ブログ小説 妙なこと 第十五話(9)

ふたりは、きのう聞いた駐車場に車を置くと、
少し歩いて相撲会館まで来たのです。
定時の上映時間より10分ほど早かったのですが、
他にも三人ほどいたので、むかしの横綱大鵬の、
主に白黒の映像フィルムの上映をしてもらったのでした。

「いやあー!?懐(なつ)かしかったなあー!?」
「お母さんは 憶(おぼ)えているかなあー!??」
と義雄が言うと、
「小さかったので、よくは憶えていませんけど!!?」
「スローモーションでもう一度!!?って」
「アナウンサーの人がそうよく言ってたのは覚えています!!?」
「どんな場面の時か忘れましたけど!!?」
と、美津子が懐かしそうに言ったのです。

「大鵬が、40何(よんじゅうなん)連勝かしていて!?」
「敗れた時にスローモーションで見たら!?」
「大鵬が勝っていたというのがあったなあー!??」
「本当なら50何連勝したかもしれないのにー!?」
「それから審判がビデオを参考にするようになったらしいけど!!?」
と義雄が言うと、
「初めて聞きましたけど!?」
「本当ですか!??」
と美津子が、疑いの目で見ながら義雄に訊いたのでした。

「そう突っ込まれると、自信ないけど!!?」
と苦笑いして、義雄は答えたのです。
「まあー!?お父さんのことだから!?」
「まるっきり嘘(うそ)は言わないと思いますけど!!?」
「子供の頃の記憶はいつも変ですからねっ!!?」
と笑いながら美津子は言ったのでした。

「そうだなあー!?」
「いつも変かー!??」
と言って、笑ってごまかした義雄でした。
懐かしい相撲の写真やパネルを見たあと、
立ち寄った記念に、
夫婦茶碗(みょうとじゃわん)と湯飲みを買ったのでした。

ふたりは駐車場に戻り、車に乗り込むと、
屈斜路湖(くっしゃろこ)へ向かったのです。
「むかしクッシーとかいうので話題になったけど!?」
「お母さん!?憶えている??」
と義雄が運転しながら言うと、
「そういえば!?いましたねえー!?」
「ネス湖のネッシーが話題になってから!?」
と美津子が言ったのでした。

「今もいるかなあー!?クッシーは!?」
「本物じゃなくて作り物のだけど!!?」
と義雄がうれしそうに言ったのでした。

車は国道391号線から道道52号線に入り、
屈斜路湖沿いに走り、砂場という地名の駐車場に着いたのです。
みやげ物店の前にあるクッシーを見て、
「むかし見たのはもっとうんと大きかったけど!!?」
「この小さいのもあったかもしれない!!?」
などと、よくわからないことを言った義雄でした。

「お父さん!?クッシーがいてよかったですねっ!!?」
とうれしそうに美津子が言うと、
「もっと!でかかったけどなあー!??」
「まあいいかあー!?何十年も経てば縮んでもおかしくないかー!?」
などと言って、無理やり納得した義雄でした。

砂場という所は、湖畔の砂を5〜10cmほど掘ると、
温泉が湧き出す不思議な場所だそうで、
すでに少し掘ってある所に手を入れ、
暖かいのを確認したふたりでした。
みやげ物店でみやげを買ってから、駐車場を出発したのです。

道道52号線から国道243号線を抜け、再び国道391号線に入り、
今度は阿寒湖へ向かう、国道241号線に入ったのでした。
途中、眺めのよい車が停められるところで休憩をしてから、
しばらく走り、阿寒湖の遊覧船乗り場近くの駐車場に、車を停めたのでした。

みやげ物店で遊覧船の時間を訊くと、
10分ほどで船が着くと言うので、急いで切符を買い、
ふたりは船に乗り込んだのです。
それから次の船着場に着くと、すぐお客さんが乗り込んできたのでした。

しばらく走ると、行き止まりのような風景が見えてきたのです。
「お父さん!?もう行き止まりみたいですけど!!?」
「バックして戻るんでしょうかねえー!?」
と美津子が言うと、
「思い出した!!?」
「この風景だよ!?」
とうれしそうに義雄は言ったのです。そして、
「お母さん!?行き止まりのように見えるけど!?」
「船は通れるんだあー!?」
と言ったのでした。

しばらく走ると一気に風景が広がり、大きく変わったのでした。
義雄が言ったとおり、
船は進んでいく先が、行き止まりのように見える場所を通過したのでした。
するとマリモ展示センターの建物が見えたのです。
桟橋に船が着くと、お客さんたちは一斉に降りたのでした。
義雄と美津子も降りたのです。

入り口から出口まで一方通行になっていたのでした。
ふたりは大きなマリモの水槽などの展示を見ながら、
出口付近にはおみやげ物を売っていたので、
記念に少し買ったのです。
出口を出て船をバックに船のガイドさんに、
ツーショットを写してもらったのでした。

船着場に戻ると、お昼を少し過ぎていたので、
ふたりとも近くの食堂でラーメンを食べたのでした。
それは阿寒湖ラーメンと言う名前でした。
そのあとアイヌの人たちのお店があるというので、
アイヌコタンと言う場所に行ったふたりでした。

いろいろなお店で少しづつ買い物をしたのです。
一番大きなお店ではたくさん買ったので、
おまけとして、熊の灰皿を2個もらったのでした。
タバコはずーっと吸っていないのに!!(あじゃあー!!)


戻る | |TOPへ | | 次へ 

(別ウインドウで表示しています。たぶん)
     


|HOME TOPへ |


Copyright © 2008 taazann007, All rights reserved.