携帯によろしく 第八章(7)

「ナツさん!?すいません!?。」
「せっかくメニューを持って来ていただいたのですが!?」
「ワインやその他の高級なものを見ても、わかりませんので!。」
「ビールがあったら銘柄は何でもいいので!?」
「お願いしたいんですけど!??」
と、ナツさんがメニューを開ける前に、一平は言ったのです。

「そうですか!?承知いたしました!。」
「生ビールのほうがよろしいでしょうか?!」
とナツさんが言ったので、
「えっ!??」
「生ビールあるんですか??!」
とびっくりしてそう訊いた一平でした。

「はい!よくお客様がみえるものですから!?」
「アルコールはひと通り、用意してあるんですよ!?」
とナツさんが言うと、
「やはり違いますねえー!??」
「生ビールが飲めるなんて思ってもいませんでした!!?」
「では生ビールをお願いします!。」
と、一平は嬉しそうに言ったのでした。

「一平さんグラスになさいます?!」
「それとも大ジョッキもご用意できますが!?」
とニコニコして、ナツさんが言ったのです。
「きょうはグラスでお願いします!」
と一平は、笑顔でそう言ったのでした。

「承知いたしました!?」
「すぐお持ちいたします!。」
とナツさんは言って会釈をすると、歩いてワゴンのところに行き、
メニューをしまうと、食堂を出て行ったのです。
しばらくすると、冷えたグラスに注がれた生ビールを、
一平のところに持って来たのでした。

「ありがとうございます!」
とナツさんに言うと一平は、
「おばさま!小百合さん!?」
「ごちになります!いけねえー!?」
と言ってすぐにグラスを自分の前で持ち、
「いただきまーす!」
と言って軽く会釈をすると、半分ほど飲んだのでした。

その様子を見ていた三人は、
そろって品よく笑ったのです。(難しい表現?)
「あーうまい!!」
と飲んだあと、つい言ってしまった一平でした。

すると電話のベルが鳴ったのです。
すぐにナツさんが電話のところに向ったのでした。
しばらくして、ナツさんが菊枝のところに来たのです。

「30分ほどすると、だんな様がお戻りになるそうです!。」
「お食事は、まだだそうです!?」
「今すぐに支度をいたしますから!?」
とナツさんが言うと、
「ごめんなさいね!?」
「まったく気が利かないんだから!?」
「ヒデさんがおなかが空いてるでしょうに!?」
と、菊枝が言ったのでした。

ナツさんは会釈をすると、急ぎ足で台所に向ったのです。
10分ほどすると、大きなお盆の上に、
大きな皿に盛り付けられたものを、3皿持って来たのでした。
ヒレカツのようでした。

「ワゴンの上で揚げて盛り付けようと思ったのですが!?」
「台所ですべて済ませてきました!。」
と言ってナツさんは三人に、盛りつけた皿を出したのです。
「奥様!おご飯は、召し上がりますか?!」
とナツさんが言うと、
「わたしは結構よ!?」
「一平さんにお出ししてあげて!?」
と菊枝が言ったのでした。

「一平さん!?おご飯をお持ちいたしましょうか?!」
とナツさんが言うと、
「うーん!??」と唸(うな)ってから、
「そうですね!いただきましょう!?」
と答えた一平でした。

「お嬢様!?おご飯はどうなさいます??!」
と言うと、
「軽くいただこうかしら!?」
と小百合が言ったのです。

「承知いたしました!」
とナツさんは言うと、
ワゴンから大きい茶碗と小さい茶碗を取り出し、
先に大きい茶碗にご飯をよそり、お盆に載せ、
一平のところに行って置いたのです。
すぐに戻ると小さい茶碗にご飯をよそり、お盆に載せ、
小百合のところに行きそれを置いたのでした。

「では支度がありますので、しばらく失礼いたします!。」
「何かありましたらお呼びください!?。」
と言って会釈をすると、
足早に台所に向ったナツさんでした。






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