ブログ小説 妙なこと 第十五話(11)

ふたりは釧路駅を1時半出発の、
特急の指定席を予約してあったのでした。
札幌まで約四時間の旅です。
「距離的には東京から名古屋までと、あまりかわらないと思うけど!?」
「時間がなあー!?」
と義雄が、いやそうに言ったのでした。

「しょうがないでしょ!?」
「飛行機使ったら、予算がだいぶオーバーしちゃうんですからあー!?」
「たまにはこういう電車の旅も記念になりますよー!?きっと!!?」
と美津子が言ったのです。

出発まで時間があったので、
ふたりは特急電車の先頭車両をバックに、
ツーショットを、近くにいた人に撮ってもらったのでした。
それから駅構内を見て歩くと、
駅の中の食堂に釧路ラーメンという名前のラーメンがあったので、
義雄が試しに食べてみようと言ったのです。

「お父さん!?よく食べれますねえー!?」
「わたしはもう食べれませんから!!?」
と美津子が断ると、
「そんなこと言わずに!!?」
と義雄が言ったのですが、
ひとりでは食べれそうもないので、結局あきらめたのでした。

出発の時間が近づいてきたので、
ふたりはペットボトルのお茶を買い、電車に乗り込んだのでした。
出発する前に帯広駅(おびひろえき)で、
10分ほど停車するという車内放送があったのでした。
すると義雄が、
「帯広かあー!?」
「豚丼(ぶたどん)が有名なんだって言ってたなあー!?」
「10分もあるんじゃあー!?買わなくちゃなー!??」
と言ったのでした。

「お父さん!?まだ食べるんですか!??」
とあきれたように美津子が言うと、
「だって!?帯広まで1時間半ぐらいかかるんだから!?」
「それまでには、だいぶおなかも減ってるさあー!?」
と、義雄が言ったのでした。

ふたりを乗せた特急は、
予定通り1時間半ちょっとで、帯広駅に着いたのでした。
すぐにふたりは駅構内に出ると、
空のペットボトルを、ペットボトル専用のゴミ箱に捨てたのです。
それから義雄はうれしそうに、駅弁の豚丼を選んでいると、
「お父さん!?お茶買いますー!??」
と美津子が言ったのでした。

「さっきのといっしょでいいよー!?」
と義雄が答えると美津子は、
「自販機で買いますから!?」
と言って、近くの自販機まで歩いて行ったのです。
そして2本買ったのでした。

義雄が駅弁を買い、それを持っていると、
「まったくー!?」
「お夕飯食べれなくなりますよー!?」
と美津子が駅弁を見て言うと、
「別腹(べつばら)別腹!!?」
と義雄は、ニコニコしながら言ったのでした。

「まだ2時間2・30分あるから!?」
「食べてもこのぐらいなら消化されちゃうよー!?」
と義雄が言うと、
「会社でメタボをうるさく言われてるんでしょ!?」
「じゃあー!?夕飯は少し控えてくださいね!!?」
と美津子がきつい顔をして言ったのです。

「わかってるよー!?お母さん!!?」
「もうすぐ時間だから!?」
と言って義雄は美津子の手を握ると、
ふたりは急いで電車に乗り込んだのでした。

じきに電車は帯広駅を出発して、札幌駅に向かったのです。
ふたりは席に座ると、
「景色見るのも飽(あ)きただろー!?お母さん!?」
と義雄は言って、女性週刊誌を美津子に手渡したのでした。

「いつの間(ま)に買ったんですかー!?」
と美津子が言うと、
「豚丼といっしょに買ったけど!!?」
と、さも当然のように答えた義雄でした。

豚丼も食べ終わり、
「いやあー!?2時間は長いなあー!?」
「新幹線なら名古屋まで行ってるよー!?」
と義雄が言うと、
「しょうがありませんよー!?飛行機は高いから!?」
「景色を見ながら、お茶でも飲んでてください!?」
と、美津子も少し飽きてきたらしく、そう答えたのです。

それからふたりを乗せた特急電車は、
予定通り5時半少し前に、札幌駅に着いたのでした。

電車を降り、札幌駅を出て、10分ほど歩くと、
ホテルに着いたのです。
エレベーターで2階に上がり、
フロントでチェックインを済ませ、部屋にバッグを置くと、
フロントまでまた行き、札幌観光マップをもらい、
散歩がてら、大通り公園のほうに歩いて行ったふたりでした。


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