聞こえなくて、飛行機やヘリコプターだったら、
そんなに近くを飛んでいたらものすごい音が聞こえるだろう!?。」
「正真正銘の未確認飛行物体のUFOだ!。って確信していたんだ!。」
「タケちゃんが、登り坂になっている道を走ってきているので、
『義雄!。まだついてきてるか?!』って聞いたんだけど、
”同じようについてきてるよ!”って言ったんだけど、
ほんとに車に合わせてついてきてるとしか言いようがなかったんだ!。」

「お父さんは、生まれて初めて見たUFOだったけど、
何でオレンジ色に輝いているか不思議に思ったんだ!?。」
「タケちゃんに、”雨が降っているせいでオレンジに輝いてるのかなあー?!。”
って訊くと、『そうかもしれないけど!なんとも言えないなあー?!』
って、言われたんだ!。」
「もうどんどんと、登りが急になっていくんだけど、その車に合わせて、
オレンジ色に輝くUFOが山道を同じようについてきたんだ!。」


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