本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを適当に用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
義雄が台所に来るとあとから修二と、美加がすぐ来たのでした。
「なんだお前たち?!」と、義雄が言うと、
「なんだかのどが渇いてきちゃったから、」
と、美加が言ったのです。
「俺も、のどが渇いたから」
と、修二も言いました。
そのあとに美津子が来たのです。
「お母さん!。今飲んだのにまたのどが渇いたのか?!」
と、義雄が訊きました。
「みんないなくなったんで、ひとりじゃいやだから来たんです。」
と、美津子が答えると、
「そうか、そうか!。よし、よし!。」
そう言って、美津子を抱きしめた義雄でした。
「お父さんよして!。子供たちの前で!」
と美津子が言うと、修二が言いました。
「別にかまわないよ!。それが夫婦というものですから!」
「お母さんの気持ちわかるわ!」
「ひとりでいるのは、なんかいやな感じがする。!」
そう子供たちに言われて、
そのまま義雄に抱きしめられていると、
気持ちが落ち着いた美津子でした。
義雄は、一番最初に缶ビールを、
修二と美加は、グラスに注いだウーロン茶を、
美津子は、グラスに注いだオレンジジュースを、
それぞれが持って居間に戻ったのでした。
そしてみんなが席につき、
義雄がビールをジョッキに注ぎ終わると、
また修二が話し始めたのでした。
「俺と同じ道にいる自転車に乗ったおばさんが、
ひとりは、歩道のほうを走ってきて、
もうひとりのおばさんは、俺と同じように車道を走ってきたんだ。」
「話しながら来たみたいだったんだけど、そのまま来るとぶつかると思い、
俺は右の車道のほうによけたんだ!。」
「そして俺は一応ブレーキを踏んで足をついて止まっていたんだけど」
「そのおばさんは気がつくのが遅かったようで、
ブレーキを踏んだようだったんだけど、
俺の自転車の50センチか、30センチかそのぐらいで、
タイヤの先が重なるくらい手前で止まったんだ!。」
と、修二が言ったのです。
「よかったじゃないの!。ぶつからないですんで!」
と、美津子が言いました。
「ほんとだ!。ぶつからないでよかったなあ!」
と、義雄も言いました。
「ふつうはそう思うだろ!」
「俺もぶつからないでよかった!。そう思ったんだ!」と、修二が言うと、
「なに!。どうしたの?!」
と、美加が訊きました。
「ブレーキ踏んで止まったら、ふつう足をつくだろう?!」と、修二が言うと、
「あたり前じゃないか!。足をつくに決まってる!」
と、義雄が言いました。
「ところが俺もびっくりしたんだけど!。」
「そのおばさん!。ブレーキを踏んで止まったまんまの状態で、
俺のほう側に倒れたんだ!」
「びっくりしたヨオー!」
「ふつう考えられないだろう!」
修二はそのときの状態を、
「こんなかんじで倒れたんだ!」
そう言って、座ったままからだを使って、倒れて見せたのでした。
「それから一瞬、まをおいて倒れたおばさんに大きな声で言ったんだ!」
「おばさん!。だいじょうぶ!!。」
「そのおばさんが立ち上がって言ったんだよ!」
「”だいじょうぶ!。だいじょうぶ!。”ってね。」
「そして自転車を起こすと、もう5mか6mぐらい先にいってしまい、
止まって待ってるおばさんに言ったんだ!大きな声で!」
「ケガなくて本当によかったわよー!」
「ってね!。」
「そして、何もなかったような態度で自転車にまたがり、
走り去っていったんだ!」
「しばらくその二人の後姿を見ていたんだけど、
”早く帰らなくちゃ”
と思い、帰ってきたんだけど!」
「まったく!、わけのわからないことだらけだったよ!」
そう言い終わると、ウーロン茶を一口飲む修二でした。
「世の中には説明がつかないことがあるって言うけど本当ね!」
「しかもきょう、お父さんと修二が、
同じような不思議なことに出会うなんてネ!。」
そう言うと美加も、ウーロン茶を一口飲んだのでした。
「だけどヘンよねえー!二人とも周りに、だれもいなかったなんて!!??」
そう言うと美津子は、ジュースを一口飲んだのでした。
「修二!。ところで橋を渡ったところにあった、
おじいさんとおばあさんでやっていた、
鯛焼きの店は今もやっているのか?!」
と義雄が訊きました。
「おじいさんか、おばあさんか忘れたけど!。」
「どちらかが病気になったとかで、店は閉まったままだよ!。」
と、修二は答えたのです。
「じゃあ、別に問題はないのか!?」
「でも今考えても、あのときの様子が、半年前に来た風景と違っていた
ように思えてならないんだ!?」
そう言うと、アジのフライをつまみ、
ビールをジョッキの半分ほど飲んだ義雄でした。
「お父さんより、俺のほうがもっと!、わけのわからないことだらけだよ!。」
そう言って、グラスのウーロン茶を、飲み干した修二でした。