妙なこと 第十六話 (12)

きのうの天気が嘘のように晴れ渡り、
修二はいつものように自転車で、図書館へと向かったのです。
「きょうはいい天気だなあー!?」
「これでなくっちゃねっ!!?」
と言いつつ、自転車をこぎ図書館に着いたのでした。

「けんすけー!!?」
「よかったなあー!晴れてさあー!?」
と修二が前に並んでる健介に言うと、
「悪かったなあー!?」
「お前んちお母さんに弁当作らせちゃってー!?」
と健介がすまなそうに言ったのです。

「かえってよかったよー!?」
「昼飯代出さなくてよくなったじゃん!!?」
とうれしそうに修二が言うと、
「ならいいけどおー!?」
「きのうは、いろいろインターネットで調べていて!?」
「そっちに夢中になってさあー、弁当いらないっていい忘れた!!?」
と、健介が少し笑って言ったのでした。

修二と健介がしばらく話をしていると、
じきに図書館が開いたのです。
ふたりはいつものように図書館に入ると急に黙り、
何か話があると、紙に書いて会話をしたのでした。
(こういうのを筆談(ひつだん)という。
ほとんど座って行うので、英語でも”しぃっつだん(sit down)”と言う?
嘘です。単なるなまりのある英語のダジャレを書きたかっただけですダッ!!)

午前中勉強を済ませたふたりは、
いつものように公園へ行き、芝生のところで食べようとしたのですが、
まだ芝生の根元のほうは雨が乾いてないので、
ベンチのところに座り、弁当を開けたのでした。

「メモリー増やすと、すごく早くなるらしいんだあー!?」
「純正メーカー製だと高いんだけど、あとあとの安心感があるからなあー!?」
と弁当を食べながら健介が言うと、
「健介はいいよなあー!?」
「新しいパソコンに換えたから!?」
「俺はまだお姉ちゃんのお古だよー!?」
と修二がご飯をほおばりながら言ったのでした。

「パソコンは便利だけどさあー!?」
「普通の日に買い物とかすると!?」
「頭のいい人にはかなわないよなあ−!?って!つくづく思うよー!?」
「計算機なんかいらないんだもんなあー!??」
と健介は言うと、
「まあー!?」
「ふだんはパソコンとか計算機とかは持ち歩かないしー!?」
「じゃまだから!?」
と修二がうれしそうに言ったのでした。

「このあいだどこかのブログに書いてあったんだけどさあー!?」
「兄さんたちは頭悪いから東大に入いったんで!!?」
「頭のいい自分は!」
「一流の棋士になったんだって書いていた記事があったんだけどー!?」
「それってどうなんだろうねえー!??」
と健介が言うと、
「普通は東大なんてなかなか入れないから!?」
「すごいと思うけど!?」
「人数で考えるとー!?」
「やっぱり!囲碁将棋などの棋士のほうが少ないかなあー!??」
と言うと修二は考え込んだのでした。

「だって!!?」
「修二っちお姉さんだって!?」
「現役で東大の1次試験は受かったんだからそれでもすごいよー!?」
と健介が言うと、
「まあねっ!!?」
「でもやっぱり少し変わってるところがあるよー!?」
「弟の俺が言うのもなんだけどさあー!?」
と笑いながら修二が言ったのでした。

「2次試験はものすごく難しかったんだってえー!?」
と健介が言うと、
「そのことを言うのは、家(うち)のタブーなんだ!!?」
「今でも忘れないよー!?」
「2次試験の日のことは!!?」
「あんなにガックリしたおねえちゃんは見たことなかったからなあー!?」
と修二が思い出したように言ったのでした。

「プロの一流棋士になるには!?」
「相手と対戦して勝っていかなきゃなれないから!?」
「毎日試験やっているようなもんじゃあーないのかなあー!??」
と修二が言うと、
「いずれにしても俺たちじゃあー!?」
「どっちも無理だし!?」
「なあー!!??」
と言うとふたりは顔を見合わせ、大笑いしたのでした。

昼を公園で食べ終えるとふたりは、
いつもの駅まで自転車をこいで行ったのでした。
駅近くの自転車置き場に停め、電車に乗り新宿まで出たのです。
新宿駅から中央線に乗り、御茶ノ水駅で総武線に乗り換え、
そしてじきに秋葉原の駅に着いたのでした。






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