携帯によろしく 第九章(4)

「お父さま!?このあとお風呂になさいます?!」
と小百合が言うと、
「わたしのことはいいから!?」
「一平君を送って行ってやりなさい!!?」
と大が言ったのです。

「わかりましたわ!?」
「では一平さん!?まいりましょう!??」
と小百合が言うと、
「ご馳走になりました!。」
「奥様によろしくお伝えください!?」
「では失礼いたします!。」
と言って大にお辞儀をしたのです。

急いでカバンを持って、
小百合のあとを追いかけて玄関に向かったのでした。
ふたりは玄関を出ると、駐車場に向ったのです。
駐車場に着くとふたりは、車に乗り込んだのでした。

小百合はシャッターが上がり始めると、
エンジンをかけたのです。
「小百合さん!?シートベルトしましたから!?」
と言って一平は、小百合のほうを向いたのです。

1mほど上がるとシャッターが止まったのでした。
小百合がリモコンのスイッチで、止めたのです。
「じつは一平さん!?」
「今度お見合いすることになったのです!」
と言って一平のほうを向き、
目に涙をため小百合がそう言ったのでした。

「一平さんと初めてお会いする前に!?」
「もうそのことは、決まっていたことなのですけれど!?」
「言い出せなくって!!??」
と言うと、涙があふれ出てきたのです。

一平は急いで、シートベルトをはずすと、
顔を小百合の顔に近づけたのです。
小百合は思わず目を閉じたのでした。
一平は、流れ出てくる小百合の涙を、
やさしく唇で吸ったのです。
すると小百合の涙が止まったのでした。

「急なことでびっくりなさいましたか??!」
と一平が訊くと、
無言で、小百合は恥ずかしそうにうなずいたのです。
そのしぐさを見た一平は、
思わず軽くおでこにキスしたのでした。

一平は少し酔っていたとはいえ、急に我に返り、
「小百合さんごめんね!?」
「驚(おどろ)かしてしまって!!?」
と言って、ちょこんと軽く頭を下げたのでした。
「もう行きましょう!?」
と言うと、
助手席に座り直し、シートベルトをしたのです。

「はい!」と小百合は答えると、
リモコンのスイッチを入れなおし、シャッターを上げたのでした。
シャッターが上がりきると、車は走り出したのです。
道路はあまり混んでなく、
スムーズに一平のマンションまで、たどり着いたのでした。

「もうきょうは遅いので、家に寄るように引き止めませんから!?」
「俺少し酔ってるし、自信ないのでね!?」
と言って頭をかき、そう言ったのでした。そして、
「ここでUターンしたほうが道がわかりやすいから!?」
「バックでそこの駐車場に入れてくれますか??!」
「今、誘導しますから!??」
と一平は言うと、カバンを持ち車を降りたのでした。

「オーライ!オラーイ!!」
と言って小百合の車を誘導し、来客用の駐車場に入れたのです。
それからすぐに運転席のところに駆け寄り、
開いた窓から、
「俺のこと嫌いになった!??」
と一平が訊くと、
「いいえ!?」と小百合は首を振り、答えたのでした。

「今度いつ、お見舞いに来てくれますか?!」
と小百合が言うと、
「うーん!??」
「土曜日なんかどうでしょう!?」
「たぶん休みなので!!?」
と一平が言ったのでした。

「お休みなので、ご予定が入っているのでは??!」
と小百合が言うと、
「いいえ!?別に予定はありません!!?」
「小百合さんの都合はどうですか?!」
と一平が言ったのです。

「日曜日はお見合いなので、お迎えにあがれませんが!??」
「土曜日は今のところ予定はありませんから!??」
と小百合は言ったのでした。
「じゃあー!?何時ごろお電話差し上げればよいでしょうか??」
と一平が言うと、
「土曜日は面会時間が違ったかもしれませんので!?」
「もしよかったら午前中に一度お電話差し上げますが!??」
「何時ごろがよろしいでしょうか?!」
と小百合が言ったのです。

「何時でもよろしいです!!?」
「でも!?10時頃にしますか?」
と一平がニコニコして言うと、
「はい!?」
「では土曜日の10時頃お電話差し上げますので!!?」
と小百合が言ったのでした。






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