妙なこと 第十八話 (13)

「それがさあー!?」
「俺もよく話が分からないんだけどー!?」
「健介っちおじさんとあとふたりの人。合計三人で!」
「伊豆に行く予定だったんだそうだけどー!?」
「ふたりの人が急に葬式ができて行けなくなったんだよー!?」
「切符もう買ってあるから!?」
「予定通り行ってくれって!」
「切符を持ってきてくれたんだってさあー!?」
「だからそのふたりの代理で行くんだー!?」
「詳しい内容はわからないけどー!?」
と修二が言ったのでした。

「じゃあー!」
「別に健ちゃんと修二以外でもいいんだあー!?」
「だったら、わたしと京子か夏樹でもいいじゃん!!?」
「おじさんに頼もうかしら!?」
と美加がまじめな顔をして言うと、
「冗談じゃないよー!!?」
「トンビに油揚げさらわれるようなまね、やめてくんない!!」
と修二がはすを尖(とが)らせ言ったのです。

「修二と健ちゃんは、あした図書館で勉強する予定だったんだろう??!」
「だったら美加に譲(ゆず)ってもいいんじゃないのかあー!??」
とニヤニヤしながら義雄が言うと、
「お父さんも美加もー!?」
「修二をからかうのやめなさーい!!?」
と美津子が言ったのでした。

「ばれたかあー!?」
と義雄が笑いながら言うと、
「わたし本気だったんだけどー!??」
と美加が言ったのです。すると、
「まったくふたりとも冗談きついよー!!?」
「そういう冗談やめてくれないかなあー!??」
と、少し引きつった顔で修二が言ったのでした。

「しょうがない!」
「かわいい弟の為に!?」
「今回はやめてやるわー!!?」
と言って、笑いながら舌を出した美加でした。

しばらくの間みんなで、以前家族で行った伊豆の話をしながら、
食事をしたのでした。
夕飯が済むと、
義雄と修二は居間に野球のテレビ中継を見に行き、
美加はテーブルの上の片付けの手伝いを済ますと、
風呂に入る支度をしに自分の部屋に戻り、
美津子は、いつものように洗い物をしたのでした。

男ふたりで、しばらく野球中継を見ていると、
家の電話が鳴ったのです。
修二はすぐに玄関のところに行き、電話に出たのでした。

「もしもしー!??」
と言ったあと、
「おじさん!こんばんはー!?」
と修二は言い、すぐに、
「ちょっと待ってください!?」
「今替わりまーす!」
と言って受話口に手を置いたのです。

そして大きな声で台所に向かって、
「おかあさーん!」
「健介っちおじさんからでんわー!!?」
と言ったのでした。すると、
「はーい!!?」
と大きな声で台所から返事があったのです。
そしてすぐに美津子が小走りで、電話のところまで来たのでした。

「お電話替わりましたー!?」
と言って、しばらく話を聞いたあと、
「こちらこそすいません!」
「よろしくお願いいたします!!?」
と言ってから、
「では!修二と替わりますので!」
「失礼いたしまーす!!?」
と言うと、修二に受話器を渡した美津子でした。

受話器を受け取ると修二はしばらく話を聞いていたのです。
「はーいわかりましたあー!?」
「じゃあー!おやすみなさーい!!?」
と言うと、電話を切った修二でした。

修二はすぐに居間に戻ったのです。すると、
「石田さんなんだってえー!??」
と義雄がすぐに訊いたのでした。

「朝9時3分発のひかりに乗るから!?」
「駅に8時頃に来ていてってさあー!?」
「あと学生証が必要だから、必ず忘れないように持って来てって!?」
と言うと、
「じゃあー、さっそく忘れないように!」
「あした着ていく服のポケットに先に入れてくるかあー!?」
と修二は言ったのです。

そしてすぐに居間を出ると、2階の自分の部屋に行き、
学生証を服のポケットに入れたのでした。
それから、携帯電話と財布もほかのポケットに入れようとした時に、
財布の中身を見たのです。

「これじゃあー!?」
「いくらなんでも、少ないよなあー!??」
と言うとうれしそうに、
財布だけ持ち、階段を下り居間に行ったのでした。

居間に入ると同時に、
「お父さん!?」
と言ったのですが、義雄はいませんでした。

「あれ??」
「どこ行ったんだろう??!」
「台所かなあー!??」
と言うとすぐに修二は台所に向かったのです。
ところが義雄は台所にはいませんでした。

「お母さん!?」
「お父さんどこ行ったか知らないー??!」
と修二が訊くと、
「知らないわよー!?」
「お風呂は美加が入っているしー!?」
「トイレじゃないのー!??」
と答えた美津子でした。

それから修二は、
「トイレかー!?」とひとこと言うと、
ゆっくり居間に戻ったのです。
すると義雄が居間にいたのでした。






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