ブログ小説 妙なこと 第十五話(1)

「お父さん!?」
「指定席だから!?早めに行かないとー!??」
「もうすぐタクシーが来るよー!?」
と修二(しゅうじ)が、心配して言ったのです。
「きのうの夜ちゃんとチェックしたから!?」
「忘れ物ないからだいじょうぶだから!?」
とテレビのプロ野球中継を見ながら、
そう言った父の義雄(よしお)でした。

「何も出かける寸前までテレビ見なくてもー!?」
と呆(あき)れ顔で、母の美津子(みつこ)が言ったのです。
修二は家の前まで出て、タクシーが来るのを待っていたのでした。
じきにタクシーの姿が見えたのです。

すぐに修二は玄関に入り、
「お父さん!?お母さん!?」
「タクシー来たよー!?」
と、大きな声で言い、すぐにタクシーのところに行ったのです。すると、
「わかったあー!?」
そう大きな声で義雄は答えると、
テレビのリモコンスイッチを切ったのでした。

手にボストンバッグを持ち、
「お母さん行くぞー!?」
と言って、玄関に向かったのです。
すでに美津子は、玄関で靴を履き荷物を持ち、待っていました。

修二はタクシーの運転手に、
「すぐ来ますから、ちょっと待ってください!!?」
と言うと、じきに二人が揃ってタクシーに乗り込んだのでした。
乗り込む寸前に美津子が、
「しゅうちゃん!?ガスだけは気をつけてね!!?」
「じゃあー!?あと頼むわねっ!!?」
と言ったのです。

タクシーの運転手が、
「荷物を後ろのトランクに入れましょうか?!」
と訊いたのです。すぐに義雄が、
「いいですよ!?駅まで急いでやってください!!?」
と答えたのです。
すると美津子が口を手で押さえ、笑ったのでした。

タクシーは家の前を出発すると、駅に向かったのです。
道はスムーズで渋滞(じゅうたい)もなく、
じきにいつもの駅に着いたのでした。
美津子が先に降り、
義雄はタクシー料金を支払い、車を降りたのです。

「お母さん荷物を持つよー!?」
と義雄が言うと、
「だいじょうぶですかあー!??」
「無理しないでくださいよ!?」
と美津子は言い、
義雄に自分の荷物を渡したのでした。

それからふたりは、いつもの駅から電車に乗り、
東京駅まで行き乗り換えて、浜松町で降り、
モノレールに乗って羽田第1ビル駅まで行ったのです。
そして搭乗手続きを済ませ、
飛行機に乗る順番待ちをしたのでした。

少しづつ前に進むと、
「なんだー!?そっち側はすいてるぞー!??」
「そっち行くかあー!?」
と義雄が言ったのです。

美津子はあわてて、義雄の耳元でささやいたのでした。
「なんだあー!?もっと大きな声で言ってくれよー!??」
と義雄が言ったので、
「お父さん!?そっちはファーストクラスですよ!?」
「この飛行機はファーストクラスはないんですー!?」
と美津子が言うと、
周りの人がクスクスと笑ったのです。

「そうかあー!?」
「ちょっと飛行機に乗らないと、替わるものだなあー!??」
と、さも何十回も乗ったふうに言った義雄でした。
するとまた周りの人がクスクスと笑ったのです。
義雄の会社の出張はほとんど新幹線利用で、あまり遠距離はなく、
飛行機を利用することはほとんどありませんでした。

頭の上の荷物入れに、
ふたりのバッグを入れると、
席に座りシートベルトをして、出発を待ったのでした。

しばらくすると、飛行機は羽田を出発し、
一路、釧路空港(くしろくうこう)へと向かったのです。
青森上空に来ると、
途中霧が発生していて、天候が悪くなった場合は、
札幌・千歳空港(ちとせくうこう)か、
根室・中標津空港(なかしべつくうこう)へと、
着陸するアナウンスがあったのでした。
機内は少しざわめいたのです。

「困ったわねえー!?」
「もしほかの空港へ降りたら!?」
「電車で釧路まで行かなくてはならなくなるわ!?」
「レンタカー予約してあるのにー!!?」
と美津子が不安げに言うと、
「なんとかなるさあー!?」
と言って、大あくびをした義雄でした。


「この続きを読んでやってもいいよ!」
と思っている方は、次へ をクリックしてくださいね。


TOPへ | | 不思議な物語へ戻る | | 次へ 

      ブログ 夢計画実行委員会
       へもどうぞお寄りください。
(別ウインドウで表示します。)
     


|HOME TOPへ |


Copyright © 2008 taazann007