ブログ小説 妙なこと 第十二話(6)

「ここなら広いから、疲れたら寝そべってできるからなあー!?」
と義久が言うと、
「そうだねえー!?」
「おじいちゃんやる気満々だねっ!!?」
と修二が、うれしそうに言ったのでした。

小さい座布団を部屋の真ん中に置き、
その周りに持ってきた5つの座布団を置いたのです。
「俺が台所に行って、呼んで来るから!?」
と言うと和夫は台所に向ったのでした。
修二はそのあいだに、チップとマッチ棒を、
みんなのところに配ったのです。

ちょうど義雄と亮が、座卓のある部屋には入ろうとしていたので、
「お父さん!おじさん!??」
「こっちの部屋だよー!??」
と二人に向かって、和雄が言ったのでした。
「やっぱり!?そっちの部屋でやるのかあー!??」
と義雄は言うと、すぐに三人がいる部屋に来たのでした。
男全員集まったのです。

「じゃあー!?」 「いつものように、1時間で札(ふだ)を交代するからねっ!?」
「場所決めはいつも通り右回り(時計回り)で!」
「大きい札を引いた順で席決めだから!?」
「じゃあー!年の順で!!おじいちゃんから!?」
と言って、修二が仕切ったのです。

「いつも通り、チップは1枚でマッチ棒10本分だからね!?」
「お金は小さい座布団の下に入れてよー!!?」
と修二が言ったのでした。
そして全員が、座布団の下にお金を入れたのでした。
「確認するから!?」
そう修二は言うと、お金を数えたのです。
数え終わるとその上に座布団を置いたのでした。
「じゃあー!?はい!!」
と修二は言うと、花札を座布団の上に置いたのです。

義久がすぐに札をめくったのです。「菖蒲(しょうぶ)だ!」
次に義雄がめくりました。「牡丹(ぼたん)だ!」
そのあとは亮です。「坊主(ぼうず)だ!」
そして、和雄がめくったのでした。「桜(さくら)だ!」
最後に修二が「よーし!紅葉(もみじ)だあー!!?」
と言って、修二が親で始まったのです。

修二 → 亮 → 義雄 → 義久 → 和雄 の回り順になったのです。
修二は花札を手に持つと、
慣れた手つきで、
「とっと(十・十)だと札が少ないからきるのに楽だよー!?」
と言いながら、札をきったのでした。

きり終えると花札を、座布団の真ん中に置いたのです。
「嫌(きら)う?!」
と修二が訊いたのですが誰もいませんでした。
すぐに右回りで札を1枚づつ置いていったのです。
2周したのでした。
それぞれが2枚づつ札を持って見て、掛ける金額を決めたのです。

修二は「親権(おやけん)!」と言ってマッチ棒を2本出したのです。
「降りは一本でいいんだな!!?」
と言うと亮は、自分の前にマッチ棒を1本出したのです。
「なんだこりゃ!??」
と言うと、義雄もマッチ棒を1本出したのでした。
義久も「しょうがないなあー!??」と言って、
マッチ棒を1本出したのです。

「修二に楽に勝たせてたまるかあー!??」
と言って和雄が、マッチ棒を2本掛けたのです。
「まったく素直じゃあーないんだからなあー??!」
と修二は言うと、5本プラスしたのでした。

「なんだあー!?」
「ピン持ってるのかあー??!」
「見たいなあー??!」
と言って和雄は修二と同じ、5本プラスして合わせたのです。
「じゃあー!?勝負だあー??!」
とふたりとも言うと、
座布団の上に札を置き、みんなに見せたのでした。

「修二は”はっぴ”(八・一)のカブかあー??!」
「和雄も”さぶろく”(三・六)のカブかあー??!」
と義久がうれしそうに言うと、
「開けて勝負だなあー??!」
と亮が言ったのでした。

すぐに開け勝負をしたのです。
さっきは伏せて札を配ったのですが、
今度は、1対1の札を開けての勝負になりました。
「お兄ちゃんからいくよ!!?」
「ヨイショ!それこい!」
と言って1枚目を配ったのです。

「藤(ふじ)と菊(きく)かあー!?」
「これじゃあー!?」
「修二のほうがちょっとつえーなあー??!」
と義久が、うれしそうに言ったのでした。

「じゃあーいくよー!?」
「それー!ヨイショ!!」
と言って札を出したのです。
和雄が梅(うめ)で、修二が松(まつ)でした。
「ぶっちぎりー!!?」
と修二が大きな声で、うれしそうに言ったのです。

「”くっぴん”(九・一)かあー!??」
「ピンが俺のほうに来れば勝てたのにー!??」
と和雄が悔しがって、そう言ったのでした。

花札について簡単な説明
札に書いてある花が、月を表すと同時に数も表しています。
1月松・2月梅・3月桜・4月藤(くろはぎ)5月菖蒲・6月牡丹
7月萩(あかはぎ)・8月ススキ(坊主)・9月菊・10月紅葉
11月柳(雨)12月桐(きり) 12ヶ月X四札=48札あります。

4月の藤を黒萩(くろはぎ)と言うところもあります。
7月の萩を赤萩(あかはぎ)ともいいます。
8月のススキはふつう坊主(ぼうず)と呼んでいます。
11月の柳はふつう雨(あめ)と呼んでいます。

とっと(十・十)と おいちょかぶ では
11月と12月の札は使いません。

とっと(十・十)についての簡単な説明
揃い札の十・十が一番強い役です。
それで、とっと(十・十)と呼んでいるようです。
くっくっ(九・九)〜 ぴんぴん(一・一)まで揃い札の役があります。
その下は十・一(とっぴん)→九・一(くっぴん)→四・一(しっぴん)
ぴん(一)役です。その下が、
かぶ(足して九か十九)→おいちょ(足して八か十八)→なき(足して七か十七)
→ろっぽう(足して六か十六)→ごけ(足して五か十五)
→よつや(足して四か十四)→さんぞう・さんた(足して三か十三)
→じぞう・にぞう(足して十二)→ちんけ(足して十一)
→一番弱いのは、ぶた・ぶっつり(足して十)

あくまでわたしの知ってる、
とっと(十・十)の役ですので、
場所によっては、違う役を採用しているかもしれません。
言い方も違う言い方をしているかもしれませんので、
参考ということでご理解願いたいと思います。
(わたしが体験したのを思い出して書きました)


戻る | |TOPへ | | 次へ 

(別ウインドウで表示しています。たぶん)
     


|HOME TOPへ |


Copyright © 2007 taazann007, All rights reserved.