妙なこと 第十六話 (7)

「そう!?」
「いつも、ご馳走(ちそう)になっているばかりで、気になっているんだけど!?」
「お届けは、盆暮れだけでいいかしらねえー!?」
「またお父さんとも相談して決めるわ!」
と美津子が言うと、
「なんなら俺がジュンちへ、お届けにあがってもいいんだけどさあー!?」
と修二がうれしそうに言ったのです。

「あなたが行ったら、もっと余計ご馳走になっちゃうわよー!?」
「まあー!?修二にはぜったいに頼まないから、!?」
「気を使ってくれなくてもだいじょうぶよ!!?」
と美津子がニコニコしながら言うと、
「そうですかー!?」
「ホナ、さいなら!!?」
そう言うと、台所からサッサと出て行った修二でした。

美津子は台所の片づけが済むと、
洗面所へと行き、クレンジングクリームで化粧を落とし、
顔を洗ったのです。
そして、肌荒れ防止のローションをつけ、手を洗ったのでした。
それから夫婦の部屋へ行き、ジャージに着替えると、
着替えを持ち、途中居間に寄り、
義雄と話をしてから風呂場へと向かったのでした。

「しゅうじー!?」
「変な電話またかかってくるかもしれないから!?」
「来たら、今度は俺が出るからなー!?」
と義雄が言うと、
「出ても切れちゃうよー!?たぶん!!?」
「男の声だと!?」
と修二が言ったのです。

「じゃあー!?」
「女の人の物まねで出るかなー!??」
と義雄がうれしそうに言うと、
「無理だよー!?お父さん声が太いから!?」
「分かっちゃうよー!?きっと!!?」
と修二が酔っ払いを相手に、まじめな顔をして言ったのでした。

「ところであしたはまた図書館通(がよ)いかー!??」
と義雄が言ったのです。すると、
「うん!健介と午前中はねっ!!?」
「午後から秋葉原へ行くんだよー!?」
と修二がうれしそうに言うと、
「お前!?まさかメイドカフェへ行くんじゃあー!?」
と、疑いの目で義雄が言ったのです。

「そんなとこへ行くわけないじゃん!!?」
「パソコンのメモリーを買いに行くんだよー!?」
「お父さん行ったことあるのー!?メイドカフェ?」
と笑いながら修二が言うと、
「いやー!?ない!!?」
「話の種に、一度ぐらい行ってみたい気持ちもあるけどー!?」
「この年じゃ−!?」
「後(あと)で何言われるかわからないからなっ!?」
と笑いながら義雄が言ったのでした。

「あそこの親父!メイドカフェに入りびたりだってよー!?」
「なんてさあー!?」
「みっともないからやめてよー!?」
と修二が笑いながら言ったのでした。

「ところで!!?」
「今でも、おでん缶っていうのを売ってるかあー!??」
と義雄が言うと、
「けっこう人気ある見たいだよー!?」
「前にブームだった頃は、土日だと売り切れの日もあったみたいだけど!?」
「今はどうかなー!??」
「おみやげに買ってこようかー!?」
と修二が言ったのでした。

「俺が二十代の頃にはもう売っていたからなあー!?」
と義雄が懐かしそうに言ってから、
「あれ!?」
「まてよー!??」
と言ってしばらく考えていたのです。

「どうしたのー!??」
「お父さん!?」
と修二が言うと、
「小学校の時友だち何人かと秋葉原へ行って!?」
「珍しいのがあるって友だちが言って!それがおでん缶だったんだあー!?」
「おでん缶をその場で開けてみんなで食べた記憶があるなあー!??」
「だけどー!?」
「缶切りはどうして手に入れたんだろー!??」
「あれー!!??」
と言うと、腕を組んで考え込んでしまった義雄でした。

「プルトップじゃあー!?なかったのー!??」
と修二が言うと、
「俺たちの子供の頃には缶詰は缶切りで開けてたんだ!!?」
「プルトップなんか、あるもんかあー!?」
「今でも缶切りで開ける缶詰があるだろー!?」
「むかしは全部そうだったんだ!!?」
と言うと、組んだ腕を片方はずし、アゴに手をやり、
また考え込んだ義雄でした。






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