携帯によろしく 第八章(8)

「一平さん!?主人がもうすぐ帰ってまいりますから!?」
「紹介いたしますので!?」
と菊枝が言うと、
「はい!」と答えると、
背広のうちポケットの、名刺入れがあることを確認したのです。
それからまた食事を続けたのでした。

一平は、菊枝と小百合の食事のペースを見ながら食べたのです。
それでもすべておいしい料理だったので、
早く食べてしまったのでした。
一平が、もう冷めてしまっているお茶を飲もうとした時、
ちょうど玄関のチャイムが鳴ったのです。

「一平さん!?小百合!?」
「ふたりともそのまま食事をしていてくださいね!?」
そう言うと菊枝は、
玄関に向かって歩いて行ったのでした。

「お帰りなさい!?」
「ヒデさんご苦労様でした!。」
「おなかすいたでしょう!?」
「ここはもういいから、お食事してくださいな!?」
と菊枝が言ったのでした。

「ご苦労さん!?」
「あした朝、9時でいいから!?」
と、ここの主人の大(まさる)が言ったのです。
「はい秘書の方から聞いております!。」
「では失礼いたします!」
とヒデさんは言うと、玄関を出て行ったのでした。

「あなた!」
「こちらでお食事するなら、遅くとも7時半までには連絡をくれないと!!?」
「8時を過ぎるようなら!?」
「食事は、外でお願いしますって言ったでしょ!?」
と、ヒデさんが玄関を出て行ったのを確認すると、
菊枝がそう言ったのです。

「ヒデさんもナツさんも!!?」
「八時まで無理言って、こちらにいてもらってるんですから!?」
「タクシーだってあるんじゃあーないですか?!」
と菊枝が言うと、
「ちょっと友達を車で送って行ったんで!?」
「遅くなってしまったんだ!!?」
「わかってるから!?そうガミガミ言うな!!?」
と、大が言ったのでした。

「風邪が流行っているそうなので、先にうがいをしてください!?」
「きのうお話した、山本一平さんが来てらっしゃるので!?」
「今食事していますから、食堂へ来てくださいね!?」
と菊枝が言うと、
「あいわかった!」
と大は言って、洗面所に向ったのです。
菊枝は台所に様子を見に行ったのでした。

「ナツさん支度できたかしら!?」
と菊枝が言うと、
「はい!できました!!。」
とナツさんは嬉しそうに答えたのです。

「ご苦労様!。ここはもういいから!?」
「秀(ヒデ)さんが待っているので、もう行ってあげて!?」
と菊枝が言うと、
「ありがとうございます!?」
「では失礼いたします!お休みなさいませ!?。」
とナツさんは言うと、
お辞儀をしエプロンをいつものところに掛けると、
台所の勝手口から出て行ったのでした。

菊枝は、すぐにナツさんが用意したものをお盆に載せると、
それを食堂の大の席へ持って行ったのです。
菊枝の席とは向かい合った席でした。
テーブルにそれらを置くと、すぐ洗面所に行ったのです。
ちょうど大が洗面所から出てくるところでした。

「あなた!?お飲みになります??!」
と菊枝が言うと、
「そうだなあー!?少しワインでも飲もうかな?!」
と大が言ったのです。

「なんですか珍しい!?」
「ワインだなんて!??」
と菊枝が不思議そうに言うと、
「きょう会った友達が!?」
「お前ももう60のほうに近いんだから!?」
「強いアルコールばかり飲んでないで!?ワインにしたらどうだ!?」
「そう言われたんだよ!?」
とニコニコして言ったのでした。

「そうですよ!?健康がいちばんです!!?」
「優が、ああなってるんですから!?」
「お身体(からだ)には気をつけてくださいね!?。」
と菊枝が言ったのです。






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