携帯によろしく 第四章(8)

一平と育子は、テーブルのところで、椅子に座って話をしていると、
乾燥機のブザーが鳴ったのでした。
「たぶんもう乾いていると思うけど!?」
と、育子は言って席を立つと、お風呂場に向ったのでした。
「バリバリね!」と嬉しそうに言うと、
それを4つにたたんで、
テレビのある部屋まで持って行きました。
一平も、すぐあとをついていきました。(金魚の糞?。ふーん?!。)

育子は、きのう着替えたときに、
キャスターつきの、プラスチックの衣装ケースのような物が、
布を垂らして、わからないように置いてあるのを、見つけていたのでした。
「一平ちゃん!ここにある、布をかぶせてある中身。
見てもいいかなあー?!」
と言うと、
「ああいいけど!なにが入ってるのかなあー??!」
と、一平が言ったのです。

「お袋のことだから、何かの買い置きかもしれないなあー!?」
「置く場所がないから、そんなところじゃない?!」
と、一平が言ったのです。
育子は布を取ると、
やはり半透明のプラスチックの衣装ケースでした。
両方にある黄色い色のとめ具をはずし、ふたを取り開けると、
中には、アイロンと、アイロン台と、霧吹きが入っていたのでした。

「なんだあー?!こんなとこにあったのかあー!??」
「お袋が、アイロンとアイロン台を買えって言うんで、
買ったんだ!」
「このあいだ、ワイシャツに、ちょっとシワがあるんで伸ばそうと、
アイロンのあるところを、姉さんちへ電話して、
お袋に訊こうと思ったら、旅行に出かけちゃったんだよ!」
「お袋は携帯持ってないから、まあいいやあーって!?」
「そのままだったんだ!」と、一平は話したのでした。

「そうなの?!」
「じゃあ!霧吹きも?!」と、育子が言うと、
「ああ!」
「スーパーのワゴンを俺が押して、
そのカゴにお袋が適当にみつくろって、入れるんだよ!」
「いつ入れたかはわからないけど!」
「たぶんね!!?」
「そして、支払いはいつも俺さ!」
「荷物運びもね!」と、笑って一平が言ったのです。

「それで!キーピングがあったんだあー!?」
と、育子が言うと、
「なにそれ?!」と、一平が言ったのです。
「簡単に言えば、糊よ!」
と、育子が言ったのでした。
「のり?って??!」
と、一平が不思議そうに訊くと、
「ワイシャツの襟や、シーツとかピシッとさせたいときに使う!」
と、育子が答えたのです。

「あああー!」「わかった!!」
「それで、俺が!ウォッシャブルのワイシャツだから、
いいよアイロンなんて!って言ったら!?」
「ぶつぶつ言ってたっけ!」
と、思い出した一平でした。
シーツを育子は、それらを使って、きれいに伸ばしたのです。
そしてたたむと、
最初に入っていたタンスの引き出しに、入れたのでした。

次に育子は、もうひとつの下の衣装ケースのフタを開けたのでした。
するとさっき一平が言ったように、
買い置きの、トイレットペーパーや洗剤などが、入っていたのです。
「やっぱり親子ね!」
と育子はつぶやくと、フタを閉めたのでした。
育子がアイロンをかけている間一平は、
パソコンのある部屋を、
電気掃除機で、本当にザーッと掃除してたのでした。

育子は干してある布団を、上下、裏返しにすると、
一平のいるパソコンがある部屋に行ったのです。
「一平ちゃん!わたしやるよ!」
と、育子が言うと、
「もう終わった!!」
と、答えた一平でした。
すると、育子の携帯から、メロディーが流れてきたのです。






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