携帯によろしく 第三章(10)

洋子は気を利かせて、早めに一平の部屋を、出ようと思ったのです。
「洗濯も帰ってからやらなきゃならないから!?」
「まだいまのうちなら、帰ってできるから!?」
「あまり遅くなると、近所の手前できないから、もう帰るわ!」
と言ったのです。

「ごめんね!つき合わせちゃって!?」
と育子が言うと、洋子は、
「ううん!楽しかったわ!!」と育子に言い、
「すいません!ご馳走になって!!?」
「育子のこと、よろしくお願いします!」
と一平に言うと、頭を下げたのでした。

「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「かたづけはあとで俺たちがやるから、
送っていきますよ!夜道は危険だから!?」
「なっ!育ちゃん!?」
一平がそう育子に向かって言うと、
「そうね!一平ちゃん!送っていって!?」
「わたしそのあいだに、かたづけておくから!?」
と、育子が言ったのです。

「じゃあ!イク!ごめんね!。帰るから!?」
と、育子に言うと洋子は、玄関へ向ったのです。
すでに一平は玄関を出て、洋子を待っていました。
「じゃあバイバイ!」と育子が言うと、
「じゃあね!また明日、電話掛けるからね!!」
と、洋子が玄関を出て言うと、一平が、
「育ちゃん閉めたらすぐロックするんだよ!」
と言って玄関を閉めたのでした。
言われたとおり、育子はすぐに、玄関をロックしたのです。

一平はロックした音を聞くと、
「じゃあ!?行きましょう!」
そう言うと、まだ痛い右足首を我慢して、ゆっくりと歩いていったのです。
「足のほうは大丈夫ですか?!」と、洋子が訊くと、
「ええ!シップが効いてきたようで、だいぶよくなりました!!」
と、歩きながら答えたのです。

「洋子さん!育ちゃんとは同郷だそうですね!!?」
「浜松か!行ったことないなあ?!」
「浜松町なら行ったことあるけど!」
と、一平が言うと、洋子がニコニコしながら、
「イクが言っていたけど!」
「一平さんって、ときどき面白いこと言うんですね!」
と、言ったのです。

エレベーターに乗り、下に降り、
一平のマンションから駅に向って歩いていったのです。
「洋子さんは、どちらに住んでいるんですか?!」
と、歩きながら一平が訊くと、
「下赤塚駅って知っています?」
「東武東上線なんですけど!」
そう洋子が言ったのです。

「あっ!なんか聞いたことがある?!」
「むかし、赤塚不二夫が住んでいて、そこから赤塚って言う
名前にしたっていう”うわさ”だけど!。嘘に決まってるよ!!」
と、一平が言いました。

「赤塚不二夫って、だれ?!」と洋子が言うと、
「マンガで、”天才バカボン”って知ってる?!」
と一平が、洋子に訊いたのです。
「ああ!知ってる。知ってる!!」
と洋子が言うと、
「その作者さ!」「有名だよ!!」
と、一平が言ったのです。すると、
「そういえば、あのへん?。赤塚って地名なのよね!」
と洋子が言ったのでした。

「でも100mぐらい南に行くと、地下鉄の赤塚って駅があるの!」
「私の住んでる所は、板橋なんだけど、そっちはもう練馬なのよ!」
「同じ赤塚なんだけど!」
「あの駅の周辺は、どこが板橋区で、練馬区なのかよくわからないの??!」
「じゃあ!ホントかなあー!??」
そんな話をしながら高田馬場の駅に着いたのです。

「ありがとうございました!」
「今日はご馳走になり、あと片付けもしないで来てすみません!!」
そう洋子が言うと、
「いいんですよ!こちらこそ気を使わせて!?」
「じゃあ気をつけて!」
そう一平が言うと、洋子は頭をペコッと下げると、
駅の改札に向って歩いて行きました。
一平も自分のマンションへ引き返したのです。

一平はマンションに戻り、エレベーターを上がり、
自分の部屋に着くと、玄関のチャイムを鳴らしたのです。
「はーい!」と、育子の声がしました。
「一平だけど!」と言うと、玄関のドアが開いたのです。

「お帰りなさい!今洗濯物を取り込んでたたんでたの!」
「ちょうどよかったわ!どこに入れたらいいかわからないから?!」
と、育子が言ったのです。
「ありがとう!もう乾いた?!」
「ちょと待ってロックするから!?」
そう言って一平はドアを閉め、ロックしたのでした。






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