妙なこと 第十六話 (14)

来た時と同じに秋葉原の駅から総武線に乗り、
御茶ノ水で乗り換え新宿駅に着き、
そしていつもの駅に戻って来たふたりでした。
もう夕方5時を少し過ぎていたのです。

「暗くなってきたなあーー!?」
と修二が言うと、
「ほんとだ!日が暮れるのが早くなったなあー!?」
と健介が言い、ふたりは駐輪場から自転車を出し、
いっしょに途中まで行ったのでした。

「じゃあー!?あしたまた図書館で!!?」
と健介が言うと、
「じゃあー!なあー!?」
と修二が答え、ふたりはそれぞれ自転車をこいで、
自分の家目指して行ったのでした。

「ただいまあー!?」
と言って修二が玄関を開けると、
「おかえりー!?」と台所から声がしたのです。そして、
「わりと早く帰って来たわねえー!?」
と言って玄関に来た美津子でした。

「お夕飯、外で食べてくると思ったわ!!?」
そう美津子が言うと、
「余分に千円しかもらわなかったんだからあー!?」
「なんにも食べれるわけないじゃん!!?」
「ああー!?腹減った!!?」
と修二が言ったのです。

「今、支度(したく)しているところだから!?」
「もう少し待ってちょうだい!!?」
と美津子は言うと、台所へと戻っていったのでした。

修二は居間に行くとショルダーバッグを開け、
おでん缶を2缶コタツ兼用の座卓の上に置くと、
洗面所へと行き手と顔を洗い、うがいをしたあと、
台所へと向かったのです。

「お母さん!?きょうはなにー?!」
と修二が訊いたのです。すると、
「おでん!!」
と美津子が笑いながら言ったのでした。

「えー!!ほんとー!??」
と修二が驚いたように言うと、
「冗談だわよー!?」
「お父さんに頼まれたおでん缶買って来たの?」
と美津子が言ったのです。

「お母さん!?珍しいねえー!?」
「冗談言うなんて!?」
と修二が言うと、
「たまにはねっ!!?」
と言って笑った美津子でした。

「きょうは野菜炒めよ!」
「修二好きでしょー!?」
と美津子が言うと、
「そりゃあー!好きだけどー!?」
「あと味噌汁の具は!?」
と言って鍋のふたを取り、
お玉でかき混ぜそれを上に上げた修二でした。

「豆腐とワカメかあー!?」
「妥当(だとう)なせんだねっ!」
と言うと修二は、
美津子が使っているフライパンの中を、覗(のぞ)いたのでした。

「ジャガイモに玉ねぎに豚肉とそれにキャベツかー!?」
「あれ?なんでジャガイモ!??」
と言うと修二は、買い物袋を覗いたのです。
そこにはカレーの箱とニンジンが入っていたのでした。

「この野菜炒め!?」
「ついでに作ってないー!??」
と修二が言うと、
「そんなことないわよー!?」
「なんでー??!」
と美津子が言ったのでした。

「キャベツをニンジンに替えれば!?」
「カレーの具だからあー!?」
と修二が言うと、
「さすが修ちゃん!察しがいいーわねえー!?」
と言って笑ってごまかした美津子でした。

すると玄関で、
「ただいまあー!?」「ただいまあー!?」
と言う声がしたのです。
義雄が美加を駅まで迎えに行って、戻って来たのでした。

すぐに修二が迎えにでると、
「しゅうじー!?途中で会ったの分からなかったかあー!??」
「クラクション鳴らしたんだけど!?」
と義雄が言うと、
「気が付かなかったよー!?」
「気持ちよく飛ばしてきたから!?」
と言って笑った修二でした。

久しぶりに四人でいっしょに食事をしたのです。
にぎやかに会話も弾んだのでした。そして、
夕食を済ませると義雄と修二は居間へと向かったのでした。

ふたりが居間に来ると、
「お父さん!約束どおりに2缶(ふたかん)買ってきたよー!?」
と修二が言い、
テーブルの上に置いたおでん缶を指さしたのです。

「おおー!サンキューサンキュー!?」
と義雄はうれしそうに言うと、
1缶を手に持ち、プルトップを引き、パカッとフタを開けたのでした。

竹輪を刺してある串を持つと、
ツユをこぼさないように、一口で口の中に入れたのです。
そして串を引き抜くと、
「冷めててもけっこううまいなあー!?」
「むかしと同じ味だあー!?」(ホントかいなあー!??)
と義雄は言ったのでした。

そして義雄は急に思い出したのです。
「そういえば、子供の頃みんなでおでんをつついだんだけどー!?」
「缶を開けるのに自動販売機のとこのお店に入って!?」
「そこのおじさんに缶切りを借りて、開けたんだったなあー!!?」
「そこのおじさんが!?」
「すぐ買って食べたい人がいるんで!!?」
「缶切りはいつも置いているんだよー!!?」
「そう言ってたんだあー!?」
「思い出したよー!しゅうじー!!?」
とうれしそうに言った義雄でしたとさ!!

これで、お。し。ま。い。

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