携帯によろしく 第八章(6)

ふたりが玄関に着きドアを開けると、
ちょうど菊枝がスリッパを履いているところでした。
ふたりの顔を見ると、お手伝いさんのナツさんが、
「お帰りなさいませ!?」
「一平さん!?お待ちしておりました!」
と言ってお辞儀をしたのです。

そう言われたふたりは、
すぐにつないでいた手を離したのでした。
「ただいま!」
と小百合が言うと、
「こんばんは!また来てしまいました!?。」
と一平は言って、お辞儀したのです。

「ナツさん!?お食事のしたくは出来ているかしら?!」
と菊枝が言うと、
「はい!支度(したく)は整(ととの)っております!?」
「すぐお食べになりますか?!」
とナツさんが訊いたのでした。

「一平さん!?おなかが空いてるそうですよ!?。」
とニコニコしながら菊枝が言うと、
「はいその通りなんですけどお!?」
「今、風邪(かぜ)が流行(はや)っているので!?」
「うがいをしたいんですが?!」
と一平が言ったのです。

「そうですわ!?お母さまも、うがいを先になさってください!?」
と小百合に言われた菊枝は、
「そうですわねえー!?」
「ではお先にさせてもらいますわ!?」
と言って、洗面所に行ったのでした。

それから小百合と一平は、スリッパに履き替えると、
洗面所に向ったのです。
ナツさんは食堂のドアを開けたあと、台所へ向い、
ステンレスでできたワゴンを押して来たのでした。

三人はうがいを済ませ、洗面所から戻ると、
このあいだと同じ席についたのでした。
ナツさんは三人にお茶とお絞りを出したのです。
そのあとすぐに三人の前に、
前菜のお皿とお箸を置いたのでした。

「一平さん!?アルコールは何かお飲みになりませんか?!」
と菊枝が訊くと、
「せっかくですが!?きょうはやめときます!」
と一平は答えたのです。
すると小百合が、
「このあいだも、お飲みになりませんでしたわよ!?」
と嬉しそうに言うと、
「そうでしたねえー!?」
「きょうもやめときます!です!!」
と一平は、笑みを浮かべ言ったのでした。

「そうですか?!」
「ではもしお飲みになりたくなったら、遠慮なさらずに!?」
「ナツさんに言ってくださいね!?」
「では食事にいたしましょう!?」
と菊枝が言ったのです。

するとそのことばを聞いた一平は、
「いっただっきまーす!」
と大きな声で言うと、食べ始めたのでした。
その声を聞いた菊枝と小百合はニコニコしながら、
「いただきます!」
と言って、食べ始めたのです。

最初のときはけっこう緊張していたのですが、
二度目なのでつい、
「スゲーうめえー!!?」
と言ってしまったのですがそのまま、
「ナツさん!?ほんとにうまいですよ!?」
とニコニコしながら言ったのでした。
そして一気に3分の2ほどを食べ終えたのです。

そしてふたりのペースより異常に早いのに気づき、
ペースを合わせようと、
「すいません!?おばさま!?」
「この前菜に合うのはどんな飲み物なんでしょうか?!」
と菊枝に小さな声で訊いたのでした。

「ナツさんにお聞きになってください!?」
「わたくしは、アルコールのことはわかりませんので!?」
「ねえー!?ナツさん?!」
「この前菜に合うアルコールを、一平さんに差し上げて!?」
と菊枝が、ナツさんに向って言ったのです。

「はい!承知いたしました!!?。」
と言うとメニューを持って、一平のところに来たのでした。
一平は、ペースを合わせるためにもっと単純に考えて、
飲み物をもらうつもりでいたのです。
飲み物の別メニューに、びっくりしたのでした。






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