妙なこと 第十六話 (6)

美津子が電話を取り、
「もしもしー!?」
と言うと、
「あのー!?山本さんのお宅でしょうか?」
と言ったので、
「はい!そうですが!?」
「どちら様でしょうか?」
と美津子が言ったのです。

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又(かつしかしばまた)です!」
「そうじゃなくって!!?」
と相手が言ったので、
「ハーアー!!??」
と美津子が言ったのでした。

「すいません!!?」
「美加さんいらっしゃるでしょうか?」
と相手が言ったのです。すぐに、
「きょうは遅くなるって言ってましたけどー!?」
「お名前はー!??」
と美津子が訊いたのです。すると、
「そうですかー!?」
「じゃあー!?しっつれいしまーす!」
と言ってすぐ電話を切ったのでした。

それを階段から下りて来て修二が聞いていたのです。
「お姉ちゃんじゃなかったんだあー!?」
「きょうは純のところへ行ったから!?」
「また”おみやげ”もらってきたんじゃないかと思って来たんだけどー!??」
と修二が美津子に向かって言うと、
「変なあ、電話!!?」
「若い男の人だったんだけどー!?」
「どちら様でしょうか?って訊(き)いたら!?」
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又(かつしかしばまた)です!」
「だって!!??」
と美津子あきれたように言ったのです。すると、
いきなり修二が大笑いしたのでした。

「酔っ払ってたんじゃあーないのー!??」
と笑いながら修二が言うと、
「そういえばー!?」
「ちょっとお酒の匂いがしたかなっ!??」
と、美津子が少し笑って言ったのでした。

「あれっ!?」
「そういえば酒の匂いがするなあー!??」
と言って鼻をクンクンした修二でした。
それは居間から匂ってきていたのです。

修二が少し開いている居間の戸を開けると、
義雄が手酌(てじゃく)で酒を飲みながら、テレビを見ていたのでした。
美津子も修二のあとからすぐ居間へ来たのです。

「誰から電話だったー!??」
と義雄が言うと、
「たぶん酔っ払い!!?」
「ここにもひとりいるけどー!?」
と修二が笑いながら言ったのでした。

「はっきりは、分からないんですけどー!?」
「声は若い男の人だったんです!?」
「どちら様でしょうか?って訊いたら!?」
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又(かつしかしばまた)です!」
「って言ったんですよー!!??」
と美津子が思い出して、少し笑いながら言うと、
「そりゃー!?酔っ払いだ!!?」
「俺じゃあー!?ないけどなっ!!?」
と義雄が笑って言ったのでした。
すると美津子と修二が大笑いしたのです。

それから居間で修二が、義雄といっしょにテレビを見だしたのでした。
美津子は片づけをしに台所へ行ったのです。
するとまた電話が掛かってきたのでした。
今度は修二が電話に出たのです。

「もしもしー!?」
と言うとすぐ電話が切れたのでした。
修二が電話を置き居間へ戻ろうとした時に、
またすぐ電話が掛かってきたのでした。

修二が「もしもしー!?」と言うと、
「修ちゃん!?わたし!!?」
「お母さんに、お夕飯はジュンちゃんちでよばれたから!?」
「いらないからって言って!?」
「あと、9時ごろ駅に着くから着いたら電話するから!?」
「迎えに来てって言ってくれるー!??」
と美加が言ったのでした。

「わかったあー!?」
「ところで、今つながる前に1回電話掛けたあー!??」
と修二が言うと、
「電話1回しか掛けてないけどー!?」
「どうしたのー!??」
と美加が訊いたのです。

「わかったー!?」
「じゃあー!?お母さんに言っとくよー!?」
と修二が言うと、
「じゃあー!?頼むわねえー!?」
そう言うと美加は電話を切ったのでした。

修二はそれから台所へ行き、
美津子に美加からの伝言を伝えたのでした。






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