携帯によろしく 第四章(5)

ふたりは、めちゃんこ強烈なキスをしたのでした。
しばらくして唇を離すと、
「いい匂いだあー!」
「育ちゃんの匂いだ!!」
と、一平が言うと、
「リンスの匂いじゃあーないの?!」
と、育子が言ったのです。
すると一平が、
「そうで、ありんすか?!」
と、言ったのでした。

それを聞いた育子は、
「よかった!」
「いつもの一平ちゃんに戻ったようね!」
と、うれしそうに言ったのです。
「一平ちゃん!寂しいからいっしょに寝てくれる??!」 と、甘えて言うと、
「仕方ないなあー!?」
「腕枕してやるか!」
と、言ったのでした。

「でもだめよ!検査してないから?!」
と、育子が言うと、
「わかってるよ!」
「それに、あの日だろ!」
「月曜日に検査すれば、次の週ぐらいには結果がわかるだろうし!」
「それまでの我慢さ!!」
と、表面上は平静を装う一平でした。

「ありがとう!わかってくれて!!?」
と言って育子も、平静を装うのでした。
生理の日がいつもより3、4日早く来たのです。
ときどきそういう時もあったので、
一応、生理用品は、持ってきておいたのでした。
そして万が一の時のため、コンドームも買って持って来てたのです。
二人は毛布1枚を掛け、いっしょの布団で寝たのでした。

「腕、痛くない?!」
と育子が言うと、
「やっぱり少し痛いなあー!?」
「育ちゃんが枕をしたら、そのあいだに腕を通すよ!」
「それなら痛くないから!?」
一平はそう言うと、育子の頭の直ぐ上において置いた枕を、
育子の頭の下に入れると首の少し上辺りのところに、
自分の左腕を差し込んだのでした。

「これなら何時間でも、腕枕していられるぞ!」
と、うれしそうに一平は言うと、
育子を、その腕を使って、少し自分のほうに、引き寄せたのでした。
それから一平は、リモコンを使い、部屋の蛍光灯を、
豆球だけにしたのです。
そしてふたりは、幸せ一杯で、朝までぐっすり寝たのでした。

一平が朝目覚めると、育子はもう、ジャージに着替えていたのです。
そして、朝飯のしたくをしていたのでした。
一平は起き上がると、部屋を出て、育子がいる台所に来たのです。
育子が朝飯のしたくをかいがいしくしてるのを見ると、
「育ちゃん!無理しないで寝てろよ!」
「朝飯ぐらい、俺が作ってやるよ!!?」と、言ったのでした。
「ありがとう!そう言ってくれるだけでも、うれしいわ!!?」
と、育子がニコニコして言ったのです。

「じゃあ!?お言葉に甘えて、顔洗って、歯を磨いてくるよ!」
と、一平は言うと、洗面所に向ったのです。
「ところで一平ちゃん!足のほうは、もう大丈夫なの?!」
と、洗面所に向って、育子が言ったのでした。
「ああ!もう大丈夫だよ!」
「俺のは、癖になっているから、忘れた頃、よくやるんだ!!」
と、答えたのです。

「育ちゃんの体調は、本当にだいじょうぶ?!」
と、心配そうに一平が訊くと、
「今のところいいみたい!」
と育子が言うと、
「悪くなったら遠慮せずに言ってくれよ!」
「大事な、からだだから!?」
と、一平が、心配そうに言ったのでした。

洗面所から出てきた一平に
「今!ご飯蒸らしているから!?」
「もう少し待ってね!」
と、育子が言うと、
「俺も、ジャージに着替えちゃうよ!」
と言って、パソコンのある部屋に向ったのでした。
そのあいだに、育子は、布団を片づけ、
シーツを洗濯機に入れ、洗濯したのです。

それから育子が、手を洗うと、
ちょうど一平が、テーブルに来たのでした。
そして急いで、味噌汁をよそうと、
「一平ちゃん!。お茶碗これでいいの?!」
と、茶碗を持って、一平に訊いたのです。
「うん!いつもそれを使ってる!」
と、一平が答えたのでした。

育子は、その茶碗にご飯をよそり、一平に出したのです。
「このお茶碗5つ揃っているから、お客さん用だけど、
使っていいね?!」
と、育子が言うと、
「だーめ!って言うのは嘘!!?」
「もちろんいいよ!」
と一平はおどけて、言ったのでした。






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