妙なこと 第十六話 (11)

時間は過ぎ、朝になったのです。
普段(ふだん)の日と変わらずに、
美津子が朝一番に起きたのでした。
30分ほど遅れて義雄が起きたのです。

階段を下り、洗面所に行く前に台所に義雄は行くと、
「おはよう!!」
と言ったのです。すると、
「お父さんおはよう!」
「きょうは、久しぶりの休みだから、ゆっくり寝ていればいいのにー!?」
と美津子が言ったのでした。

「きのうはぐっすり寝たから!?」
「普段どおりに起きちゃったよー!?」
「慣(な)れってのは恐ろしいなあー!??」
「土曜日の出勤に慣れちゃったようだよー!?」
と、少し笑いながら言ったのでした。

「土曜日はほんとは休みなのに、出勤して休日手当てないなんてー!!?」
「昔では考えられませんよねえー!??」
と美津子が言うと、
「役職持てば、しかたないさあー!?」
とあきらめ顔で言い、そして、
「朝飯(あさめし)のしたくはゆっくりでいいからねっ!?」
と義雄は言ったのでした。

「きょうはそのつもりでいましたけどー!?」
と美津子が言うと、
「あっ!そうかあー!?」
と言って洗面所へと向かった義雄でした。

義雄と美津子は、いつもより遅い時間で食事を済ませたのです。
義雄が居間で新聞を広げながら、テレビを見ていると、
修二が2階から下りて来たのでした。
急いで洗面所へと向かい、顔を洗い歯を磨き、
食堂へと来たのです。

「お母さん!?」
「お弁当作ってくれないー!??」
と修二が言うと、
「きょう午後から健ちゃんと秋葉原へ行くんでしょー!?」
「きのう、何も言わなかったから!?」
「困ったわねえー!?」
「お弁当のおかず少ないけどいいー!??」
と美津子が言ったのでした。

「いいよー!?」
「公園で食べてから行くことになったからさあー!?」
「健介がお母さんに言い忘れたんだってさあー!?」
「午後から秋葉原行くのを!?」
「だからいつものように、もう弁当作ってあったんだって!!?」
と修二が言ったのです。

「冷凍庫に何かあるはずだから!?」
「冷凍食品でもいいでしょ!?」
と美津子が言うと、
「お母さん!?」
「メラミンは混入してないだろうねえー!??」
「材料は中国からの輸入が多いから!?」
「危なくってしょうがない!?」
と修二が言ったのでした。

「そうねえー!?」
「でも買ってある冷凍食品は、一応日本製だしー!?」
「日本の企業を信用するしかないわねえー!?」
と美津子が言ったのです。すると、
「消費者は調べようがないからねっ!!?」
「お母さんに任せるから、とにかく作ってよー!?」
と修二が言ったのでした。

「海苔(のり)は2段重(にだんがさ)ねにしてよー!?」
「そうすれば、おかず少なくてもいいからさー!?」
と修二が言うと、
「そのつもりだわよー!?」
そう美津子はうれしそうに答えると、
修二の弁当作りを始めたのでした。

それから修二は朝の食事を済ませ、
弁当が出来上がると、
「お母さん!?ありがとう!!?」
「じゃあー!行ってきまあーす!!?」
と大きな声で言うと、
「いってらっしゃーい!!?」
と美津子も大きな声で答えたのでした。

すると居間にいて、その声を聞いた義雄が玄関にやって来たのです。
修二が美津子に作ってもらった弁当を、
ショルダーバッグに入れてると、
「しゅうじー!?」
「おでん缶買って来てくれるかあー!??」
そう言って義雄が、ポケットから千円札1枚を出したのでした。

「お父さん!?」
「おでん買うのには千円あれば十分だけどー!?」
「秋葉原行くまでには、費用がかかるから!?」
「そこんところよろしくー!!?」
と修二が言うと、
「なんだあー!?」
「すごく高いもんにつくなあー!??」
と義雄が言ったのです。

それから義雄はポケットからもう1枚千円札を出すと、
「じゃあー!?二缶(ふたかん)買って来いよー!?」
と言ったのでした。すると修二はもう1枚千円札を受け取り、
「毎度ありー!!?」
と言って、急いで玄関を出て行ったのでした。






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