携帯によろしく 第四章(7)

「一平ちゃん!朝ごはんのしたくで忙しかったのでいい忘れたけど!?」
と、育子が言うと、
「なに?いい忘れたって!!?」
と、一平が不思議そうな顔をして、訊いたのです。
「きのうの洗濯した物、乾いていたから、
いつも一平ちゃんが入れてる、タンスの引き出しに入れといたから!」
と、言ったのでした。
「ありがとう!」と、一平はうれしそうに言ったのです。
あとは、シーツが乾燥すれば洗い物は終わるのでした。

「ああ!食った!食った!!」
「腹がぱんぱんだあー!?」
「こんなに朝飯をたくさん食べたのは、久しぶりだなあー!?」
「いつだったか忘れるぐらい、前だなあー!」
と、一平は食べ終わると、腹をさすりながら言ったのでした。
「一平ちゃん!無理して食べてくれて、ありがとう!」
「お昼は、朝の残りと、焼きそばがいい?。
それとも、スパゲティがいい?!」
と、育子が訊いたのです。

「えっ!?昼??」
「そう言われても、今!。朝飯食べたばかりだから!?」
「焼きそばとスパゲティかあー?!」
と、一平が考え込むように言うと、
「ごめん!今じゃなくてもいいの?!」
「どっちも、すぐにできるから!?」
「お昼までに考えててっ!?」
と、育子が言ったのでした。

「うん!わかったよ!!?」
「昼近くになって、腹が減ってくれば、決まるさあー!?」
と、一平が言うと、
「ごめんね!私の好きなのを、買って来ちゃったから!?」
「お昼は、麺のほうがいいと思ったけど!?。」
「時間がなくて、ほかの物が浮かんでこなかったの!」
と、育子が言ったのです。

「別に気にしなくていいよ!」
「麺類は、すべて好きだから!」
「育ちゃんはもっと大好きだけど!!?」
と、一平が言って椅子から立ち上がると、
育子もつられて、立ち上がったのでした。
「愛してるよ育ちゃん!」
と一平が言うと、
「わたしも!あ。い。し。て。る!!」
と、育子が少し唇を尖らせ、言ったのです。

一平はテーブルを回り、育子のところに行くと、
からだを抱き寄せ、キスしたのでした。
ふたりのキスの味は、からし味噌の味がしたのです。(ホントかなあ??!。)
「歯磨こうかあー!?」と一平が言うと、
「そうねえ!?磨きましょ!」
と、育子はそう言うと、サッサと洗面所に向ったのです。
すぐそのあとを一平も、洗面所に向ったのでした。

ふたりは歯磨きを済ませると、
「お布団干したいんだけど!ベランダのとこに掛けて干したら、
やっぱりここもだめだわよねえー!?」
と、育子が一平に言うと、
「うん!危ないし!。もちろんだめだよ!!」
「他の人たちは、ベランダの中に干してるみたいだよ!」
「ベランダの高さより、ちょっとでも上に出たら、だめみたいなんだ!!?」
と、一平が答えたのでした。

「やっぱりね!」
「どこもいっしょだわ!」
と育子が言うと、
「お袋いつも、どうして布団を干してるのかなあ??!」
と、一平が首をひねって、言ったのです。そして、
「もしなんなら、電話して訊いてみようかあー?!」
と言うと、育子は、
「いいわよー!」と、笑って答えたのでした。

「じゃあいつもの方法でやりますか!?」
と、育子は言うと、テレビのある部屋に歩いて言ったのです。
一平も、すぐそのあとをついて行きました。
隅に置いたコタツの展板を取り、それを、タンスのところにたけかけると、
コタツを、「えいっ!」と気合を入れて縦にしたのです。
それを太陽に向けて置いて、そこに布団を掛けたのでした。
それを見た一平は、思わず手をたたいたのです。
育子は一平のほうを向くと、
「でもこれって!お布団1枚しかだめなの?!」
と、言ったのでした。






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