携帯によろしく 第六章(9)

一平は半分ほど食べると、お盆に食器を載せ、洗い場の手前にある
残飯を入れるケースに残った物を捨てると、
洗い場の棚のところに、食器を載せたお盆を、置いたのです。
そして足早に食堂を出ると、自分の職場に戻ったのでした。
しばらくすると、午後の仕事の始まりの音楽が流れたのでした。

「もう1時かあー!??」
「さーってやるかあ!!?」
と一平が言うと、電話が鳴ったのでした。
「一平さーん!?電話でーす!」
「5番でーす!」
と言われた一平は5番を押し電話に出たのでした。

「もしもーし!!?」
と一平が言うと、
「松平ですけど、一平さんですか?!」と言ったのです。
「たいらくんかあー図面の修正箇所が見つかったの?!」
と一平が言うと、
「いいえ違います!。今、出先からなんですが!??」
「ちょっと気になる話を聞いたので!??」
と、たいらくんが言ったのでした。

「なに?!気になる話って!!??」
と一平が言うと、
「電話じゃあー言いにくいので、1時間ほどしたら、
打ち合わせと言うことでそちらに伺いますよー!?」
とたいらくんが言ったのです。

「わかった。部屋を確保しとくよー!??」
「じゃあー2時ごろだね!?。」
と一平が言うと、
「じゃあー2時前後に伺いますから!?」
「失礼しまーす!!?」
と言うと、たいらくんは電話を切ったのでした。

一平は事務の子に、きょうのスケジュールを確認してもらい、
第1応接室が空いているのを確認すると、
来たら連絡するから、接客の用意をしておくように告げたのでした。

一平に、たいらくんから2時少し前に電話があり、
15分か20分ぐらい遅れるとの連絡があったのでした。
そして、15分ほど遅れてたいらくんは一平のところに来たのです。
一平は、第1応接室にたいらくんを案内すると、
事務の子に、お客が来たことを告げたのでした。

事務の子がノックをして部屋に入ってくると、
「メニューといっても、コーヒーに紅茶と日本茶
それにアイスティーにアイスコーヒーだけだけど!!?」
「何がいい?!たいらくん!?」
と一平が、メニューをたいらくんに見せて言うと、
「じゃあーまだ暑いんで、アイスコーヒーをお願いします!?」
とたいらくんが言ったのです。

一平は事務の子に向って、
「アイスコーヒーふたつネ!。」と言ったのです。
「承知いたしました!」と事務の子は言うと、
お辞儀をして、部屋を出て行ったのでした。
たいらくんはすぐに話を切り出したのです。

「一平さん!?たいへんですよ!!??」
とたいらくんが急に言ったので、
「なにー?どうしたのー?!」
と一平が言ったのです。

「白石さんのお嬢さん、ふたりいるんですけど!!?」
「妹のほうが事故にあって、意識不明の重体だそうです!!」
「白石さんはうちの会社の大株主なんですが、ほかにいくつもの会社の
大株主で重役もやっているそうなんですよー!!?」
「このあいだ、確か白石のお嬢さんと付き合っていたって言ってたので!!?」
「どちらと付き合っていたのかと思って!??」
「知らなければ一応知らせたほうがいいかと思いまして来たんです!!?」

「そう!?よく憶えていたねえー!??」
「きょうお見舞いに行くことになっているんだ!!?」
「きのう知ったんだよー俺も!!??」
と一平が言ったのでした。

「そうなんですかあー??!」
「最初に跳ねた車が逃げたらしいんですよー!!?」
「あとから来た車がトラックで、運転手がよけきれなくて引かれたそうです。」
「かわいそうに!!?」
「それで一平さんが付き合っていたのは??」
とたいらくんが言うと、ノックの音が聞こえたのです。

「失礼します。」と言って事務の子が、
アイスコーヒーを持って部屋に入って来たのです。
そして、アイスコーヒーをふたりに出すとお辞儀し、
お盆を持って部屋を出て行ったのでした。
たいらくんは事務の子の遠ざかっていく足音を確認すると、
「事故にあった妹さんのほうですか??」
とたいらくんは、一平の顔色を見て言ったのです。

「うん!そうなんだ!?残念だよー!!?」
と一平は言ったのでした。
「そうですかあー!?」
「話。しなかったほうがよかったでしょうかねえー??!」
と一平の顔色を見てたいらくんが言うと、
「いや!?どうしてそうなったかは、はっきり知らなかったから!??」
「教えてくれてありがとう!?」
と一平は言ったのです。

「ショックですよねえー!?」
「以前付き合っていたとはいえ!!?」
と、たいらくんはすまなそうに言ったのでした。






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