本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを適当に用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
一平は足を床に下ろし、立ち上がると、
育子を力強く抱きしめたのでした。そして、
「愛してるよ、育ちゃん!!?」と言ったのです。
「うん!わかってるから!!?」
と育子は言うと、しばらくそのまま抱きしめられていたのでした。
「育ちゃん!?お風呂沸いてるかなあー??!」
と一平が言うと、
「とっくに沸いてるわ!?」
「少し冷(さ)めたかもしれないけど!??」
と育子が言いました。
「ところで、今何時?!」
と一平が言うと、
「まだ4時よ!?」
「入る??!」
と育子が言ったのです。
「4時かあー!?」
「ちょっと早いけど、入っちゃうかなあー!??」
と一平は言うと、育子のおでこにキスしたのでした。
お互いからだを離すと、
「じゃあーわたし、台所に行くから!?」と育子が言うと、
「じゃあー俺、風呂入っちゃうよー!?」と一平が言ったのです。
一平は着替えを持つと、風呂場に行ったのでした。
育子はじっくり時間をかけ、ビーフシチューを作っていたのです。
いつも育子の父が、晩酌をするときに作った”やっこ”を、
一平のテーブルのところに置いたのです。
「育ちゃん出るよー!?」と風呂場から声がしたのでした。
育子は急いで、冷やしておいたジョッキをテーブルに置いたのです。
一平が椅子に座ると、ビールを注いだのでした。
「ありがとう!?」
「育ちゃんは飲まないの??!」
と一平が言うと、
「ビーフシチュー作っていたら、ワインを入れたので、
それで少し酔っ払っちゃったみたいなの??!」
「だから、いいわ!?」
と育子が言ったのです。
「料理して酔うなんて、安上がりでいいなあー!??」
と、うれしそうに一平が言ったのです。そして、
「ところでこれ!??」
「”やっこ”だよねえー??!」
と不思議そうな顔をして言ったのでした。
「うちの父がよく晩酌をするときに、”つまみ”にしていたのを思い出したの!?」
「お醤油でもポン酢でもいいわよ!?好きなほうで!!?」
と育子が言ったので、一平は箸を使い半分に分けたのです。
醤油とポン酢をそれぞれにかけたのでした。
育子はポン酢をかけたのです。
育子は急に立ち上がると、小さなガラスコップを持って来たのです。
「わたしビールを少し飲もうかな?!」
と育子が言って、テーブルに置くと同時に、
一平がビールを注いだのでした。そして、
「育ちゃん!?そうでなくっちゃあー!??」
「飲めないんじゃあーないんだから!!?」
と、うれしそうに一平が言ったのです。
それからすぐ、
「じゃあー育ちゃん乾杯しよう!?」と一平が言ったのです。
「ふたりの前途を祝してかんぱーい!!?」と一平が言うと、
「かんぱーい!!?」と育子も言ったのでした。
そしてジョッキとグラスをあわせたのです。
「この”やっこ”っていいアイデアだねえー!?」
「お父さんが考えたの?!」
と一平が言うと、
「むかしっから、やっていたみたいよ!?」
「”やっこ”の上に乗せるのはやっぱりマグロが合うみたい!?」
「きょうマグロのぶつ切りが安かったんで作ったの!?」
「細かくすればいいから!?」と育子が言ったのでした。
「居酒屋でこういうの見たことないなあー!??」
「やっこって言うと、たいがいネギとショウガが乗ってるのだよー!?」
「あとネギとかつお節が乗ってるのぐらいかなあー??!」
と一平は言うと、
うまそうにやっこをつまみに、ビールを飲む一平でした。
「ビール飲んだあとご飯食べるでしょ??!」
と育子が言うと、
「もちろん食べるよ!育ちゃんが一生懸命作ってくれたんだから!!?」
「うちでビーフシチューを食べるのは久しぶりだなあー!??」
と一平は言うと少し涙ぐんだのでした。
「どうしたの!?一平ちゃん!??」
と育子が訊くと、
「思い出したんだよー!?」と言って深呼吸すると、
「お袋と、死んだ親父と三人で食べたのを!!?」
と言って一平は、涙を両手でぬぐったのでした。
それを見た育子は、立ち上がると急いで洗面所まで行き、
タオルを持って来て、
「拭いて!?」と言って、一平の前に差し出したのです。
「ありがとう!育ちゃん!!!?」
と一平は言うと、よけい涙を流し、それを拭いたのでした。
先輩から電話があってから様子がおかしく、
一平が急に落ち込んでしまったのがわかった育子でしたが、
一平が話すまで何も訊かないことにした育子でした。