妙なこと 第十八話 (11)

修二は健介を見送ると、すぐに家に戻ったのです。
そしてゴールデンウイークだというのに、
いつもと同じように、ダラダラと夜の時間を過ごしたのでした。

朝起きると、修二は美津子に作ってもらった弁当を持ち、
健介との約束どおり自転車に乗り、図書館へと向かったのです。
修二が図書館に着くと、
入り口から5番目に、健介は並んでいたのでした。

「健介、おはよう!?」
と修二が言うと、
「おはよう!!?」
「席、取っとくからあー!?」
と修二に向かって言ったのです。すると、
「うん!サンキュー!!?」
と返事をした修二でした。

そして開館時間が来ると、
すぐに図書館に入り、健介がいつもの席を二つ確保したのです。
そしてじきに修二が、健介の隣の席に座ったのでした。
ふたりはいつもと同じように午前中筆談をし、
時々声を出さずに顔を見合わせ笑いながら、勉強をしたのでした。

12時を過ぎると、ふたりは公園に行き、
いつも通りにお互いのお母さんに作ってもらったお弁当を、
思いっきり大きな声で、話をしながら食べたのです。
ふたりが弁当を食べ終わり、
片付けが済み、しばらく話をしていると、
健介の携帯が鳴ったのでした。

「もしもしー!?」
と言ってからしばらく、
携帯の相手からのことばを、真剣に聞いていた健介でした。

「うん!」
「それはいいけどー!?」
「修二の予定を聞かないとー!??」
と健介は言ってしばらく相手の話を聞いたあと、
「わかったあー!?」
「じゃあねえー!?」
と言って、携帯を切ったのでした。

「あのさあー!?」
「しゅうじー!??」
と健介が言うと、
「なにー!??」
と修二が言ったのです。

「あしたも図書館で勉強することになっていたんだけどさあー!?」
「それやめて!」
「伊豆に行かないかあー!??」
と健介が言ったのでした。すると、
「なにそれっ!!??」
と急に言われた修二は、きょとんとしてそう答えたのです。

「俺もさっき聞いたばかりでよくわからないんだけどー!?」
「うちのお父さんといっしょに!?」
「伊豆に行くことになっていた人ふたりが!?」
「急に親戚のおじさんが亡くなって!」
「北海道まで行くことになったんだってえー!?」
「それで!」
「もう三人分切符を買ってあるから!!?」
「誰か誘って予定通り行ってくれってー!?」
「切符持って来たんだってえー!?」
と、健介が言ったのでした。

「ほんとー!?」
「それって!ラッキーじゃん!!」
「行くのはいいけどー!?」
と修二はうれしそうに言ったのです。
そのあとすぐ、
「でも!人の不幸を喜ぶわけじゃないけどさあー!?」
と付け加えた修二でした。

「でもなんで!おじさんとその人たちふたりで!?」
「伊豆に行くことになっていたのー!??」
と修二が言うと、
「なんかねえー!?」
「月例会で発表する番だったんだってえー!?」
「だから行かないとまずいらしいんだあー!?」
と健介は言うと、時計を見て、
「もう戻ろう!??」と言ったのでした。

修二も時計を見て、
「もうこんな時間かあー!?」
と言うと、
「じゃあー行こう!行こう!!?」
と言ってバッグに弁当の空箱をしまい、
それを持ってふたりで、図書館へと戻ったのです。
それからまた午後の勉強を始めたのでした。

図書館での午後の勉強を五時で終わり、
ふたりはそれぞれ自転車に乗り、帰路についたのでした。

「ただいまあー!?」
と玄関のドアを開け修二が言うと、
すぐに家に上がり、
バッグから空の弁当箱を入れたスーパーの袋を取り出し、
バッグを肩に掛け、台所に持って行ったのでした。

「おかえりー!!?」
と美津子が言うと、
「ただいまあー!?」
「あのねえーお母さん!」
「あした忙しくなちゃったよー!!?」
と修二が美津子に向かって言ったのです。

「どうしたのー!??」
と美津子が言うと、
「あとでゆっくり話すよー!?」
と言って、スーパーの袋から弁当箱を取り出し、
「ごちそうさまー!」と言うと、
流しのシンクの中にそれを置いた修二でした。

「きょうの夕飯なにー!??」
と言うと、
「先に、手洗ってらっしゃい!!?」
と美津子が言ったのです。

「とりあえずバッグを置いてきてからねっ!」
「そのあとすぐ洗ってくるよー!?」
と言うと、
修二はバッグを持って台所を出ると、
自分の部屋に向かったのでした。






▲Top