携帯によろしく 第五章(10)

一平が、ボストンバッグを持って、テレビの部屋に行くと、
育子は一緒についてきたのです。
「このあいだのときより、だいぶ重かった気がしたけど!??」
と、一平が言うと、
「ちょっと、詰め過ぎたかもしれないわ!!?」
と育子は、笑って答えたのでした。

一平が、「ここでいい?!」
と育子に訊くと、
「うん!帰ってきてから整理して出すから!?」
「そこでいいわ!?」
「ありがとー!!」
と、言ったのです。
すると一平は、タンスの前に、ボストンバッグを置いたのでした。

「ご飯まだでしょ?!」
「今したくするから、顔洗って、着替えて来てね!?」
と、育子が言ったのです。
「うん!悪いなあー!?」
「じゃあー!?急いでしたくするよー!」
と、一平は言うと、
洗面所に行き、顔を洗い歯を磨くと、
パソコンの部屋に入って着替えたのでした。

着替えが終わると、
パソコンの机の上に置いた携帯電話を、捜したのです。
「あれ!??こんなとこに落ちてる!!?」
「大丈夫かなー??!」
一平はそう言うと、携帯を開いて見たのでした。
いつもの画面が表示されていたのです。
『ああーよかった!!』
『また、マナーモードにしたままでいたんだ!!?』
と、一平は思ったのでした。

パソコンの部屋から台所のテーブルの席に行くと、
「育ちゃんごめん!」
「マナーモードにしてあったから!?」
「机の上に置いていたんで、携帯が下に落ちていたんだよー!!?」
と、一平が言うと、
「携帯、だいじょうぶだったー?」
「壊れていない??!。」
と育子が、料理を作りながら言ったのです。

一平は、志村けんの真似をして、
「だいじょうぶだあー!?」
と、言ったのでした。するとすぐ育子は、
「似てるー!!」
と言って、笑いながら、一平のほうを振り向いたのでした。
「一平ちゃん!」
「きのうの残りと、ハムエッグにお味噌汁だけどいい??!」
と、育子が言うと、
「オフコース!!」(もちろん!!って日本語で書けばいいのにー??!)
と、一平はうれしそうに、答えたのです。

一平は、テーブルの席に座ると、
「いただっきまーす!!」と言って、食べ始めたのでした。
「育ちゃんの料理の味付けは、お袋のに似てるよー!?」
と言うと、
「うまい!うまい!!」
と言って、
茶碗一杯のご飯を簡単に、たいらげたのでした。

「おかわりは?!」
と、育子が言うと、
「もう十分だよー!?」「ごちそうさまでした!!」
と、一平が言ったのです。
すると育子はすぐに、テーブルの上を片づけ始めたのでした。
「残ったご飯、冷凍室に入れておくからねっ!!?」
と、育子は言うと、
茶碗によそうと、ラップを掛け、冷凍室に入れたのでした。

その様子を見ていた一平は、
「冷蔵室じゃーなくて、冷凍室に入れるの??!」
「知らなかったよー!」
と、言ったのです。
「冷蔵室で保存するより、冷凍室のほうが、
レンジでチンしたときに、べちゃべちゃになりにくいのよ!」
「それと、チャーハン作るときは、
ご飯冷凍したほうが、うまくできるのよ!」
と、うれしそうに言ったのでした。

「さすが女の子だなあー!?」
「俺なんか、そんなことなんにも知らなかったよー!!?」
と、一平は言ったのです。
育子は洗い物をしながら、
「一平ちゃん!忘れ物ない?!」
「ハンカチ持った?!」
と、育子が言うと、
「ハンカチかあー?!」
「持ってくるよー!」
と一平は言うと、パソコンの部屋に取りに行ったのでした。

一平は戻ってくると、
「よーし!ハンカチと携帯と財布と小銭入れを持ったから!?」
「忘れ物なーし!!」
と、言ったのです。
育子は洗い物を水切りカゴに入れ終わると、手を拭き、
エプロンを、自分のいつも座る椅子に掛けると、
「じゃあー行きましょう!!?」
と、言ったのでした。

一平は部屋を出ると、鍵を閉め、
育子と手をつないでエレベーターに乗り、
一階まで降り、歩いて高田馬場の駅まで行ったのでした。






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