携帯によろしく 第三章(9)

「やっぱりあったよ!」
そう一平が言いました。
カセットのボンベが2本あったのでした。
「じゃあ!?このカセット残りどのくらいかなあ?!」
そう言うと、カセットコンロからボンベを取り出したのです。
「軽いなあ!」
「これじゃあ!?すぐに無くなるから、次のを用意しよう!!」
と一平は言うとカセットボンベを自分の椅子の下に置いたのです。

「ところでこの材料、いくらかかった?!育ちゃん!」
と一平が訊くと、
「全部で、ちょっと待って?!」
育子はそう言うと、自分の財布からレシートを出したのでした。
「えーと!8532円!!」
と言うと、レシートを一平に渡したのです。
一平はそれを受け取ると、
自分の財布から、1万円札を出して、
「はいこれ!」と言って、育子に渡したのです。

「いいのホントに!?」と育子が言うと、
「いいよ!お釣りはいいから!?」と、一平が笑って言ったのです。
「そういうわけにはいかないわ!」
と育子は言うと、小銭入れから1000円札一枚と、468円を、
一平のテーブルの前に置いたのです。
育子が少しムッとした表情だったので、
「そうだね!お金はちゃんとしないとね!!?」
そう一平は言うと、素直に受け取ったのでした。(弱い!)

「この格好じゃあ、いくらなんでもかっこ悪いから、着替えてくるよ!」
そう一平が言うと、
「そうね!じゃあコンロに火をつけて頂戴!?」
そう言うと育子は、コンロの上になべを置いたのです。
なべにはもうすでに、野菜などの具が敷き詰められていましたが、
真ん中だけ、まわるく空いていたのです。
「真ん中に一平ちゃんに、お肉を入れてもらうからね!」
そう育子が言ったのです。
「あいわかった!!」
そう一平は言って、コンロに火をつけると、すぐに部屋に行ったのです。

一平が、着替えを終えて戻ってくる頃には、もう野菜などの具に、
味がかなりしみ込んでいたのでした。
「お待たせしました!」そう言って、
一平が着替えて、うれしそうに戻ってきたのです。
「いつも私達は、すき焼きのときに、卵を溶いて、
それに、肉や具をつけて食べるんだけど!」
「一平ちゃんは?!」と、育子が訊いたのです。
「うん!別にそれでもいいけど!?」
「あればそれで食べるし、なければないで、食べるから!?」
と、一平が言ったのでした。

それから一平は席につくと、育子から渡された皿の上の牛肉を、
なべの真ん中に、菜ばしを使い、入れたのでした。
「最初はあんまり、多く入れないほうがいいよね!」
と言って、うれしそうに、育子の顔を見たのです。
「そうね!野菜が少なくなったら、その分入れればいいわ!」
と、育子が言ったのです。そして、
「一平ちゃん!ビール飲むんでしょ?!」
と育子が言うと、
「育ちゃんと、洋子さんは?!アルコールは飲む??!」
と、一平が訊いたので、
「わたしたちは、最近ワインにしてるの!」
と、育子が言ったのです。

「これはさっきの金額には入ってないわ!」
そう言うと、冷蔵庫からワインを取ってきたのでした。
そして、ビール瓶もいっしょに、取り出してきたのでした。
「ワイン開けようか?!」と一平は言うと、
食器棚の引き出しから、コルク抜きを出してきたのです。
ワインを開けると、しっかりと用意してあった、
ふたりのワイングラスに、半分ほど注いだのでした。

「ありがとう!!」そうふたりは言うと、
今度は一平のジョッキに育子がビールを注いだのでした。
ワイングラスも、ビールのジョッキも、
冷蔵庫に入れて、冷やしておいてたのでした。
「じゃあ乾杯しようかあー!?」と一平が言うと、洋子が、
「もちろん!二人の幸せを願ってねっ!!」
と言ったのです。すると育子が、
「ありがとう!ヨーコ!!」と、うれしそうに言ったのです。

それから三人で乾杯をしたあと、すき焼きのなべをつついて、
いろんな話をしたのでした。
8時半を過ぎると、
「もうそろそろ帰らなくちゃ!?」と、洋子が言ったのです。
ちょうどワインを育子に、注ぎ終えたときでした。






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