妙なこと 第十六話 (3)

「雨だしー!?困ったわねえー!?」
「でも乾かすだけ、乾かそうかなあー!?」
そう美加は言うと、
換気扇のスイッチを入れ、
いつものように窓を少し開け、
風呂場に洗濯物を吊(つ)るしたのです。
風呂場の窓は泥棒よけに格子(こおし)で囲われていたので、
いつもそうしていたのでした。

「昼間だし誰もいないけど、だいじょうぶよねえー!?」
そう言って洗濯物を干し終わると、
電話のところまで行き、伝言を書いたポストイットを持って、
鏡に貼ったのでした。
それから洗面所の鏡に自分の上半身全体を写し、
前、後ろ、右左(みぎひだり)を見て、
「わたしって!やっぱりセンスいいわねえー!?」 (およよ!?)
と自分を褒(ほ)めると、
洗面所を出て、2階へと向かったのです。

美加は自分の部屋に入り、
もう一度部屋の鏡台で化粧を少し直し、
ショルダーバックを肩に掛け、
部屋を出て、階段を降り玄関へ来たのでした。そして、
「雨だから一番安いブーツにしよう!!?」
と言ってブーツを履(は)き、
傘を持ち、玄関の鍵を閉め出かけたのでした。

そして時間は過ぎ、
美津子はパートの帰りにいつものように買い物を済ませ、
家へと戻って来たのでした。
玄関の鍵を開け、ドアを開けっ放しにすると、
自分の軽自動車から買った荷物を持ってきて、
玄関マットの上に置いたのです。
それからすぐ軽に戻り鍵を掛けると、急いで玄関のドアを閉めたのでした。

美津子は荷物を持ち、食堂に行きテーブルのイスを引くと、
その上に荷物を置いたのです。
そしてすぐに洗面所に行き、タオルで髪の毛についた雨を拭き、
口紅を落とし、うがいをしてから、手を洗ったのでした。
それから髪の毛をとかし直したのです。

すると洗面所の鏡に、
”お母さんへ
洗濯物を干しました。
夕方、取り込んでおいて下さい。美加”
と書いた紙が貼ってあったのです。

「まったくー!?」
そう言って美津子は紙をはがすと、
洗面所のゴミ箱に丸めて捨てたのでした。
手を洗い風呂場へ入り、
洗濯物を取り込むと風呂のスイッチを入れたのです。
取り込んだものをきれいにたたみ、
洗面所を出ると2階の美加の部屋へと行ったのでした。
そして置いてくると、食堂へと向かったのです。

買った物を、夕飯に使うもの以外は整理し冷蔵庫に入れると、
夕飯の支度をし始めたのでした。
美津子が夕飯の支度をしていると、
修二が学校から帰ってきたのです。

「ただいまあー!?」
「腹減ったー!!?」
「きょうのおかずなにー!??」
と修二が玄関からすぐ食堂に来て言うと、
「おかえりー!!?」
「きょうは少し冷えるし、野菜が売り出しだったんで!?」
「お鍋にしたけどっ!!?」
と美津子が言ったのです。

「鍋かあー!??」
と修二が言うと、
「何か不服!!??」
と美津子が言ったので、
「いいえ!とんでもごじゃリません!!?」
「不服などありません!!?」
と修二は答えたのでした。

「修ちゃん!?きょう美加が少し遅くなるって言ってたから!?」
「ちょっと手伝ってちょうだい!!??」
と美津子が言うと、
「分かったー!?」
「部屋にバッグ置いたら、すぐ手を洗って来るよー!!?」
と言って、食堂を抜け階段を上がっていった修二でした。

修二は二階から降りてくると、洗面所でうがいをし、手を洗うと、
食堂へと来たのです。
「みんなの食器並べちゃってくれるー!??」
と美津子が言うと、
「OK(オッケイ)!!?」
と修二は答えると、手際よく並べたのでした。

「きょうもお父さん残業かなー!?」
と修二が言うと、
「”きょう行ってみないとわからない”って言ってたわよー!?」
と美津子が答え、
「そうかあー!?お父さんも大変だなあー!??」
「株、暴落したって言うし!!?」(株、お前に関係あるのか?)
と言って腕を組んだ修二でした。






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