携帯によろしく 第四章(6)

「だけどすげーなあー!?」
「こんな朝飯食べたことがないよ!!」
と、テーブルの上を見て、大きな声で言ったのでした。
ハムエッグに生野菜と温野菜、それに肉じゃが、ナスの味噌炒め、など、
一平が、最近見た朝食で、いちばん豪華なものでした。
あと、きゅうりと、白菜の漬物。味噌汁、それにご飯。

「簡単なものだけど!」
「一平ちゃん!嫌いなものが、ほとんどないって言ったから!?」
「わたしとしてはちょっと、手抜きしたけど!!?」
と、育子が言ったのです。
「野菜のほうは、しょうゆベースの和風ドレッシングにマヨネーズ、
甘辛くしたお味噌と、3つ用意したから、
どういう味が好みか知りたいから、味見してみてくれる?!」
と、育子は言ったのでした。

「うん!野菜を朝食べるなんて、何年振りかなあー?!」
そう一平は言うと、いちばん最初にブロッコリーを箸でとったのです。
それを見た育子が、
「一平ちゃん!ブロッコリーがこの中で一番好きなの??!」
と訊くと、
「いや!?そうじゃないよ!」
「一番近かったから!」
と、一平は答えたのでした。

少し大きめのブロッコリーを皿に取り、3つに分け、
3種類の味を試したのです。
「3つともいい味だよ!味噌が合うとは以外だったよ!!?」
と、一平が言うと、
「あっそう!」
と、育子は言うと、小さめのブロッコリーを箸でとると、
甘辛くした味噌につけて食べてみたのでした。

「あっ!ほんと!!以外ね!」
「これって、きゅうり用に作ったのよ!」
「まさかこれを、ブロッコリーにつけるとは、思わなかったわ?!」
と、育子は、言ったのでした。
そう言われた一平は、きゅうりを箸でとると、
その味噌につけて食べたのです。
「からしが効いていていいんだけど!ちょっと甘いかな?!」
「甘くしないほうが、よかったかもしれないなあー?!」
と、一平は言ってしまったあと、すぐに育子の顔を見たのでした。

育子はなにやら、メモを取っていたのです。
「あーそーかー!?」
「からし味噌ねえー!!?」
「ちょっと待って!今すぐ作るから!?」
と育子は言うと、冷蔵庫から、味噌とからしを少しづつ出し、
小皿の上で合わせると、一平に差し出したのです。
「一平ちゃん!これで食べてみて?!」
「どうかなあー!??」と言ったので、
きゅうりを箸でとると、小皿に盛ったからし味噌につけ、食べたのでした。

「うん!これがいい!!」と、うれしそうに言うと、
「よかった!こんどから、これにするね!」
「きょうは、少し我慢して、先に作ったほうで食べてね!」
「もったいないから!?」
そう言うと、小皿のからし味噌を、自分のところに持ってくると、
「うまい!うまい!」と言って、
きゅうりにつけて、全部きれいに食べたのでした。(恐るべし!。)

「にんじんも食べてみて?!」
と、育子に言われた一平は、
温野菜のところにあるにんじんを、箸でとって、
3種類試して、食べたのです。
「にんじん自体が甘いから!?」
「どれにでも合うよ!」
と、一平が言うと、
「じゃあ!?”なま”のは?」と、育子が訊いたのでした。

「生のにんじん?!」
と一平が言うと、
「薄く切って、水でさらしておいたから、おいしいわよ!?」
と、ニコニコしながら、育子が言ったのです。
「生のにんじんは、うまくないよおー!!?」
と一平が言うと、
「何でも食べるって言ったじゃん!!」
と、育子が少しはすを尖らせて言ったので、
「そうだな!そのまま食べるんじゃあないから!?」
と言うと、しかたなく3種類、試して食べたのでした。(弱い!!。)

「うまい!うまい!!これなら食べれるよ!」
と言ってすぐ、
「でも俺は、ボイルしたほうが好きだよ!」
と、言ったのです。
「そーかーあー!?」
「一平ちゃん!にんじんはボイルしたほうが好きなんだ!!?」
そう言うと育子は、メモをとったのでした。

それを見た一平は、
「ああ!よかった!!」
「これからは、生のにんじん食べなくてすむ!」
と、心の中で言ったのでした。すると、
「一平ちゃん!何か言った!??」
と、育子が言ったのです。
「ううん!なんにも?!」
と、一平は少し動揺して、答えたのでした。

ふたりはそれから、3種類の味を試しながら、
時間をかけて、朝食を食べたのでした。






▲Top