妙なこと 第十八話 (9)

「じゃあー!?」
「お風呂はあとでいいんですかあー!??」
と美津子が言うと、
「野球終わったら入るから!?」
と義雄は答えたのです。

それから義雄はサッサと立ち上がり、
自分でお盆を持って来ると、
その上に冷蔵庫から出した缶ビールを載せ、
卵を溶いた取り皿の中に、豚すきを入れると、
その皿と箸を載せ、
「ごちそうさん!!」と言うと、
居間に向かってうれしそうに歩いて行ったのでした。

「野球って最近テレビで放送しなくなったのにー!?」
「おじさん!」
「どうやって見てるのー!??」
と不思議そうに健介が言うと、
「有線で見てるんだあー!!?」
と修二が言ったのでした。

「そうかあー!?」
「修二ちは、有線引いてあったんだったなあー!?」
「いいなあー!?」
「でももう2年だしー!?」
「勉強しなきゃならないから!?」
「テレビ見ないしー!?」
「俺には必要ないって言えば、ないけどねっ!!?」
と健介が少し笑いながら言ったのでした。

「テレビは、ほとんどお父さん専用よねえー!?」
「特に野球始まってからはねっ!」
と美加が笑いながら言うと、
「ほかに楽しみ見つければいいのにねえー!?」
「健ちゃんのお父さんみたいにー!?」
と美津子が言ったのでした。

「うちの父は!?」
「浅く広くで!しかも趣味多過ぎですー!!?」
「最近は野菜作りを始めたんです!」
「と言ってもプランターのヤツですけどー!?」
「いつまで続くか?」
「家族全員そう言ってます!!?」
と笑いながら言うと、
豚すきを卵に浸け、それをご飯の上に載せたのです。
そしてそれをうまそうに食べたのでした。

「そういえばお母さんも!先週!?」
「苗を買ってきて始めたんだよねえー!?」
「おじさんと違って!」
「趣味ではなく!節約のためにー!!?」
と修二が言うと、
「うるさいわねえー!?」
「節約じゃなくて!」
「実は、趣味なの、よー!!?」
「家庭菜園!!?」
と美津子がニコニコしながら言ったのです。

「野菜って言っても、どんなの植えてるのー!??」
「おじさん??!」
と美加が言うと、
「トマトとなすときゅうりです!」
「俺が知っているのはー!?」
「その三つは、名前書いてあるからわかるんですけどー!?」
「ほかに名前書いてないのもあるんですよー!!?」
「本人は”出来たときのお楽しみー!!?”って言うんですけどねっ!」
「俺は、難しいのに挑戦しているような気がするんですけどー!?」
と健介が言ったのでした。

「おじさん結構!チャレンジャーだからなあー!?」
と修二が笑って言うと、
「言えてるわねえー!?」
と納得したように美加が、ニコニコしながら言ったのです。

「おばさんは、何を植えてるんですかー!??」
と健介が訊くと、
「同じよー!!?」
「トマトとなすときゅうりー!?」
「それにネギ!」
と美津子が言ったのでした。

「最初種から育てようとしたんだけどー!?」
「ホームセンターに行ったら!」
「初めての方は!?」
「”接木の苗のほうが失敗しない”って言われたのよー!?」
「プランターとか野菜用の土とかいろいろそろえたら!?」
「結構お金かかっちゃったあー!?」
と美津子が笑って言ったのです。

「そういえばうちの父も!?」
「”初心者だから接木の苗を買って来たあー!!”って言ってました!!?」
「ホームセンターに行ったら言われたんですね!」
「きっと!!?」
と健介が、ニコニコしながら言ったのでした。

「うちのお母さんと違っておじさんは!?」
「ちゃんと下調べしてから出かけたと思うよー!?」
「ねえー!お姉ちゃん??!」
と修二が言うと、
「たぶんねっ!!?」
「だいたい!種から育てようなんて!!?」
「発想が単純よねえー!?」
と、笑いをこらえて美加が言ったのです。

美津子は豚のロース肉を冷蔵庫から取り出すと、
まな板の上に広げ、それを半分に切り、
すき焼きの鍋の中に追加すると、
カセットコンロの火を強にしたのでした。そして、
「健ちゃん!?」
「お肉追加したから!?」
「すぐに煮えると思うから!?」
「遠慮しないで食べてねっ!!?」
と言うと、
穴のあいたお玉で煮えている豚すきを取り、皿に取ったのです。

それから美津子は、
穴のあいたお玉をすき焼き鍋に戻すと、
取り皿に入れた豚すきを箸で持ち、
それを溶いた卵に浸け、
ご飯の上に載せ、おいしそうに食べたのでした。(細かすぎー!!かなっ?)






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