妙なこと 第十八話 (8)

「ブランド牛なんてー!」
「おじいちゃんち行って食べる時ぐらいしかないじゃん!!?」
と小声で修二が言うと、
「しゅうちゃん!!?」
「なんか言ったあー!??」
と美津子が言ったのです。

「別に何も言ってないわよねえー!!??」
と美加がウインクして言うと、
「うん!!」
と、しかたなく答えた修二でした。

美津子は一旦テーブルの上のカセットコンロを止め、
すき焼き鍋を鍋つかみを使い持つと、
ガスコンロに掛け、スイッチを入れたのです。
そして、刻んである白菜、焼豆腐、長ネギ、しらたきのほか、
えのき、まいたけ、玉ねぎも入れ、
最後に豚肉を入れたのでした。

「あとは、”豚すき”になるからねえー!?」
「牛(ぎゅう)はそれだけだから!?」
「じっくり味わって食べてねっ!!?」
と言ったあと、
「ご飯お代わりするなら言ってねっ!」
「それと、たまご冷蔵庫にあるから自分で!?」
「たまごの取り皿と殻入れはここにあるから!!?」
と、笑いながら言った美津子でした。

「やっぱりー!!?」
「話がうますぎると思ったよー!!?」
と修二が言うと、
「じゃー!味わって食べよーっと!!?」
と健介が、”すき焼き”をうまそうに食べながら言ったのでした。

「牛の時は卵いらないよー!?」
「って言うかあー!?」
「味をじっくり味わいたいからねっ!!」
と修二が言うと、
「でもおばさん!!?」
「うまく均等に分けるなあー!??」
と感心したように健介が言ったのです。

「ずっと5人で暮らしていたからかなあー!?」
「和雄の分が健ちゃんに変わっただけだからねっ!」
と美津子が言うと、
「そういえば!お兄さんにしばらく会ってないなあー!?」
と健介が、すき焼きをご飯の上にのせ、言ったのでした。

「”便りがないのが無事な証拠”って言うから!?」
と義雄が言うと、
「へえー!そうかあー!?」
と修二が言ったのです。すると、
「でも電話ぐらい掛けてくればいいのにねえー!?」
「いくら忙しいって言ったってえー!??」
と美津子が言ったのでした。

それからみんなでいろいろな話をしばらくしていると、
豚すきが煮えたのでした。

「さあー!食べてちょうだい!!?」
と言って美津子が、ガスコンロのところから、
カセットコンロの上に、すき焼き鍋を載せたのです。
そしてスイッチを入れ、火力を弱にしたのでした。
するとすぐに修二が、イスを引き立ち上がったのです。

「たまご、たまごーとっ!!」
と言って冷蔵庫のところに行き、冷蔵庫を開けたのでした。
すると健介が、
「俺のもなあー!?」
と言ったのです。

「おおー!!」
と修二が答えると、
「わたしのもねえー!?」
と美加が言い、
「お母さんのも!?」
と美津子が言うと、
「俺のもなっ!修二ー!!?」
と義雄が言ったのでした。

「なんだよー!!」
「みんなじゃん!!??」
と言うと、1個ずつ卵を手渡したのでした。
それぞれが卵を受け取ると、
「サンキュー!」「ありがとう!」
「ご苦労さん!」「さすが修ちゃん!」
と言ったのでした。

「言いたくはないんだけどさあー!!?」
「みんな俺が立つの待ってたあー??!」
と修二が言うと、
「ぜんぜん!!」
と健介が手を横に振りながら言い、
「考えすぎじゃないー??!」
と美加が言ったのでした。

そして自分の卵と取り皿を持ってイスに戻り座ると、
「さあー!目いっぱい食うぞー!!」
とうれしそうに言ったのでした。
そして、
「アッ!」
「ご飯お代わり忘れてた!!?」
と言って、茶碗を美津子の前に差し出したのでした。

すぐに修二から茶碗を受け取ると美津子は、
ジャーを開け、杓文字(しゃもじ)でご飯をすくい茶碗に大盛に盛ると、
修二に手渡したのでした。

「健ちゃんはー??!」
と美津子が言うと、
「遠慮するなよー!健介!!?」
と修二が言ったのです。すると、
「じゃあー!」
「修二と同じぐらいでお願いしまーす!?」
と健介が、少し照れながら茶碗を差し出し言ったのでした。

「高校生の頃が一番食べれるんだから!?」
「健ちゃん!遠慮しなくていいからなあー!!?」
と義雄が言うと、
「はーい!!?」と健介がうれしそうに言ったのでした。

「お父さん!おご飯お代わりはー!??」
と美津子が言うと、
「俺はもういいよー!?」
「すき焼きつまみに、缶ビール持って居間で野球見るからー!?」
とうれしそうに義雄は答えたのでした。






▲Top