本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを好きなだけ用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
そして美加が風呂から出たのは、10時半を過ぎていたのです。
美加は洗面所でドライヤーを使いある程度乾かすと、
いったん台所へと行き、冷蔵庫を開け、
湯上りにウメッシュを一気に半分ほど飲んだのでした。
「まったくいつもながらお姉ちゃんは長いんだから!?」
と修二が美加の声を聞き言うと、
それまでテレビドラマを真剣に見ていた義雄が、
「そういえば、このドラマもそうだけど!?」
「時代背景がけっこう古いものか、新しいものだよなあー!??」
「俺たちが青春だった頃のドラマは見たことないぞ!!?」
「もっとも!?ドラマ自体あまり見ないけどなー!??」
と義雄がニヤニヤしながら言ったのでした。
「お父さん、何?うれしそうにー!??」
と修二が言うと、
「お前にはそういえば!?」
「お父さんが若かった頃の話をしたことがあまりなかったなあー!?」
「思い出したよー!?」
と義雄がうれしそうに言ったのです。
「お父さん思い出したのー!??」
「おでん缶どうして開けたか!!??」
と修二が言うと、
「違(ちが)うんだあー!?」
「缶ビールなんだけど!!?」
「発売して最初の頃は、缶切りというか?」
「あれはなんていう名前だったのかなあー!??」
「とにかく、穴をあけるヤツがついていたんだよー!?」
「思い出したよ!!」
と、うれしそうに義雄が言ったのでした。
「穴をあけるのー!??」
「俺は見たことないけど!どんなの!??」
と修二が言うと、
義雄は修二に、紙と鉛筆を持って来るように言ったのです。そして、
「お父さん、絵が下手(へた)だから!?」
「消しゴムも忘れずになあー!?」
と義雄が、居間を出て行く修二に向かって言ったのでした。
「分かったー!?」
そう修二は答えると、
階段を上がり自分の部屋に向かったのです。
それからしばらくして、
修二はレポート用紙とペンケースを持って、居間に戻って来たのです。
義雄はペンケースを開け、シャープペンを取り出し、
レポート用紙を一枚切り離すと、
最初に缶を書き、つづいて缶穴あけ具を書いて、
「これがこういうふうにくっついていたんだよー!?」
と義雄は言うと、
缶ビールの缶に、穴あけ具がくっついているところも書いたのでした。
それを見た修二は、
「へえー!!?」
「昔は缶ビールを開けるのにこういうのを使っていたんだあー!??」
と修二が驚いたように言ったのです。すると、
「だけど、しゅうじー!?」
「缶ジュースは、これよりだいぶ小さいのがくっついていたんだよー!?」
と義雄が言ったのでした。
「缶ジュースにも、これと同じようなのが付いていたのかあー!??」
そう納得したように言うと、
「じゃあー!?」
「プルトップを発明した人は!?」
「今から考えると、革命的なものを発明したんだねえー!??」
と言ったのです。
「まあー!?革命的といえばそうだけどー!?」
「改良されて!」
「今の形になるまでには、いろいろ事故も起きていたんだよー!?」
そう言うと義雄は、
自分が飲み終えた缶ビールを手に取り、しげしげと見たのでした。
「じゃあー!?お父さんは!?」
「缶ビールの穴あけ具のほうを思い出したんだあー!??」
「おでん缶をどうやって開けたのかは、まだ思い出していないんだあー!?」
と修二が少し笑いながら言うと、
「そのうち思い出すさあー!?」
と義雄は答えたのでした。
すると居間に、美津子と美加が用事を済ませやって来たのです。
「何を思い出すのー!?」
「お父さん!!??」
と美津子が言うと、
「お母さん!?覚えているだろー!?」
「缶ビールが発売されてすぐの頃!??」
と義雄が言ったのです。
「缶ビールが出始めの頃ですかあー!?」
と言うと少し考えてから、
「うちのお父さん!?」
「缶ビールは”缶臭い”って言って!!?」
「ビンビールしか飲まなかったから!?」
と美津子が言ったのでした。