妙なこと 第十六話 (5)

美津子は駅のいつもの場所に行ったのです。
するとすぐに義雄が乗り込んできたのでした。

「きょう残業なかったんですねっ!!?」
「電話してくれればいいのに!?」
「さっき修二が、先にお風呂入りましたよー!?」
と美津子が言うと、
「そうかあー!?」
「じゃー!?着いたら俺もすぐ入るよー!?」
と義雄が答えたのです。

それからふたりは、じきに家に戻って来たのでした。
「ただいまー!?」「ただいまー!?」
と義雄と美津子が続けて言ったのです。すると、
修二が玄関へと来たのでした。

「おかえりー!?」
「お父さん!?どうしたの!??」
「朝歩いて行ったんでしょ!?」
と修二が言うと、
「お父さん!傘会社に忘れたんですって!!?」
と美津子が少し笑って言ったのでした。

「会社出るときは雨が上がってたんで!!?」
「すっかり忘れてたんだ!?」
「駅に着いたらみんな傘を持っているんで!?」
「気がついたんだけど戻るのも面倒くさいから!?」
「そのまま来てしまったんだー!?」
と義雄がそう言いながら、靴を脱ぎ終えると、
「じゃあー!?先に風呂へ入るから!?」
と言うと、夫婦の部屋へと向かった義雄でした。

そして修二と美津子は食堂に戻ると、夕飯を食べ始めたのです。
「しゅうじー!?エビばかり食べてないでしょうねえー!??」
と言うと、
「分かってるよー!?」
「でもきょうのホタテは小さいねえー!??」
と修二が言い、
「売り出しで、ベビーホタテっていうのを売ってたんで!?」
「買ってきたのよー!?」
「どう!?味は!??」
と美津子が言ったのでした。

「味は同じだよー!?たぶん!!??」
「でも食べ応えがないよー!?小さいから!?」
と笑いながら修二は、ベビーホタテを食べたのでした。

しばらくすると、義雄が着替えを持ち風呂場へ行き、
風呂へと入ったのでした。
「お父さん!?お湯加減はどうですか!??」
と美津子が洗面所から訊くと、
「ちょうどいい湯加減だー!?」
と義雄が答えたのでした。

それを聞いた美津子が、
「きょうはお鍋なんですけど!?」
「ビールにします?それともお酒にしますか?」
と言うと、
「鍋かー!?じゃーきょうは少し冷えるから!?」
「ぬる燗にしてくれるかなあー!?お母さん!!??」
と義雄が言ったのでした。

美津子は、「分かりました!!?」と答えると、
急いで台所へ戻り、燗つけ器に酒を入れると、
ぬる燗のところにセットしたのでした。
それからフライパンにベビーホタテを入れ、
塩・コショウし、バターで炒めたのでした。

「修ちゃん!?ちょっと味見てくれるー!?」
と美津子が言うと、
うれしそうに「うん!!?」と言って、
ベビーホタテを1つ入れた小皿を、受け取ったのでした。

「あっ!」
「こりゃー!?バター炒めのほうがおいしいねっ!!?」
と言って、うまそうに食べた修二でした。そして、
「お父さんに後(あと)でもらおう!!?」
そう言うと小皿を流しに置き、
「ごちそうさん!!?」と言ったのでした。

「そんなにバター炒めのほうがおいしい!??」
と美津子は言うと、
炒めたベビーホタテをフライパンに1つ残し、
レタスといっしょに皿に盛ったのでした。
義雄の席の前に皿を置くと、
すぐにフライパンに残っているホタテを箸でつまみ、食べたのでした。

「ホント!!?」
「おいしいわねえー!?」
とうれしそうに言ったのでした。
すると義雄が風呂から出てきたのです。
そしてテーブルの席に着いたのでした。

それから三人は、楽しく会話をしながら夕飯を済ませたのでした。
義雄は居間に行き、テレビのスイッチをつけたのです。
修二は親友の健介に電話を掛けるので、自分の部屋へと行ったのでした。
そして美津子が夕飯の方付けを台所でしていると、電話が鳴ったのです。

「美加からかしら!?」
と言うと美津子は流しに掛けてあるタオルで手を拭き、
エプロンをはずし自分のイスに掛けると、電話口まで行ったのでした。






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