ブログ小説 妙なこと 第十五話(3)

すぐに義雄は写真を撮ったのです。
霧がまだ残っている風景と、
完全に霧がなくなった風景とを撮ったのでした。

「良かったなあー!?お母さん!?」
「こっちに先に来て!!?」
とうれしそうに言ったのです。すると、
「レンタカーのお店でいっしょだった新婚さんは残念ねえー!?」
「予定通り、釧路湿原に向かったってお店の人が言ってたから!?」
と、美津子が言ったのでした。

「ナビを教えてもらってた時間だけ!?」
「俺たちの方(ほう)が、出発する時間が遅(おく)れたからなあー!?」
そう言うと、近くにいた人に、
摩周湖をバックに、ふたりの写真を撮ってもらった義雄でした。

ふたりで礼を言うと、今度はお返しに、
摩周湖をバックに写真を撮ってあげた義雄でした。
そのあとふたりは、おみやげを売っている所に入ったのです。
入り口に熊の剥製(はくせい)が置いてありました。

「大きいなあー!?」
と言ったあと義雄は一瞬(いっしゅん)、
”あれ!?どこかで見たような気がするなあー!??”
と思ったのですが、
「とにかく、みやげを買うかあー!?」
と言ったのです。

店を入ってすぐのところに、
ペットボトルに入った”摩周湖の水”という名前のものが売っていたのです。
「お母さんこれなら日持ちするし!?」
「10本ぐらい買うかあー!?」
と言うとすぐに買った義雄でした。
支払いを済ませてしばらくすると、
”霧の摩周湖”のメロディーが流れてきたのです。

「懐(なつ)かしいなあー!?」
と義雄が言うとすぐ、
外の出店のさっきの人がまた、
「見えなくなるぞー!!?」
と大きな声で言ったのでした。

急いでふたりは店を出たのです。
そして展望台のところまで行く途中で、霧が立ち込めてきたのでした。
ちょうどその時、
レンタカーの店でいっしょだった新婚さんが来たのです。
すぐに義雄は写真を撮ったのですが、
霧に包まれていく摩周湖の姿がほとんど映ってなく、
間に合いませんでした。

「あのふたり残念だったわねえー!?」
「少ししか摩周湖を見れなくて!!?」
と美津子が言うと、
「ほんのちょっとしたタイミングなんだよなあー!?」
「でも少し見ただろうから、いいとするさあー!?」
と、えらそうに義雄は言ったのでした。

さっきまできれいに見えていた摩周湖が、
あっという間に見えなくなったのでした。
そして辺(あた)りも霧が濃くなってきたのです。

そして義雄は美津子に、
「俺!子どもの頃(ころ)ここに来たことあるよー!?」
「思い出したあー!?」
と言ったのでした。すると美津子が、
「だってえー!?」
「お父さん一度も北海道来たことないって言ったわよねえー!??」
「また冗談(じょうだん)言ってえー!?」
と言ったのです。

「子供会でここに着たんだあー!?」
「アッ!?小学校かな!?中学だったかなあー!??」
とおかしなことを義雄が言ったので、
「お父さん!?飛行機に酔ったんじゃあー!?」
と美津子は言うと、義雄のおでこに手を当てたのでした。

「熱はなさそうだわねえー!??」
と美津子が言うと、
「すっかり忘れていたことを思い出しただけなんだ!!?」
と義雄が言ったのです。

「なぜお父さんは、子どもの頃のことをすっかり忘れてるのー!??」
「ふつう少しは印象が残ってるはずなんだけど!!?」
「でもいつも思うんだけど!!?」
「不思議な子供会よねえー!??」
と美津子が言ったのでした。

「ああー!?俺も不思議だと思うよー!?」
「実家に戻ったら訊こうと思うんだけど!?」
「実家に戻るとそのことをすっかり忘れているんだ!!?」
「その当時役員をしていたおじさんに訊こうと思うんだけどなあー!?」
「行くと忘れちゃうんだよなあー!??」
と首をかしげ腕を組み、義雄はそう言ったのです。

「もうしばらくは摩周湖は見えないだろうから!?」
「ゆっくりみやげ物を買おう!!?」
「お母さん!?子供たちに何を買っていくかあー!?」
と義雄が言うと、
「そうですねっ!」
「ゆっくり見ましょう!?」
と美津子は言ったのでした。

「これ重たいから、車に置いてくるよー!?」
「お母さん!先に行ってて!!?」
と言うとペットボトルの入った袋を持って、車へと向かった義雄でした。
「わかりました!?」
「じゃあー!?先に行ってますから!?」
と美津子は言うとまた、みやげ物屋へと戻ったのです。


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