携帯によろしく 第五章(4)

紹介された洋子は、急いで立ち上がったのです。
「二宮泰三と言います!」
「よろしく!!」
と、泰三が言って手を差し伸べると、
「市田洋子と言います!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!!」
と言って、握手したのでした。

「それから先輩!」
「もうひとり、紹介したい人がいるんです!!」
「結婚を前提に、お付き合いしている山形育子さんです!」
と一平が言うと、育子も急いで立ち上がったのです。
「ああー!?この人かあー?!」
「一平のこと、よろしくお願いします!」
と言って、手を差し伸べると、すぐに育子は、
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
と言って会釈すると、握手したのでした。

「じゃあー!とりあえず座りますかあー!?」
と、一平が言うと、
全員座ったのでした。
「ところで市田さんは今、特定の彼氏はいないんですか!??」
と、泰三は単刀直入に訊いたのです。
急にそう言われた洋子は、
「ええ!今付き合ってる人はいないんです!!?」
「二宮さんは??!」
と言うと、
「これがまるっきり、ぜんぜんいないんですよー!」
と、笑って言ったのでした。

「俺たちふたりが最初に会ったのが、この喫茶店なんですよー!?」
と、一平が言うと、
「そーかー!縁起がいい場所だなあー!?」
と、泰三が言ったのです。
「縁起がいいって言えば、確かにそうかもしれないなあー?!」
「なあー育ちゃん!」
と一平が言うと、
「うん!そうだね!!」
と育子が、うれしそうに答えたのでした。

みんなで話をしていると、ウエートレスが来て、
アイスコーヒーとお絞りを、泰三の前に置いたのです。
そして伝票をテーブルの端に置くと、奥に戻って行ったのでした。
「ちょっと?!泰三さんのアイスコーヒー持ってくるの!?。
遅かったわよねえー!??」
と、洋子が言うと、
「きっと!愛情込めて作っていたからじゃあーないの??!」
と、育子が少し笑いながら、言ったのです。

「そんなことないっすよー!??」
「さっきのは、ギャグで言ったことだから!?」
と、あわてて泰三は言ったのでした。
「先輩!そんなにあわてて言わなくたって、いいじゃーないですかあー!?」
「洋子さん笑ってますよ!」
と、一平が言うと、
「ギャグ!ギャグだから!?」
「ねっ!」
と洋子を見て、言ったのです。

「ほんとにギャグで、さっきの人に言ったんですかあー??!」
と、洋子も少し笑って言うと、
「ほんとほんと!ホントのこんこんちきー!!?」
と、わけのわからないことを言ったのでした。

「何それー??!」
と、洋子が言うと、
「わかんねえよー!?意味なんかあー??!」
「勝手に出てきたからー!?」
と、泰三は笑いながら言ったのです。
すると全員が笑ったのでした。

「じゃあー俺たちこれから行くところがあるから!?」
「なあー育ちゃん!!?」
と、一平が言うと、
最初「えっ??」という顔をした育子ですが、
「そうなのよー!?」
と、一平に合わせて言ったのです。

「じゃあーあとはふたりで!?」
「先輩よろしく!!?」
と言うと一平は、伝票を持つと、
「育ちゃん行こう!」
と言って立ち上がったのです。
「じゃあねえー!?ヨーコ!」
「先輩!洋子をよろしくお願いします!!?」
と、育子は泰三に会釈をすると、
立ち上がり、一平のあとを追いかけて、レジのほうに行ったのでした。

ふたりを目で追ったあと泰三は、
「あのふたり、俺たちふたりにしようと、気を利かせてくれたんだね!!?」
と、洋子のほうを向いて言ったのです。

「ええー!」
「演技下手なんですねえ、一平さん?!!」
と、洋子が言うと、
「ほんと!アイツ単純だから、すぐ読まれちゃうんだよー!」
「今のみえみえだよねえー!?」
「育子さんも、あわてて合わせたって感じだよー!」
「お似合いのカップルかもしれないなあー!?」
と泰三は、うれしそうに言ったのでした。






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