ブログ小説 妙なこと 第十五話(10)

阿寒湖の駐車場を出発すると、
釧路駅(くしろえき)目指して車は進んで行ったのでした。
直線の長い道路で、順調にスピードを上げ、
義雄はごきげんで対向車も少なく車を運転していたのです。

それまで、追い越し禁止のラインは引かれてなく、
急に川沿いの道に出ると、
片側1車線で、黄色いラインが引かれていたのでした。

「なんだよー!?」
「今まで1台も前を走ってなかったのにー!?」
「ここに来てトラックがいるなんて!!?」
「お母さん!?前のトラック、捲(まく)っちゃうからなあー!?」
と義雄は言うと、
黄色のセンターラインを越え、トラックを追い越したのでした。
捲りきり、元の車線に戻ると、
警察官が旗を振るのが見えたのでした。

「なんだよー!?こんなところで捕(つか)まるなんて!!?」
と言ってがっかりの義雄でした。すると、
「お父さん!?」
「調子付(ちょうしづ)いて運転しているからですよー!?」
「止めなかったわたしも悪いけど!!?」
と美津子が言ったのです。

道路から少し入った横道にパトカーがいて、
釧路警察の文字が書いてあったのでした。
義雄はスピードを落とし横道(よこみち)に車を入れたのです。
すると車が1台すでに止まっていたのでした。
(1台すでに捕まっていた、が正しい表現かな?!)

「ここ追い越し禁止わかっていましたよねえー!?」
と警官が言ったので、
「はいすみません!?」
「こちらでレンタカー借りて、きょう返さなければならないので!?」
「急いでいて、つい追い越してしまいました!!?」
と義雄は言ったのです。

「免許証持ってパトカーの中に来てください!!?」
と警官が言ったので、
「はい!!?」
と言って車から降りると、パトカーに向かった義雄でした。
すると、さっき止まっていた車が、横道から国道へと出て行ったのです。

義雄がパトカーのところに来て、
助手席のドアを開けると、
「後ろ!!」と警察官が言ったのです。(あじゃあー!?)
急いで助手席のドアを閉めると、
義雄は少し顔を赤らげ、
後ろのドアを開け、パトカーに乗り込んだのでした。

美津子が車の中でじっと待っていると、
しばらくして義雄が車に戻ってきたのでした。
「お父さんどうでした!??」
と美津子が訊くと、
「交通違反切符をもらってきたよー!?」
そう言うと美津子にそれを見せたのです。

「違反するとこういうのもらうんですねっ!!?」
「でもまさか釧路で、交通違反で捕まるとは思いませんでしたねえー!?」
と、うれしそうに美津子が言うと、
「笑い事じゃーないよー!?」
と義雄が言ったのでした。
「でもいい記念になりましたねっ!!?」
「北海道の!?」
と美津子が言ったのです。

「高い記念だよなあー!?」
「ああ、あー!?」
と義雄は言い、
「しばらくここで待っているように言われたから!?」
と、美津子に言ったのでした。

しばらく車の中で待っていると、
警官が来て窓をノックしたので開けると、
「じゃあー!?気をつけて運転していってくださいね!!?」
「スピードを出さないように!!?」
と言ったのでした。
「はい!!どうもお手数掛けました!!?」
と義雄は答え会釈すると、
窓を閉め、ゆっくりと細(ほそ)い横道から国道に入ったのです。

「わざわざスピードを出さないようにって言ったのは!?」
「スピードの取締りをしているってことかなあー!??」
と義雄は言うと、
今度はスピードに気をつけ、
釧路駅近くのレンタカーの支店へと向かったのでした。

途中の道路で、わき道にパトカーが止まっているのが見えたのです。
「お父さん!?」
「あれスピード違反をやっていたのかもしれませんねえー!?」
と美津子がパトカーを見て言ったのです。すると、
「二度続けて捕まったらシャレにならないからなあー!?」
とスピードメーターを見て、
うれしそうにそう言った義雄でした。

レンタカーの支店に着き、返却の手続きを取ったあと、
義雄が和商市場(わしょういちば)の、
”勝手丼”(かってどん)というのを食べたいと言うと、
店の人が、ここより車庫のほうが近いので、
車を車庫に戻すので、近くまで行ってくれると言ってくれたのです。

和商市場の20mほど近くで降ろしてくれたのでした。
ふたりは荷物を持ち、宅配便を送るところもあると言うので、
先に荷物を送ることにしたのです。
荷物を入れ替え、バッグをひとつにまとめ、ほかは自宅へ送ったのでした。

11時半を過ぎていたので、
ふたりはご飯を売っている店の人に聞きながら、
5〜6軒の店で”勝手丼”の具を選んで買い、
丼ぶりの上に載せていったのでした。

「なんかバイキングみたいでいいなあー!?」
と義雄がいうと、
「そうですね!!?」
と美津子もうれしそうに答え、
それぞれ好きなものを載せ自分だけの”勝手丼”を作ったのです。
ご飯を買ったお店に戻り、かに汁を買ってから、
市場中央のイスに座り、うれしそうに全部たいらげたのでした。

それからふたりは、
干物(ひもの)や鯨(くじら)の肉やエビ・カニなどの海鮮物を買い、
クール便で自宅まで送ったのです。
そして和商市場を出ると、義雄がバッグ1つを持ち、
ふたりで腕を組み、すぐ近くの釧路駅まで歩いて行ったのでした。


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