携帯によろしく 第三章(8)

玄関を開けると、
「ごめん!心配かけて!?」
「部屋に戻ってきてすぐ、寝ちゃったみたいだ!」
「今のチャイムで起きたから、着替えてないんだよ!」
そう一平は言ったのです。そして、
「ふたりとも、上がって少し待ってて!」
そう一平が言うと、
「言われなくてもあがるわよ!」
「だってここで夕飯、食べるんだもの!」
そう言うと、育子は手で持っている、スーパーの袋を、一平に見せたのです。

「ほんとに?!」と、けげんな顔で、一平は言ったのでした。
「失礼します!!」そう言ってあがると育子は、
テーブルのところの椅子を手前に引くと、
その上にスーパーの袋を置いたのです。
育子は、深さ7センチ直径23センチほどの大きさの、少し浅めのなべが、
一平のところに有ったのを、このあいだ来た時に、しっかり見てたのでした。

「ホントはすき焼きだから、鉄なべのがいいんだけど、
重たいから、私のところから、持ってくるのはやめたの!」
そう言うと、ブラウスの袖をあげ、エプロンをつけると、
棚に置いてあった浅めのなべを、洗剤を使い、洗い始めたのです。

洗いながら育子は、
「一平ちゃん!洗濯物があったら出しといて、洗濯機まわすから!?」
そう少し大きな声で言ったのです。
「あっ!忘れてた!!」と、一平は大きな声で言ったのです。
「干すのを忘れてたよ!」と言うと、洗濯機のところに行ったのです。
「ヨーコ!これお願い!」
そう言うと、材料を切っていた育子が、
エプロンをはずし、それを洋子に手渡すと、一平のところに行ったのです。

一平は、洗濯機から洗濯物を取り出しカゴに移すと、
風呂場に入ったところでした。
クリーニング店で使う、ハンガーを使い洗濯物を干したのです。
「このワイシャツ、クリーニングに出さなくてもいいの?!」
と育子が訊くと、
「これ、洗濯機で洗えるヤツなんだ!」
「白いワイシャツはクリーニングに出すけど!?」
「ほかのは洗濯機で洗っちゃうんだ!!」
そう一平が、答えたのです。

「育ちゃん!?料理のほうはいいの?!」
と一平が言うと、
「うん!だいじょうぶ!ヨーコに代わって貰ったから!?」
「切るだけだし!」と、育子は答えたのです。
「この乾燥機の使い方を、教えてもらおうと思ったの!」
そうニコッと笑って、言ったのです。
すると一平は、風呂場を出て、台所にいる洋子に向って、
「すいません!来てもらって、手伝いまでさせて!!」
そう言うと、
「いいえ!いいんです。気にしないでください!!」
と、洋子が答えたのでした。

「育ちゃんこっちに来て!」そう一平に言われた育子は、
「やっぱり!外にあるんだ設定画面が?!」
そう言うと、風呂場から出たのでした。
それから、一平は育子に、
乾燥機の設定画面の操作方法を、丁寧に教えたのでした。
「わかったわ!うちのと少し違うだけで、ほとんど同じね!!」
「じゃあ!ついでにお風呂のほうも教えて?!。」
と、育子が言ったのです。
「風呂はもっと簡単だよ!。」
と一平は言い、育子に教えたのでした。

「これ!おソーメン用のざるだと思うけど!ちょうどいいので使ったわ!?」
と洋子が、風呂場から出てきた二人に向かって、言ったのです。
「その棚にあるのは、母さんと姉さんが、
俺がここに引っ越して来たときに、買って来てくれたんだ!」
と、一平はそう言ったのです。
「一平ちゃん!卓上コンロ取ってくれる?!」
そう育子が言うと、
「よくわかったね!ここに置いてあるのが!?」
そう言うと、一平はゆっくり食器棚の一番上から下ろしたのでした。

「やっぱり!ほこりが溜まってるよ!!」
と一平は言うと、ゆっくりと、洗面所に持って行ったのです。
「一平ちゃん!。”ぞうきん”ないの?!」
と、育子が言うと、
「あるけど床拭くのだから!?」
「とりあえず、タオルでいいかな?!」
そう言うと、一平はテレビのあるほうの部屋に行き、
干してあった、タオルを持って来たのでした。

育子はそれを受け取ると、ちょっと水を含ませて、
卓上コンロを拭いたのでした。それが終わると、
「ところで、ボンベこれだけ??!」
そう育子が言うと、
「確か食器棚の下のところに、
これを買ったときに、3本セットで買ったから、あるはずだよ!」
と言ったのです。
そしてすぐ食器棚のところに行き、下の引き戸を開けたのでした。






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